ふと、“外に出たい”、“自由に”——そんな言葉が頭の中に流れ込んできた。
理由なんてない。ただ、無性にそう思った。
気がつけば、ボクは家を飛び出していた。
行く宛もなく、ただ歩いて、最終的にたどり着いたのはネットカフェだった。
誰にも邪魔されない、小さな個室の空間。
このまま、しばらくここにいよう。
そう思って、ボクは眠った。
——気づいたら、家のベッドの上だった。
「……?」
一瞬、記憶が飛んだのかと思ったけれど、違う。
確かにボクは、満喫で寝ていた。
なのに、どうして。
「おはよう、直」
顔を上げると、ソファに座る南雲さんがいた。
笑っていたけれど、目は笑っていなかった。
「……ボク、なんでここに?」
「ん? 僕が迎えに行ったんだよ」
「……」
「GPSつけてるからね、直がどこにいるかなんてすぐにわかる」
その言葉に、息が詰まる。
「……ボク、知らなかった」
「言ってないもん」
さらっとした口調でそう言う南雲を見て、背筋がぞくりとした。
たぶん、ずっと前からそうだったんだ。
ボクがどこに行っても、何をしても、南雲さんは全部知っていた。
「急に飛び出したりするからさ、危ないでしょ?」
「……」
「直がどこにいるかわかれば、すぐに迎えに行けるし、こうしてちゃんとおうちに連れて帰れるし」
「……ボクの意思は?」
「あるよ? でも、それとこれは別」
「……」
「直は自由だよ。でも、僕のそばにいることが前提の自由ね」
南雲さんがゆっくりと立ち上がり、ボクの頬に触れる。
「もう、勝手にいなくならないでね」
「……」
「——怖かったんだから」
南雲さんの声が低くなった。
怖かったのはボクの方なのに。
ボクの自由は、最初からなかったんだと気づかされて。
コメント
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うわーさいこうです!!!!😭 ありがとうございます