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『琴音…!』
後ろには千夏を殺そうとしている琴音がいた。
その存在に千夏は気づいていない様子。
琴音が千夏を殴ろうとした瞬間。
『うっ、』
『気づいてるよ〜。ちゃんと見てるからね〜!』
『あぁっ!!』
琴音が蹴られ、遠くまでふっとんでしまった。
(どうする…明らかに私一人では勝てない…)
『この流れ…30回くらいかな』
静かな声。
『詩夏はここで怒って、最後に泣く。』
詩夏の手が震える。
『…やめて』
千夏は優しく言う。
『でもね』
目が細くなる。
『その瞬間が一番美しいよ、詩夏。』
詩夏は叫びながら殺しにかかる。
連撃。
床が砕ける。
壁が割れる。
でも、ちなは避け続ける。
全部知っているみたいに。
『右から来る』
回避。
『次はフェイント』
回避。
『その次に突き』
回避。
詩夏が膝から崩れ落ちる。
呼吸が乱れる。
詩夏は今までで1番すごい技をやってみせたはず。
『なんで…』
『だって見てきたもん』
命をかけた戦い。
全て意味が無い。
ただの姉の作り上げた、姉の人生。
全部、意味が無い。
『ねぇ、詩夏。』
千夏は崩れ落ちた詩夏に目線を合わせる。
『今回はどんな顔で終わる?』
詩夏は動かない。
ただ下を向く。
この絶望感に、涙さえでなかった。
目に光がない。
千夏は詩夏の尖った氷を手に取る。
千夏が少しだけ寂しそうに笑う。
そして、詩夏の胸に氷を刺す。
血が流れる。
『今回は諦めるの、はやかったね。』
詩夏の意識が消える。
静寂
そして、千夏が笑う。
『……じゃあ』
血だらけの顔で。
『もう一回やろ』
世界が歪む。
時間が巻き戻る。
詩夏の死も、戦いも、絶望も――
全部、なかったことになる。
ただ一人。
ちなだけが覚えている。
そんな彼女は笑顔で言う。
『りせっと!』
えがおでりせっと!
END