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みなさんお久しぶりです。
ずっと更新ができていなくて申し訳ありませんでした🙇♀️
それなのにいいねやフォローをしてくださる方がいて感謝しかありません。
勢いで書いた花吐き病気パロですが気に入っていただける方がいたら嬉しいです。
1は初めて保が鳴の戦うところを見た場面で
2はふんわりと9号戦のあとです。
どちらも無自覚の両片思いです。
⚠️
キャラの解釈不一致があるかも?
エセ関西弁(少しだけ)
鳴の吐血表現があります
それでも良い方はどうぞ〜
1(side 保科)
部隊と部隊の管轄境界に発生した高脅威度個体。 いつでも出られるよう待機しながら、ドローン越しに戦況を見ていた。
本来なら、応援要請が来てもおかしくないレベルだ。
なのに。
「……もう終わり…」
本体撃破まで、あまりにも早い。
被害も最小限。
彼一人で、全部やった。
普段はゲームだのサボりだの、好き勝手やっているように見えるくせに。
「天才、ね……」
自称しているのは知っている。
だが、隊長なんて役職はそんな軽いもので務まるほど甘くない。
どれだけの失敗を重ねて、どれだけのものを捨ててきたのか。
考えなくても分かる。
分かる、はずなのに。
視線が逸らせない。
ーーーーーー
自分でもおかしいと思う。
最初に浮かんだ言葉が——
『綺麗だ』
だった。
血が飛ぶ。
肉片が散る。
本来なら目を背けるような光景の中心で、その人だけが異質だった。
等身以上の銃剣を振るうたび、軌道に一切の乱れがない。
重さも、抵抗も、存在しないみたいに。
跳ぶ。
着地する。
また跳ぶ。
その一連の動きが、あまりにも滑らかで。
——まるで、
舞っているみたいだった。
「……なんなんや、あれ」
戦闘だ。
殺し合いだ。
綺麗なんて言葉が出てくる方がおかしい。
なのに、
視線が剥がれない。
血に濡れているはずなのに、汚れて見えない。
むしろ逆だ。血飛沫すら、彼を飾るものみたいに見える。
理解できない。
その違和感に、思考が引きずられる。
そして——
彼が、上を向いた。
ドローンのカメラを、正確に捉える。
その瞬間、
息が止まった。
「……は、」
瞳。
光を反射しているはずなのに、どこか深い。
底が見えない。
暗いわけじゃない。
むしろ、異様なほど澄んでいるのに。
その奥に、何もないように見える。
感情があるのか、ないのかすら分からない。
ただ、
まっすぐにこちらを射抜いてくる。
逸らせない。
逸らしたくない。
理由もなく、そう思わせる。
そして、
その瞳が、わずかに細められた。
口元が、ゆっくりと弧を描く。
「どうだおかっぱ。どうせ見ているんだろう」
——ぞくり、とした。
背筋に走る感覚の正体が分からない。
「ボク様の実力、思い知ったか?」
いつもの軽口。
いつも通りのはずなのに、
さっきまでとは、まるで別人みたいに見える。
いや、違う。
あれも、これも、
全部同じ“あの人”だ。
「……」
言葉が出ない。
頭の中で、さっきの光景が繰り返される。
血の中で笑う顔。
あの瞳。
あの動き。
綺麗で、
気味が悪くて、
目が離せない。
「おい、クソおかっぱ。無視するな」
その一言で、現実に引き戻される。
「あー……はいはい」
無理やり、いつもの調子を引っ張り出す。
でも、
心臓の音だけが、やけにうるさい。
ーーなんだよ、これ。
その違和感は、
次の瞬間、形を持った。
本獣まで、あとわずか。
普通なら、一度足を止める距離だ。
だが彼は止まらない。
減速もしない。
躊躇もない。
「……おかしい」
思わず、呟いていた。
あの速度のまま突っ込めば、
回避の余地はほとんどない。
それでも、彼は踏み込む。
軽い。
あまりにも。
まるで、
次の一歩が地面に触れないことを前提にしているみたいに。
——違う。
触れる気がないんだ。
「……っ」
胸の奥が、ざわつく。
強いのは分かっている。
あの動きに無駄はない。
判断も正確だ。
それでも、
どうしても拭えない。
“このまま、どこかへ行ってしまうんじゃないか”
という、嫌な予感。
彼が跳ぶ。
一直線に、本体へ。
迷いがない。
あまりにも、ない。
空中で身体を捻り、振り下ろされる怪獣の爪を紙一重でかわす。
その動きすら、
どこか現実感がない。
綺麗で、
——軽すぎる。
銃剣が振り下ろされる。
ためらいなく。
まるで、
そこに自分の身体があることすら、
考えていないみたいに。
「——っ」
鈍い衝撃。
次の瞬間、
本獣が内側から崩壊した。
『——本獣、撃破』
「……は」
成功している。
完璧な結果だ。
なのに、
胸の奥だけが、どうしようもなくざわつく。
あの踏み込み。
あの跳び方。
あの、一瞬の無防備な姿。
——まるで、
いつ壊れてもおかしくないものを見せられたみたいで。
「……どうして」
小さく、呟く。
どうしてそんな戦い方ができる。
どうして、
そんな風に。
自分の命を、
軽く扱える。
答えは返ってこない。
ただ、
血の中に立つ彼が、
さっきと同じように、
何でもない顔をしているだけだった。
2(side 鳴海)
花のような形をした怪獣だった。
幹のように太い茎が高くそびえ、その先端で蕾が固く閉じている。建物の隙間を縫うように無数の根が広がり、道路を完全に覆い尽くしていた。根からは小さな花のような器官が生え、そこから伸びる蔦が周囲のあらゆるものに絡みついている。
何世紀も出現例のない個体。
データは紙媒体のまま、デジタル化もされていない。
つまり——弱点不明。
「厄介だな……」
本獣のフォルティチュードは高くない。
だが問題はそこじゃない。
「根の密度が異常だ。本体に近づけない」
「狙撃は?」
「無理だ。後方にデーパトがある。貫通したら終わる」
通報を受けてすぐ出撃したが、成長速度が異様に速い。
周囲の建物はすでに蔦に覆われ、外からの侵入も困難になっていた。
屋内への侵食はまだ確認されていない。
だが——
「逃げ遅れた人が中にいる」
時間がない。
侵食は今この瞬間も広がっている。
「長谷川、ボクが行く。あのでっかい花を叩く」
「いや、しかし——」
「本獣と根は繋がってる可能性が高い。核を潰せば止まる」
「単独は危険すぎる」
「これが最短だ。途中の建物を足場にする」
「蔦はどうする」
「実戦経験のある奴に狙撃させろ」
「お前に当たったら——」
「だから、上手い奴にやらせろって言ってる」
沈黙。
「……了解した」
当然の判断だ。
未知の怪獣に単独突入なんて、正気じゃない。
それでも。
時間をかければ、それだけ被害が増える。
改めてレティーナを怪獣に向ける。微弱な電気信号を拾い、最短ルートを描き出す。
蔦の密度が低い地点。
足場に使える建物の配置。
——いける。
……あいつがいたら。
こんなルート取りはしない。
あいつが正面から道を切り開いてくれるから。
刀一本で戦況をひっくり返す、あの男。
——だから欲しかったんだ、あいつが。
初めてその背中に刻まれた電気信号を見た時から。
9号戦で不服ながらも共闘した時もそう思った。
「……なんで今、あいつのこと……」
「隊長、準備できました!」
思考を切る。
「分かった。行くぞ」
侵食されかけたビルの外壁に足をかける。
崩れかけたコンクリートが靴底で砕けた。
二歩、三歩。
重力をねじ伏せるように駆け上がる。
次の足場まで、約六メートル。
踏み切りと同時に、肺の空気を吐く。
——飛ぶ。
風が頬を打つ。 視界の端で蔦がうねる。
遅い。読める。
着地。膝で衝撃を殺し、そのまま前転。
止まらない。
次へ。
また次へ。
この瞬間だけは、すべてが軽くなる。
死んでいった仲間。 守れなかった人間。 浴びせられた非難。
全部、遠ざかる。
考えるのは次の一歩だけ。
あと数十メートル。
その瞬間——
「ッ」
“死”が見えた。
太い蔦がしなる。 軌道は、頭部へ一直線。
反射的に背を反らす。
空気が裂ける音。
——回避。
だが、衝撃。
ガスマスクが弾け飛ぶ。
頬を何かが掠めた。
熱い。血。
「隊長!」
無線が叫ぶ。
構うな。
着地。 加速。
最後の距離を詰める。
目前に迫る本体。
閉じた蕾。
「——終わりだ」
武器を叩き込む。
鈍い手応え。
一瞬の静止。
次の瞬間、内部から裂けるように崩壊した。
同時に、
蕾が弾ける。
白い粉塵のようなガスが噴き出した。
「——っ、ゲホッ」
吸った。
反射的に息を止めるが遅い。
喉に焼けるような違和感。
だが、
「……本体、撃破」
根の動きが止まる。
蔦が力を失い、崩れ落ちていく。
予想通り、本体と連動していた。
「……ゲホッ」
軽い咳。
問題ない。
この程度——
ーーーーーーー
第1の医務室。
白い部屋。無機質な光。
「気分は」
「問題ない。軽い咳だけだ」
「バイタル値いつもよりやや不安定。経過観察します」
つまらない検査だ。
あの程度のガスでどうにかなる身体じゃない。
そう思った、その時。
「……っ、」
喉に違和感。
引っかかる。
「ゴホッ……」
何かが上がってくる。
鉄の味。
いや、違う。
柔らかい。
「……?」
口元を押さえる。
もう一度、
「——ゲホッ」
掌に落ちた。
白い花弁。
小さく、やわらかく、血に濡れている。
「……は?」
思考が止まる。
花だ。
花びら。
喉から。
「……なんだよ、これ」
医療員の顔色が変わる。
モニターの数値が跳ね上がる。
「異常症状確認!」
「待て、ただの——」
言葉が続かない。
咳が込み上げる。
「ッ、ゲホッ、ゲホッ——!」
二枚、三枚。
花が零れる。
床に落ちる。
白が増えていく。
呼吸が浅い。
胸が苦しい。
違う。
痛みじゃない。
もっと、別の——
形にならない何かが、喉を塞いでいる。
「下がってください!」
肩を押さえられる。
無理やりベッドに押し戻された。
「検体採取急げ、症例一致の可能性——」
「待てって言ってるだろ……ただの異物反応だ」
息を整えようとするが、うまく入らない。
喉がひどくざらつく。
年配の医療員の一人が、落ちた花弁をピンセットで拾い上げる。
「嘔吐中枢花被性疾患じゃないのか?」
「……なんだそれ」
「現在、旧資料を照合中です。詳細は——」
その時だった。
「見つけました!」
別の医療員が、紙の束を抱えて駆け込んでくる。
古びたファイル。 端が擦り切れている。
「保管庫のアーカイブです!怪獣分類外縁種の付随症例——これです!」
「寄越せ」
ページがめくられる。 乾いた音。
「……成分不明の胞子、もしくはガス状物質を吸引した個体に発症」
「やっぱりあの時の……」
小さくざわめく室内。
「潜伏期間あり。その後、咳嗽、喀血——」
「ッ、ゲホッ……!」
噂をしたように、鳴海が咳き込む。
長谷川が慌てて背を支える。
「鳴海、落ち着け——」
「触るな、大丈夫だ……ッ」
口元を押さえる。
指の隙間から、また白がこぼれる。
花弁。 今度はさっきより多い。
呼吸が浅い。 うまく吸えない。
胸が、じわじわ締まる。
「症状一致……間違いない」
医療員がページをなぞりながら続ける。
「通称、花吐き病」
「……だから、それはなんだ」
苛立ちが混じる。
ページをめくる音。
一瞬、妙な間。
「——感情起因型症例」
「は?」
「未発露の強い感情が肉体に影響を及ぼす」
「だから、なんだそれ」
「主に報告されているのは——」
ほんの少しだけ、言い淀む。
「恋情です」
「……」
沈黙。
一拍置いて、
「は?」
さっきより低い。
「特定の相手への片想いが臨界に達した場合、体内に植物性組織が発生、排出されると記録されています」
「意味がわからん」
即答。
「意味の話ではなく事実です」
「いや、だから——」
言い返そうとして、
「ゲホッ、ッ……!」
また来る。
今度は強い。
体が前に折れる。
「ッ、は……ッ、」
息が、吸えない。
喉に何かが詰まる。
「気道確保!無理に喋らないでください!」
「……ッ、くそ……」
こみ上げる。
逆らえない。
「——ゲホッ!」
ばさ、と。
さっきより大きい花弁が落ちる。
赤が濃い。
床に散る白が、少しずつ増えていく。
静まり返る室内。
さっきまでの“珍しい症例”みたいな空気が消える。
現実味が、出る。
「……進行、早いな」
長谷川が小さく呟く。
鳴海は荒い息のまま、睨むように顔を上げた。
「で」
短く言う。
「結局、何すればいい」
医療員は資料に目を落とす。
「……感情の解消、もしくは成就」
「却下だな」
「他は」
「……ありません」
「は?」
「記録上、それ以外の完治例は確認されていません」
沈黙。
鳴海は数秒、何も言わない。
それから、
「で?」
低く続ける。
「その“片想いの相手”ってのは、どうやって特定する」
ここまでお疲れ様でした。
変なところで切ってすみません。
更新できるだけ急ぐので、いいねよろしくお願いします。(とってもとってもモチベになります)
コメント
1件
うわーー!!!ずっと見たいな~~~(*_*)って思ってました!!今回も神作の予感がしますね~~!!次回も待ってますー(*´ω`*)