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いるなつ大胆ッ!!!すっちーの重い愛もみこちゃんは簡単に受け止めんの尊すぎんぞォォ!!
尊すぎて口角消えた(?) 美味しかったですありがとうございますッ!✨
カーテンの隙間から射し込む朝の光に、みことは顔を背けていた。
布団の中は温かいのに、心の奥はずっと冷たい。起き上がる気力もなく、ただ天井を見
「……起きた?」
低く、優しい声が耳に落ちる。
部屋のドアを開けて入ってきたのはすちだった。
いつからか、みことの部屋に来てくれるのが習慣になっている。幼い頃から病気がちで中学校に行けない日が増えてからも、すちは毎朝顔を見せに来た。
「……まだ、起きれない……」
か細い声に、すちは何も責めない。
ただ布団の端に腰を下ろし、静かに背中を撫でる。
「無理しなくていいよ。俺、横にいるから」
その一言で、張り詰めていた糸がほどけるように、みことの目に涙が溜まった。
「なんで……そんな優しくするの……? 俺、何もできないのに……」
震える声を押し殺すみことを、すちは強く抱き寄せる。
「できないことばっかじゃないよ。笑った顔だって、俺はちゃんと覚えてる。……みことが苦しいときに、俺が隣にいられるなら、それで十分なんだ」
耳元で囁く声は、温かくて泣きたくなるほど優しい。
みことはすちの胸に顔を埋め、子どものように涙をこぼした。
「おれ、すちがいなかったら、たぶん……」
「いなくならないから」
言葉を遮るように、すちが強く抱きしめる。
「俺は、高校生になってもどんな時でもみことの傍にいる。だから、怖いときは頼って。泣きたいときは泣いていい。……みことの全部を、俺に頂戴」
その言葉に、胸の奥の暗闇がほんの少しだけ溶けていく。
涙のあとに訪れる静かな温もりの中で、みことはすちの腕に包まれたまま、初めて少しだけ安心して眠りに落ちた。
みことの体調が回復し、高校生となったある昼休み。人の少ない渡り廊下で、すちは手すりに背を預けていた。
心なしか目の下に隈ができている。
「おい、すち。元気ねぇな」
声をかけてきたのはいるまだ。すちはゆるく笑って、力なく手を振る。
「……ちょっと寝不足でさ」
「みことのことか?」
「……うん」
いるまは腕を組み、ため息をついた。
すちは少し黙ったあと、ぽつりと弱音を吐く。
「俺なりに支えてるつもりだけど……正直、怖いんだよな。みことがいつか俺から離れちゃうんじゃないかって」
「は?」
「俺さ、みことがいないと生きていけない。……ほんとは俺の方が依存してるんだ」
甘く熱を帯びた声音に、いるまは眉をひそめる。
「…お前、恋愛を口実に監禁でも始めそうな勢いじゃねぇか」
「監禁……はしないよ。ちゃんと外には行かせる。でも、俺の視界からは消えてほしくない」
「十分ヤバい」
思わず声を荒げるいるまに、すちは苦笑しつつも、うっとりとした目で遠くを見た。
「でもさ、みことが泣いて俺の胸に顔を埋めてくれると、あぁ、俺のものなんだって安心するんだ。……もっと、ずっと、俺だけを見ててほしい」
「……おい、鳥肌立ったぞ。やめろ」
いるまは背筋をゾワッと震わせ、手で自分の腕をさすった。
「お前、表ではおっとりしてんのに、内心そんなドロドロかよ……。恋愛相談っていうか、ほぼ宣戦布告だろ」
「え、俺の愛情表現って普通じゃないの?」
「甘ったるいどころか重いっつーの! ……まあ、みことが嫌がってないなら好きにしろ」
いるまは呆れながらも、最後には小さく笑った。
すちは照れくさそうに肩をすくめ、また遠くを見つめる。
「……嫌がらないどころか、前なんて泣きながら抱きしめてくれるんだよ。あの笑顔、俺だけのものにしたい」
「……はいはい、もう聞かねぇ。腹いっぱいだ」
すちといるまの会話は、曲がり角の向こうにもれ聞こえていた。
ちょうどそこを歩いていたのが、みこととひまなつだった。
「……俺だけのものにしたい」
甘く重たい声が廊下に響き、みことの足が止まる。
隣のひまなつがにやりと笑った。
「おやおやぁ、今の声……すちじゃん? 『俺だけのものにしたい』とか言ってなかった?」
「っ……! き、聞いてない……聞いてないよ俺は……!」
みことは真っ赤になって耳を押さえる。
「へぇ〜、みことってば聞き耳立てちゃって〜。しかも顔まで赤くして……図星ってやつ?」
「ち、違っ……!」
必死に否定するみことの肩を、ひまなつは面白がるように突いた。
「でもさぁ、あんなに重たい愛情、普通ならドン引きするでしょ? なのにみこと、泣きながら抱きしめたん??可愛いねぇ〜」
「や、やめてってば……!」
みことは小動物みたいにバタバタと手を振るが、余計に顔が真っ赤になるばかり。
そんなふたりの様子に、角の向こうでいるまが気づき、ため息をついた。
「……おーい、聞き耳コンビ。そこにいるのバレバレだからな」
ひまなつは悪びれもせずに笑い、みことの背中を押した。
「ほら、行ってこいよ、“すちだけのみこと”」
「っ、無理無理無理っ!」
慌てるみことを置いて、ひまなつはニヤニヤしながら先に歩き出した。
廊下の角を曲がった瞬間、すちは振り返った。
ばっちり目が合ってしまったみことは、心臓が飛び跳ねるほど驚き、視線を逸らす。
「……みこと?」
すちは少し目を見開き、すぐにふわりと笑った。
「今の、聞いてた?」
「っ……!」
返事ができず、みことの頬はみるみる赤く染まる。
「おーい、すち。お前の愛情表現、マジでドン引きしたからな」
いるまが肩をすくめると、ひまなつがすかさず絡む。
「え〜? 俺はちょっと分かるけどなぁ。だってさ、俺もいるまだけのものにしてほしいし?」
「おい……」
からかうような笑みを浮かべるひまなつに、いるまは呆れ顔をしながらも口元を吊り上げた。
「……仕方ねぇな。煽られてやるよ」
そう言うと、いきなりひまなつの腕を引き寄せ、そのまま唇を深く重ねた。
廊下に響くような水音とともに、堂々としたディープキス。
ひまなつは一瞬目を見開いたが、すぐに瞼を閉じ、甘えるように首に腕を回した。
目の前の光景に、みことは耳まで真っ赤になり、すちはそんなみことを見て目を細める。
「……みこと、俺たちも負けてらんないね」
「ま、待って待って待って……!」
2人を気にせず、いるまはひまなつの後頭部をがっちりと掴み、さらに深く唇を押し当てる。
熱が伝わるどころか、舌が絡み合い、甘い水音が響き渡る。
ひまなつは最初こそ嬉しそうに応じていたが、すぐに息が追いつかなくなる。
瞼がとろんと落ち、膝が震え、腰から力が抜けていった。
「……っ、ふ……ん、んぅ……」
必死に息を求める声が洩れるが、いるまは抱き支えたままキスを深め続ける。
ひまなつの背中をしっかりと抱きしめ、自分の胸へ押しつけるように。
ひまなつは苦しくなって、弱々しくいるまの肩をトントンと叩いた。
だが、いるまは離さない。むしろ舌をさらに絡め、喉奥まで侵していく。
「ん……んぐ……っ……」
酸素が薄く、頭がふわふわしていく。
いるまの腕に支えられなければ、そのまま床に崩れてしまいそうだ。
みことはその様子に目を丸くし、顔を真っ赤にして固まる。
一方のすちは、みことの肩に手を置いて、穏やかに微笑んだ。
「……すごいね、あのふたり。みこと、顔真っ赤」
「み、見んといて……! 俺まで変な気分になるから……!」
ひまなつの小さな呻き声が、まだ続くキスの合間に途切れ途切れに響いていた。
ようやくいるまが唇を離したとき、ひまなつはぐったりと腕の中で息を荒げていた。
胸が上下し、口元はつやつやに濡れて、まだ舌が震えている。
「……はぁっ……はぁっ……っ、 マジで酸素なかったんだけど…っ」
涙目で睨みつけるひまなつに、いるまは悪びれることもなくニヤリと笑った。
「お前が“俺だけのものにして”とか煽るからだろ? 望みどおり、息できないくらい俺のものにしてやったんだ」
「そ、そんな意味で言ったんじゃねぇよ……」
ひまなつは必死に抗議するが、腰はまだ抜けたまま、いるまの腕に縋りつくしかなかった。
みことは見ていられず、真っ赤な顔を手で覆う。
「な、なんであんなとこで……ハレンチや……!」
小声で呟くと、すちが肩をすくめ、みことの耳元で囁く。
「……でも、嬉しそうだったよ。ひまちゃん」
「ぜ、全然嬉しそうじゃなかったでしょ!? むしろ死にかけてたし!」
「それでも抱きついてた。……きっとあれは照れ隠し」
すちの落ち着いた声に、みことは余計に胸がざわつき、耳まで真っ赤に染めた。
一方、まだ酸欠気味のひまなつは、いるまに支えられながらも必死に睨みつけ続けていた。
「次やったらマジで許さないからな……!」
「はいはい、素直じゃねぇな」
からかうように額へ軽くキスを落とされ、ひまなつはさらに顔を赤くした。
ざわめきが落ち着いたあと、すちはみことの横に歩み寄った。
みことはまだ顔を真っ赤にして、目を逸らしている。
「……みこと、顔赤いね」
ふわりと笑うすちの声に、みことは思わず肩をすくめた。
「そ、そんなの当たり前やから……!」
「みことはずっと初心だよね」
すちはからかうように、指先でみことの頬を軽く撫でる。
「も、もう……いやや……」
小さな声で拒絶するみことに、すちはさらに楽しげに微笑んだ。
「でもさ、こうして赤くなるみこと、可愛いなぁ」
「な、何言ってるん…!!」
思わず叫んでしまうみことを、すちは笑いながら手でそっと包む。
「……俺がいると安心して、泣いたり顔赤くしたりするみことが好き」
「う、う……っ……!」
耳まで真っ赤になり、言葉が出ないみこと。
廊下の角で立ち止まり、すちはみことを見下ろし、微笑みを絶やさなかった。
みことは、恥ずかしさと嬉しさで心臓が破れそうになりながらも、すちの手のぬくもりに安心して身を委ねた。
そんなすちとみこのやり取りを見て、いるまが口を開く。
「……あー、可愛いじゃん」
思わず口に出してしまうその言葉に、ひまなつはムッとした顔を向ける。
「な、なんだよそれ……」
頬を赤くして目を細めるひまなつに、いるまはにやりと笑い、手を伸ばしてひまなつの目元をそっと撫でた。
「ま、お前ほどじゃないけど」
「は!? か、かわいくねぇし!」
ツンデレ全開で怒るひまなつ。だが目元はどこか柔らかく、とろんとしている。
「ほら、だから可愛いって」
そう言うと、いるまはひまなつの唇に軽くキスを落とした。
ひまなつは一瞬びくっとしたが、すぐに顔を赤くして目を逸らす。
その様子を見ていたすちは、苦笑混じりに呟いた。
「……人目をはばからないのもどうかと思うけどね」
すちの真面目そうな顔に、みことは小さく笑うのであった。
2人と離れた瞬間、みことは小さく息を整えながら、控えめに声を震わせて言った。
「……すち、俺……2人きりで……キス、したい……」
その言葉を聞いたすちは、胸の奥が熱くなり、理性が飛びそうになるのを必死に抑えた。
しかし、あまりにも可愛いみことの瞳に、耐えるのは限界に近かった。
「……うん、しよ」
静かに頷くと、すちはみことの腕を優しく引き、人気の少ない階段下へ連れ込む。
「……すち……」
甘えた声が耳に届く。
すちは遮るように唇を重ね、みことの声を塞いだ。
最初は浅く、軽く口唇を重ねる。
しかしすちの瞳が据わり、真剣な色を帯びていることに気づいたみことは、時すでに遅く、唇は深く重なり合った。
舌が絡み、吸われる。息が詰まるほどの深さに、みことの声は漏れ、身体は自然に揺れた。
それでもすちは容赦なく、ゆっくり、しかし確実にみことを求め続ける。
「んっ……ん……す、すち……!」
息も絶え絶えに声を漏らすみこと。
すちは腕で背中を支え、腰を軽く抱き寄せながら、口の中で絡み合う舌を緩めることはなかった。
次第にみことの瞳は蕩け、口角からは涎が垂れ、視界がぼんやりとしていく。
理性を失いそうな表情を見つめ、すちはなおも唇を重ね続ける。
「……かわい……」
吐息混じりに小さく呟き、すちはみことをぎゅっと抱き寄せたまま、甘く深いキスを繰り返す。
階段下の静けさの中、二人だけの世界がゆっくり、濃密に広がっていった。
深く絡み合った唇をようやく離すと、みことは息を整える間もなく、すちの胸に顔を埋めた。
身体はまだ震えて、心臓は激しく打っている。
「……はぁ……はぁ……」
小さな吐息が途切れ途切れに漏れる。
すちはそっと頭を撫で、背中をゆっくりとさすりながら抱き締める。
「大丈夫……もう、誰にも邪魔されないよ」
低く囁く声に、みことはわずかに顔を上げて、潤んだ瞳で見つめる。
唇の端にまだキスの余韻が残っており、頬は赤く、目はとろんとしている。
「……すち……」
小さく、でも甘え切った声に、すちは胸がきゅんと締め付けられた。
そのままみことを抱きしめながら、ゆっくりと階段下に座り込む。
階段下の静けさの中、二人の間には言葉以上の温もりが広がっていた。
みことは完全に放心し、すちの胸に預けたまま、力が抜けてぐったりと身体を委ねる。
すちはそんなみことをそっと抱き、優しい指先で髪を撫で、安らぎの時間を過ごした。
甘い時間を終え、すちはみことの手を握りながらそっと廊下を歩く。
みことはまだ顔を赤くし、目を伏せたまま、すちの腕に寄り添っている。
教室のドアを開けると、ひまなつといるまが揃ってこちらを見ていた。
ひまなつはにやりと笑い、いるまはため息をつく。
「おいおい、ナニしてたんだよ、二人とも」
ひまなつがからかうように言うと、みことはさらに顔を赤くして俯く。
しかし、余韻が残っているのか、色気がダダ漏れで、クラスメイトたちもちらちらと目を向ける。
「こらこら、見たらダメ」
すちは慌ててみことを抱き寄せ、体を隠すように胸に引き寄せた。
みことは顔をすちの胸に埋め、少し安心したように息を整える。
いるまはため息混じりに肩をすくめた。
「……まったく、バカップルだな」
「いるまちゃん達に言われたくないね」
すちはくすっと笑いながら、みことの髪を撫で、愛おしそうに顔を覗き込む。
みことはほんのり目を細め、頬を赤く染めたまま、すちの腕の中で小さく微笑むのであった。
__𝐹𝑖𝑛.
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読み切りです。
甘々が書きたくなったので投稿してみました…!
息抜きにお付き合い下さりありがとうございます🙏🏻
2025年11月7日 yae