ある6月の日、雨が降っていた。
「あ!中也!」
甲高い声で一人の少年が叫ぶ
それに気がついたように目の前の男子高校生が振り返る。
「お!太宰じゃねぇか!」
少年は傘を投げ捨て青年に飛びつく、その拍子に青年は地面に腰を着いた。
「中也ぁ!」
少年が青年の肩に頭を乗せる。
「太宰ちゃんと学校行けたのか?」
「行けたよ!頑張ったの!」
青年がその言葉に安心したのか少し息を吐く。
「流石太宰だ!」
青年が少年の頭を優しく撫でる。それが嬉しかったのか少年が笑顔になった
青年の目が少年の膝に向く。
「太宰、手前また怪我してんじゃねぇか」
少年が膝の絆創膏を隠しながら云う
「あ、えっと転けちゃって…」
「気をつけろよ?危ねぇかんな?」
少年な話題を変えようとなにか話題を考える
「あ!あとね!えっとね!テストね!100点だったの!」
「お!すげぇじゃねぇか!」
青年が少年に笑みを向けた。
「あ!中也の家行く!昨日約束したもん!」
少年が青年の服を引っ張り青年の自宅の方向へ向かった。
「引っ張るなよ」とでも云いたげな表情を青年は見せる。
少年がふと立ち止まる。
「中也!だっこ!」
両手を広げ青年に云う。
「しょうがねぇなァ」
少し嬉しかったのか笑顔で応える。
青年が少年を抱え歩く。
「おじゃましまーす!」
大きな声を上げ、少年が挨拶をする
「今日誰も居ねぇぞ」
「あれ?居ないの?」
いつもは青年の母親が出迎えるせいか少年が不思議そうに首を傾げる。
「2階行くぞ」
青年が云う。
それに少年が頷いた
青年の部屋に着くと真っ先にランドセルを下ろし中から宿題を取り出した。
少し束になっているプリントを机に置き青年に教えてと云った。
青年が床に座ると少し少年が青年の方へ寄る。
それに気づいた青年が少し微笑む。
「よし!じゃあやるか!」
「うん!」
「ーが、だからーこうなって、」
「…あ!わかった!4?」
「お!偉いじゃねぇか!」
青年が少年の頭を撫でる。
それに満足した様子をみせ少年が微笑む
青年が壁にかかっている時計に目をやる。
「もう3時か…」
「よし!じゃあこれ終わったらおやつの時間だな!」
その言葉を聴いた少年が顔を一気に明るくした。
「本当!?」
「じゃあ早く終わらせる!」
そう云い鉛筆を握り指で少し計算をしながらどんどん問題を解いていく。
それを見ながら青年は自分の課題を解き進めていく。
「出来た!」
「答え合わせして!」
プリントを青年に渡した。
青年がどんどん◯を付けていく
「えー29、6、、19、、160、181、」
「すげぇしゃねぇか全問正解だ!」
嬉しそうに少年が笑う
「じゃあおやつ?おやつ?」
少年が立ち上がり青年に問う。
「おう!じゃあ下降りて食うか!」
「じゃあ競争ね!」
少年が云い階段を駆け降りていった。それを青年がゆっくり追いかける
「僕の勝ちー!」
嬉しそうに少年が手を挙げる
青年が「太宰は足が早えな」と云いながら降りてくる。少年が「でしょ?」と嬉しそうに云った。
「じゃあ準備するからそこら辺に座っとけ」
少年には少し高いであろう椅子によじ登る。
笑顔で青年を見つめながら両膝を突いてる
青年が冷蔵庫からショオトケェキを取り出し準備していた皿に乗せる。
両手にショオトケェキの乗った皿を持ち片方を少年の前に置く、目をキラキラさせ少年がケェキを見る。
「食べていい?」
片手にフォオクを持ち青年に聴く
「いいぞ」
少年が食べようとした時少し少年のフォオクが止まる。
「おやつの前の挨拶してない!」
二人が手を合わせ「いただきます!」と云った。
少年が猛スピィドでケェキを口に頬張る
「美味いか?」
青年が少年に聴く
「美味しい!」
満面の笑みの少年が応える。青年が嬉しそうに「そうか」と云った。
青年は少しずつケェキを食べ進めていく
すると少年が食べ終わったのか青年のケェキを欲しそうに見つめる。青年がその圧に負け、残りのケェキを二等分にする。その少し大きい方を少年の皿に乗せた
「いいの?」
少年が嬉しそうに聴く
「おう、勉強頑張ったからな!ご褒美だ!」
少年がもう一度手を合わせ「いただきます!」と云うとどんどんケェキを食べ進める。
2人がケェキを食べ終わると青年が皿を片し始める。
「太宰は2階、上がってていいぞ」
青年がそう云うと少年が首を横に振り青年の横に立つ。
「僕も手伝うの!」
青年が驚いた表情を見せ笑顔になる。
少年の身長的に手が届きにくい為青年が台を取り出し少年の足元に置く。
それに少年が登り自分の皿を水で洗い流し青年にスポンジを借り、一生懸命皿を洗う。
「できた!」
笑顔で皿を青年に見せ云った。
青年が「偉い」と褒め少年に抱きついた。
少し照れくさそうに少年が笑う。
「よし!じゃあ2階行って遊ぶか!」
「うん!」
ゴーン、ゴーン、5時になると鳴神鐘の音が聴こえた。
(もう5時か、そろそろ帰らせねぇと危ねぇからな…)
「そろそろ帰えらねぇとな、」
残念そうに少年が顔を下に向ける
「そっか…」
少年がランドセルを背負い青年の手を握る
「送ってくからな!」
青年が云った
「うん!」
少年の自宅に着いた。
「ん、着いたぞ」
青年が云った。
「うん…あ!明日も遊べる?」
「おう!遊べるぜ!」
少年が嬉しそうに笑った。
「じゃあばいばい」
少年が自宅の玄関の戸を握る。
少し少年が考えた後振り返り青年に抱き付く。
青年が驚きながらも少年を受け止める。
それに満足したのか玄関の戸を開き中に入った。
少し最後の表情が怯えていたように見えたのは気のせいなのだろうか。
深夜0時
青年はもう眠りに着いていた。
少年の自宅からは少年の泣き声と叫び声、硬いものが何かにぶつかる音、それがうっすら夜の暗闇に響いていた。
主、新しい話連載始めます。女装男子のやつはまだ普通に続けますので!
じゃあばいばい
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