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tgmz / 喧嘩
没
―――
mz 視点
最近、ちぐのメンバーとの距離が近く感じる。
メンバーが近くに来る度にあざとく名前を呼んで、近寄っている。
メンバーに向けてが増えた代わりに、俺に向けては減ったような気がする。
ちぐの恋人なのは、俺だけだろ。
俺だけ、見ていたら良いのに。俺は、ちぐにしか興味がないのに、ちぐは―――
違うんだ。
ちぐが部屋にいる内にソファでゆっくりしようと寛いでいると、後ろから「まぜたん」ととびっきり甘い声で声をかけてくる誰か。
まあ、この家には、俺とちぐしか居ないから、ちぐで確定なんだけど。
この甘い対応も、俺だけじゃないって知っていたからか、俺は嫌で、冷たく返してしまう。
「 ……何? 」
「 ……?なにしてんの! 」
ぎゅーと後ろから抱きついてくるちぐ。
そんな行動に、いつもならキュンとくるのだが、今回はキュンとしなかった。だって、お前は。
俺以外のやつにも、こうやっているくせに。
「 やめろ……熱い 」
「 ……なんか冷たくない?なんで、? 」
俺が態度冷たいことに気づいたちぐはなんで?と言ってきた。その声のトーンはいつもより低く感じて、温度差で風邪をひきそうだった。
「 ……ねぇ、まぜたん? 」
「 なんで、態度冷たいの。いつもはこんなんじゃないじゃん… 」
怒っているような、どこか泣きそうになっているような声に向かって俺は、泣きたいのはこっちだ。怒りたいのもこっちだわ。と脳内で文句を言っておいた。
「 別に…… 」
「 別にじゃなくて!! 」
「 ねぇ、なんで……俺なんかした?何もしてないよね!? 」
後ろから、ぐすぐすと鼻をすするような音が聞こえてきた。その音を聞いて、俺まで泣きたくなってくる。
だって、だってだって。お前が全部悪いじゃん。お前がしたんだよ、他の人とばっかくっついて。
俺は?俺のことなんかもう捨てたの?
「 ……っ他の奴とばっか、話してんじゃねぇよ! 」
気づいたら涙が止まらなくなっていて、ちぐの腕を取っ払って、家を飛び出した。
家を飛び出しても行く場所なんてなくて、ちょうど今日一日中暇だと言っていたメンバーであるあっきぃの家へ向かった。
「 あちゃ〜それで俺ん家来たのぉ?笑 」
「 ……だって、行き場なかったし 」
「 ちぐが…… 」
「 まぜちもちぐちゃんのこと大好きなんだね 」
そんなん当たり前だろ……と涙を流しまくって真っ赤になった頬と腫れた目のまま顔を逸らして答える。
少し間が空いたあと、あっきぃが話しかけてくる。
「 ちぐちゃんね、誰よりもまぜちの話してくれるんだよ 」
「 あっきぃー!!って元気に話しかけてきてくれて何ー?って返したら大体まぜちのことだし 」
「 今日まぜたんがね!?まぜたんがね!?ってずーっと言ってるし 」
急に何を言い出したかと思えば、ちぐのことだった。
「 ……まぜちが思ってるより、ちぐちゃんはちゃんとまぜちのこと大好きだし、ちゃんと見てるよ? 」
「 ……でも 」
「 もー!これ言ってもわかんないの!? 」
「 でもじゃない!謝ってくるの!ちゃんと気持ち伝えるの!! 」
手で押されていないのに、あっきぃに背中を押されたような気がして。
まだ少し許せない気持ちもあったけど、まあ、言ってみるだけあるかと思って。
「 あっきぃ、ありがとう…… 」
「 俺、言ってみる 」
「 うん!大丈夫だよまぜちなら 」
手を振ったら、あっきぃは手を振り返してくれる。
おじゃましました、と数分間滞在したあっきぃの家をあとにして、ちぐが待っているであろう家へ帰る。
玄関まで来たけど、ドアを開ける気にならなかった。なんて言えばいいんだろう。
嫉妬した?寂しかった?いや、そんなの俺が許さない。
ちぐが悪いだろ?いや、これじゃまた喧嘩になってしまう。
そんな意味もないことを考えていると、ガチャリとドアが開く。
「 ぇ、まぜたん……? 」
「 ……!ちぐ… 」
沈黙が続いた。
多分、ちぐも同じ気持ち。俺に謝ろうとしているけど、上手く謝れないんだと思う。
でもやっぱり、言った方がいいと思った、から。
「 …… 」
「 「 ごめん!!! 」 」
「 えっ 」
まさかのごめんがかぶさった事に笑みがこぼれる。
「 ふっ、はは……っ 」
「 ははは…っ笑 」
「 ……まぜたん、ごめんね?まぜたんの気持ちも考えずに、誰彼構わず話しかけに言ってたなぁって… 」
「 よく考えたら、まぜたんの怒ってる理由、分かったんだ 」
「 ……俺こそ、勝手に怒って家出ちゃってごめん 」
お互いに悪かったことを謝ったあと、ちぐがとんでもないスピードで俺に抱きついてくる。
いつもだったら満更もなさそうに熱い、離れろ……と返すんだけど、今は夜の外で寒かったから、やさしく抱き返した。
「 俺、ちゃんとまぜたんが1番だからね 」
「 ……俺も、ちぐが1番 」
抱きついていた腕をちぐが離して、手のひらが俺の頬へ移る。
顔を近づけられてキスを交わすと、今ここが外だということを思い出す。
「 ……っまてお前ここ外だわっ!!! 」
「 えぇ!?別に良くない!? 」
「 良くない!!!家でやれよ!!! 」
そう俺がまた怒ると、ちぐはごめんってぇ、と楽しそうに笑った。
やっぱり、俺はこの時間がやっぱり好きだなって、改めて実感した。