《死ネタ注意》
side若井
目が覚めると、冷たい風が頬を撫でる。
鼻腔に香る潮の香り、ここは……海??
起き上がろうとすると、上手く体に力が入らない。頭が酷く痛み、思考が纏まらない。
ふと違和感を感じ下を見ると、腹部に縄が巻かれていてどこかに繋がってるようだった。
繋がってる先にいるのは、元貴だった。
元貴「あ、若井目覚めた??」
元貴はさっきまでとは打って変わって、ニコニコとして俺を見つめてくる。
若井「ぁ……もと…き……これ…なにぃ……」
元貴「この縄のこと?これはねぇ、俺と若井が海の中でもはぐれないように、一緒にあの世に行けるように、しっかりと繋ぎ止めておくためのもの。」
若井「んぇ……なに…いってるの……。」
元貴「僕さぁもう疲れちゃった。どれだけ愛を注いでも、みんな最後には僕の元から居なくなっちゃう。若井だけは特別だと思ってたのに。」
若井「違う……もとき待って……話を……」
元貴「人魚姫の話知ってる?人魚姫は最後王子様の幸せを願って1人で海の泡になったの。馬鹿だよね。僕だったらのうのうと、幸せに暮らす王子が許せない。」
元貴「僕と若井は一緒に海の泡になって溶けるて消えるの。素敵だと思わない?」
元貴の声が、どこか遠くに聞こえる。薬でも盛られたのか、俺の頭にはモヤがかかったようだった。
元貴は俺に心中しようと言ってるのだと、逃げなきゃ殺されるって頭では理解できても、体が言うことを聞かない。
若井「やだ……もときやだよぉ……怖い……」
元貴「大丈夫。僕がいるからね。怖くないよ。」
ほらと、元貴がフラフラの俺を抱き上げて立ち上がらせる。
下を見ると、波が岸壁に当たって水しぶきがあがるのがみえる。かなり高さがあるのか、水面は暗くなっていてよく見えなかった。
元貴「地獄の底でも、愛し合おうね若井。」
元貴が俺の顔を包んで、唇を合わせてくる。
今までで1番優しくて甘いキスに、脳が支配される。
もういいか……この怪物に見初められて、俺も元貴の事を愛してしまった時点で運命は決まっていたのだ。
若井「俺も、元貴のこと愛してる。」
俺が言うと、元貴は目を見開いて驚いた様だった。そして、目から涙を零した。
元貴の目からぽろぽろと落ちる雫は、まるで真珠のように美しい。
元貴「若井……ありがと。一緒に逝こ?」
元貴が差し出してきた手を、俺は握り返す。
そして、2人でお互いを強く抱きしめあって、1歩踏み出して飛んだ。
体がふわっと軽くなるようだった。
不思議と恐怖感はなかった。
きっと、水面に落ちるまで数秒といったところだろうが、時間がゆっくりと流れてる感覚に陥る。
頭の中に、まるでスライドショーの様に、元貴と出会った日から、今までの記憶が流れ込んでくる。
走馬灯ってほんとにあるんだ。
最期はこんな歪な関係になってしまったけど、元貴との出会いを後悔する気にはならなかった。
人の愛し方が分からない可哀想な元貴。
寂しがり屋の君のために、あの世まで手を繋いで一緒に行ってあげる。
もし……もしも生まれ変われたら、
その時は2人で幸せになろうね。
fin.
大森さんの不思議な魅力に取り憑かれてしまった若井さん。ストックホルム症候群も多少あったのかな……。
私は死ネタが好きなので、よく悲しいラストにしちゃいます。(甘々ももちろん好きです。)どうか嫌わないでね(焦)
マチアプはいい出会いももちろんありますが、本当に怖い事件も起きたりしてるので、利用する際はどうかお気をつけて……!!
コメント
12件
うわぁ〜〜……… みかけは綺麗な愛なのに、芯の髄から腐っててすごく最高😭😭 ようやく重たい愛情を受け入れられたのが今際の際だなんて、救いがあるんだかないんだか… 迷いのない、洗練された人の死が描かれていて尊敬しかない💘
うわーーー最高です……… 心中最っ高😭😭😭😭😭まーーじで良すぎる……🫶🏻🫶🏻🫶🏻 重めの愛の❤️さんに狂わされちゃった💙さんあまりにもだいすき…… ほんとにだいすきすぎて……くるしい……🥹🥹🥹 素敵な作品ありがとうございましたーーー👊🏻🎵
おわぁぁぁぁもうさいっっっっっこうだった最初から最後まで…!! 最後の最後でちゃんと愛を確かめ合うことが出来た2人……最初は怖がっていた💙さんが受け入れて愛してると伝える場面がもう…… ちゃんと伝えられてよかったよ〜〜!! 来世でも、2人が愛しあえると良いなぁ……素敵すぎる作品を本当にありがとう〜〜〜!!!