yama 「偽顔」
「我慢」。
それはいつか何処かで限界が来るもの。
でも限界が来る前に自分で我慢を破ってしまうかもしれない。
勇斗「はぁ…。」
今日もまた家に帰った瞬間に重い溜息。
もう電気も点けずに寝てしまいたい程に疲れているのに、体が勝手に風呂場へ直行してしまう。
もうそろそろ休みたい。
最近は仕事が多すぎて疲れも取れないし気分が落ちる事も多くなってきた。
何かを考える暇も無く「寝る」までの事を終わらせていく。
いつの間にか、ベッドの中。
時間は深夜3時。
明日…というか今日は早朝の5時前に起きる予定。
仕事は調子良く出来ているが、趣味や恋愛は尽く上手く行かない。
今の好きな相手が仁人なんて言えたもんじゃない。
まただ。
色んな考えが巡り過ぎて寝られない。
どう、何を、何処で…仁人に何が出来るのだろう。
ただ、男が好きなんじゃない。
今までの事を考えると女が好きな筈なのに、仁人にしか目も心も行かない。
仁人にしか見せない顔だっていっぱいある…のに、どれも見せられていない。
勇斗「…あほ。」
自然と涙がぽろぽろと溢れ出てきてしまう。
何の涙かは、薄らでも分かる。
勇斗「…あほ…あほ…。あっ…あほっ…。」
こんな容姿じゃなきゃ仁人に愛されていたかもしれなかった。
力の入った指先が頬を離さず、ガッシリ掴んでいる。
自分の心を安定させる為に写真フォルダを開く。
一日前、仁人。
二日前、仁人。
その前も、その一週間前、その十か月前も仁人。
一年前から仁人で溢れ返った写真フォルダが虚しい。
…なんでいっつも本音が言えないんだろう。
太智「えぇ〜…でもそれ分かるかも〜。」
勇斗「でしょ?これあるあるだと思うんだけどなぁ〜。」
二人勇斗の部屋で呑みながらの話。
太智からすればなんて事ない雰囲気かもしれないが、こちらからすれば腹が千切れる程の緊張感。
今日、太智を態々ここに呼び出したのには理由がある。
仁人と一番仲良しな太智だったら何かアドバイスをくれるかもしれない…なんて、出来ないよな。
でも話したい。
話したい。
のに話せない。
太智「佐野さんさ〜、最近仕事多いけど悩みとか無いん?」
勇斗「えっ…いや…何っ…もっ…。」
太智「いやっ、ちょ待ってや…えっと…俺でええんやったら話聞くで…?」
その時の涙は塩っぱくとも甘かった。
…太智から聞いた感じではこんな感じだった。
勇斗がその時太智に話してて良かった。
じゃなきゃこんな事一生起こってくんなかった。
勇斗「仁人…もう…。」
涙ぐむ目で見詰めてくるのが好き。
匂いも、性格も、生活も、何もかもが俺の好みだった勇斗が今こんなに近付いている。
部屋の片隅で心がどんどん繋がるような気がする。
勇斗が偽の顔じゃなく、今は本当の顔でここに居るのがまた鼓動を速めた。
仁人「…分かってるって。」
勇斗は困惑した様な顔を見せてくる。
その俺が好きな唇に近付くよ。
勇斗「んっ、」
唇は一瞬で離れるけど、絶対心は離れない。
多分、これからもね。
仁人「これからは、俺の彼氏として生きてね。」
勇斗「…一生?」
仁人「そりゃあそうでしょ。なんなら…一生束縛してよ。」
勇斗の安堵してでもまだ不安があるその顔に犯されたい。
今直ぐに。
勇斗「…一生、離さないから。」
そう言ってお互いにベッドを求める。
俺も二年前からお前が好きで本音も言えなかった。
そんなので我慢出来る訳ないじゃん。
TDNDBです。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございました🙇♀️
今までパロディに使った曲の中でお気に入りや元から好きな曲、ありましたか?
マイナーな曲もありましたが意外と多く読まれてて嬉しかったです。
とりあえず曲パロ集はこれにて終わります。
改めてありがとうございました。
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