出会いとシェアハウス生活の始まり
アオイは大きく深呼吸して、ドアノブに手をかけた。
「ここが、私の新しい場所……」
鍵を回すと、少し古びたシェアハウスのドアが開く。
中にはすでに3人の住人がいて、それぞれがソファや机に座っていた。
「こんにちは、君が新しい子?」
声の主はカナメだった。黒髪をきちんと整えた青年。落ち着いた雰囲気に、アオイは少し緊張する。
「うん、アオイです。よろしく……」
小さな声で答えると、リオがにっこり笑いかけた。
「私、リオ。芸術系学生だから、よく変な絵を描いてるけど気にしないでね」
最後に、ハルがちらりと顔を上げる。口数は少ないが、どこか優しい目をしていた。
「……ハル。よろしく」
アオイはそれぞれの自己紹介を聞きながら、自分の荷物を部屋に運ぶ。
みんな、どこか事情を抱えているのが、わかったような気がした。
夜。部屋に戻ると、ドアの向こうから微かにすすり泣く音が聞こえた。
誰だろう——。
アオイはそっと耳を澄ませる。
「……大丈夫?」
答えはなかった。でも、それでいい。ここから、少しずつみんなの距離を縮めていくんだ——。
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WO