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消灯前。
独房区画には重たい静けさが落ちていた。
こさめは今日も、すちの独房の前に座り込んでいる。
もう最近は、ここが一番落ち着く場所みたいになっていた。
🦈「……ねぇ、すち」
🍵「んー?」
すちはベッドに腰掛けたまま、ゆるく首を傾げる。
こさめは膝を抱え、小さく呟いた。
🦈「二人で生きられたらいいのに」
空気が止まる。
すちは一瞬だけ目を見開いた。
こさめは気づかないまま続ける。
🦈「普通にさ、一緒にご飯食べたりして」
ぽつぽつと言葉を落とす。
🦈「今日こんなことあったよーって話したり」
声が震えていた。
🦈「そういうの、したかったな……」
最後の方は、ほとんど泣き声だった。
すちは静かにこさめを見つめる。
胸が痛い。
この子は本気でそんな未来を望んでる。
自分みたいな人間と。
🍵「……こさめちゃん」
名前を呼ぶ。
こさめが涙目のまま顔を上げた。
すると、すちはふっと笑う。
どこか壊れそうな笑顔だった。
🍵「じゃあ‥いっそ二人で逃げちゃうか」
🦈「……え?」
🍵「ここから」
🍵「どっか遠く行って、誰も知らない場所で暮らすの」
こさめの呼吸が止まる。
すちは続ける。
🍵「小さい部屋借りてさ」
🦈「……」
🍵「こさめくんが帰ってくるの待って、“おかえり”って言うの」
その光景が簡単に想像できてしまって、こさめの胸がぎゅっと締まる。
だめだ。
そんなの。
🦈「……無理だよ」
震える声で呟く。
🦈「絶対捕まるし……」
🍵「うん」
🦈「すち、死刑囚だし……」
すると、すちはくすっと笑った。
その笑い方が、妙に優しい。
🍵「こさめくん」
🦈「……なに」
🍵「俺を何だと思ってるの」
ゆっくり立ち上がる。
鉄格子の向こうから、静かにこちらを見る赤い目。
🍵「そうだよ、死刑囚だよ?」
その瞬間。
ぞくり、とした。
低く落ちた声。
普段の穏やかさとは違う、冷たい響き。
こさめは息を呑む。
すちは鉄格子へ近づく。
🍵「鍵奪う方法も、人ひとり黙らせる方法も知ってる」
静かなのに怖い。
でも同時に、ひどく悲しい声だった。
🍵「本気で逃げようと思えば、きっとできるよ」
こさめの指先が震える。
すちは少し目を細めた。
🍵「……怖い?」
その問いに、こさめはしばらく黙っていた。
怖い。
きっと普通なら。
でも。
こさめはゆっくり首を振る。
🦈「……怖く、ない」
すちの表情が止まる。
こさめは涙を堪えながら笑った。
🦈「だって、すちはこさめ傷つけないもん」
その瞬間。
すちは苦しそうに顔を歪めた。
🍵「……そういうとこ」
🍵「ほんと、壊したくなるくらい愛しい」
コメント
1件
うわああああ…この第20話、胸がぎゅううってなったよ…!!😭💔 「二人で生きられたらいいのに」って呟くこさめの声、震えてて…普通の日常を望むだけなのに叶わないって泣いてるのが切なすぎる。でもすちが「逃げちゃうか」って返した時、一瞬希望が見えた気がしたのに、現実を突きつけられて…でもすちの「本気で逃げようと思えばできる」って台詞、背筋冷える怖さと優しさが混ざってて鳥肌立ったよ…!! 最後の「愛しい」の重み、やばい…ずっしり心にきた。2人の関係がもっと知りたくなる回だった!✨