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ぽくぽくぽく、と木魚の音が響き渡る。
今はお葬式。
先日、事故にあった親戚のおばさんが死んだ。
親のいない私の面倒をみてくれた、唯一信じられる大切な人。
あまりにも現実味がなくて、私はまだ、そのおばさんが死んだということを信じられずにいた。
私の実親は散々私を虐待した末に死んだ。
中2の夏の、あの忘れたい事件。
もう3年もたつのに、まだ忘れられない。
今も昨日のことのように覚えていた。
「霊夢!」
お母さんが私に話しかけている。
(なに? お母さん)
あれ……。
どうやらこれは夢みたいで、自分から動くこともできなかったし、しゃべることも不可能のようだった。
「なんですか……洗濯物ならもうやりまし…….」
夢の中の、昔の私……?
……!
「うっさいっ!あんたみたいな出来損ないが私に喋りかけないで!!」
「あ……ごめ…なさ….」
「ゲボッ、けほ……けほっ……」
「だからっ、喋りかけんなって言ってんだろうが!!」
「…..ぅぅぅ……ごめ…」
「もういいわっ!!」
ガチャン
「……ひっく……うぅ…うぅ……」
「!?……ッギャアアアアアアッ!?」
「な……に……?」
ああ……みちゃだめ……。
「っ!」
見たくない、みちゃだめだと、そう思いながらも見てしまった。
包丁を持った男がおかあさんを刺している。
グチャリ
グサッ
ベチャベチャ
「ぉぇ……」
そして……その男の視線の先には……
臓器が剥き出しになって、血を吐いているおかあさんの……お母さんの…
死体があった。