テラーノベル
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宇野真二(うのしんじ)は親に訴えた。「また犬と暮らしたい。保護犬がいい!」そう叫ぶ目はわずかに涙目だった。真二は二ヶ月前、愛犬、チリーを亡くしたばかり。チリーはキングチャールズスパニエルという犬種で聞き分けがよく、賢く、家族が悲しい時は側にいてくれ、真二や妹の古都(こと)と弟の圭二(けいじ)、啓之輔(けいのすけ)が叱られた時はさりげなく守ってくれた。喧嘩をするとチリーはいつも真二をかばい、殴り合いなどに発展するとチリーは間に入って真二に頭をこすりつけて甘え、気をそらした。また、ベテランパピーウォーカーだった。これまで、アイビス、レイニー、ウィンダル、バル、クイーン、カフェ、ポーチー、マーナンを育て、そのうち、マーナン、ポーチー、バル、アイビスが合格した。
次の週、サプライズで譲渡会にでかけた真二は大喜び。「真二。あそこにキャバリアがいるよ」お母さんが指さしたほうを見ると尻尾を振って人を見ていたキャバリアがいた。「行ってみる?」「うん」キャバリアは、四つ葉といった。真二が抱っこすると安心したのかそのまますやすやと眠ってしまった。真二はその姿に胸を射抜かれ、「お母さん。僕、この子がいい。この子を迎えたい」と言った。「いいわよ。申し込みましょう」そしてトライアルは順調に進み、正式譲渡となった。
真二は野球が大好きないわゆる野球少年だった。デビュー戦は五年前の6月。野球のクラブ練習の迎えにいつも四つ葉改め、よつははクラブのアイドル的存在となった。「なあ。真二。今日の迎えってよつは来る?」といつものように聞かれるようになりました。
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