iris 様 .
自己解釈 .
桃赤 .
赤 side .
2024 . 9 . 20
_ ヂリリリ ッ
うるさく鳴る時計をみつめる
時計を止める。
結局今日も寝れなかったな
鏡越しに映るしらけた顔。
赤 「よかったー」
この顔が変わってなくてよかった。
これが俺だから。
まだ 俺は俺を見失ってない。
_ ピコンッ
赤 「おはよー 桃くん !」
桃 「お 赤ーーー!!」
桃 「おはようーー!!」
赤 「朝から元気だね笑」
桃 「今日はいい調子ーー!!」
ああ、かわいいなあ、
狂ってしまいたい程 かわいくて 愛おしい
画面越しでも 愛おしいのは 何故だろう
でも そんな彼だからこそ
赤 「っ… 。」
こんな恋じゃ叶わないなんて苦しいなあ、
心の奥が圧迫されて萎縮して
石みたいに固まって動けないような
それを取り繕わなきゃやっていけないような
上手く笑わなきゃいけないような
苦しい苦しい恋。
君の右隣じゃなくて
左隣には立たせてくれない ?
心臓がある大切な左側を
俺に守らせてはくれない ?
赤 「っ笑」
まあ期待しただけ傷付くだけだけど。
夜になってもう寝なきゃいけない時間。
昨日寝付けなかったから今日寝ないと
学校でばれちゃう
でもどうしよう例えば
明日君に連絡をして返信が 来なかったら
既読だけついて、返信が無かったらどうしよう
そのとき俺はどうする ?
そのとき俺はどうなる ?
2024 . 9 . 21
またうるさく鳴る時計をみつめて止める。
結局、今日も寝れなかった。
昨日寝付けずに夜中に送った
「また明日ね」
まだ既読も返信もない。
学校の支度しないと、と
重い鉛のような体を持ち上げる 。
支度が終わった頃には
既読もついて返信があった。
桃 「赤 おはよう!!」
桃 「今日って持ち物あったよね!!?」
桃 「持ち物なんだっけ!!!」
朝から元気でかわいい彼のメール
赤 「桃くんおはよ!」
赤 「進路希望調査表じゃない ?」
桃 「うっわ それだ 天才」
桃 「神すぎ ありがとう!!!!!」
赤 「いいえー笑笑」
喜びより先に安堵がきてしまった俺は
ほんと だめだなぁ
桃 「てかさ、赤」
赤 「んー?」
桃 「最近さ、なんかあった?」
赤 「え?笑」
赤 「なんもないよ?笑笑」
ああ 君が知ってしまう。
ちゃんとちゃんと笑わなきゃ
ただでさえ不利な立ち位置なのに
こんなとこ知られたら絶対…. 、
赤 「どうしたの?桃くんこそ急に」
桃 「ん、いや勘?笑」
赤 「勘なの?笑」
桃 「じゃあ 俺そろそろ支度するね!」
赤 「りょうかい!」
桃 「また 学校で!」
赤 「うん、またね!」
朝のメールが終わるのはいつも彼から。
俺は いつまでも続けたいから
いつも 前日に支度は終わらせてる。
でも 会話が終わってから鏡をみて、ひとつ。
赤 「っ、」
自分の頬に両手をあてて
口角を無理矢理あげてみる。
大切が 壊れないように 失わないように
見失わないように。
幸せになれますように。って
底なしの 不安なんて押し潰して
口角あげて笑おうよ 明日の俺。
赤 「っ”、ぅぅ、」
こんな声なんて出すなよ
笑い声 出せよ
ほんと、何やってんだよ、俺。
学校からの帰り道を毎日歩いてる道を
俯き気味にいつも通り歩く 。
なんか、今日手繋いでる人たち多いな 。
浴衣着てる人も沢山いるし、
赤 「あ、そっか」
今日花火大会か、
暗い夜に咲く色鮮やかな花。
空に楽しそうに舞っている花火を
綺麗と思いたかったけど、
俺には無理だ。
どうしようもなくなって
いつの間にかその場を離れてた。
家に帰ってた。
もう、君は俺の呪いだよ。
あきらめなきゃ、忘れなきゃいけないのに
忘れてって 言われたのに
あのときの無造作な電信音が
頭の中で鳴り響いて鳴り止まない。
__ 1年前 2023 . 9 . 21
彼氏の桃くんから電話がかかってきた。
その日は花火大会の日で
” 行けなくなった “ って
その日に連絡がきたから
ちょっと怒ってた。そんなとき。
まだ何かあるのかと少し怒りを含みながら
応答に指を動かす。
はじめに鼓膜を鳴らしたのは
桃くんの呼吸。
荒くて乱れてて苦しそうな呼吸。
なにかがおかしいって思った。
赤 「桃くん?桃くん?どうしたの?」
焦りを含みながら問いかける
この問いに対して彼からの答えはなかった。
桃 「っは 赤っ、」
赤 「!!桃くん!!」
長らく声がきこえなかった
桃くんの声をきけて少し安心する。
赤 「ねえ どうしたの!!?」
赤 「何があったの!!?」
桃 「…、」
赤 「ねえ 桃くん!!」
桃 「…ごめん、っ笑」
赤 「は… っ、?」
_ッ ツーツーツー
赤 「ねえ 桃くん!!桃くん!!!」
赤 「うそ なに どうしたの!!?」
赤 「ねえ、ねえ!!!!」
頭で考えるよりも先に
体が桃くんの家に向かってて、
着いたときは
桃くんの家は警察やら人やらで囲まれてた。
人混みを掻き分けて叫びながら
桃くんの家へ入ろうとする。
入ろうとしたけど止められる。
赤 「ねえ!!桃くん!桃くん!!」
赤 「何があるの!!何があったの!!?」
赤 「ねえ 答えてよ!!!」
赤 「桃くんっっ!!!!!!!」
家に向かって叫んでも
君は答えてくれない。
君の声すらきこえない。
答えを求めてない人に
残酷な 無慈悲な 現実を教えられる。
__ 「少年が親からの虐待で心肺停止」
_ ツーーー
赤 「ぁ、ああ、」
なんで
赤 「なんで?」
赤 「なんで 桃くん」
赤 「なんで なんでよ」
無造作に鳴り響く君の心音
画面に映られた心臓の鼓動の動きは
ただなんもない静かな海のよう。
それが俺に現実を突きつけてくる。
無駄に大きい病室の中
鳴る心音の音が煩わしくて
怖くてそれを紛らわせるかのように
俺の泣き声が鳴り響く。
誰もいない病室の中
布で顔を覆った君に縋り泣く。
警察の方が病院に着いたあと渡してくれた
彼の文字がかかれた 小さな紙きれ 。
彼は父親に虐待をされていたらしい。
母親は味方でずっと一緒にいたけど
その日はひとりで実家に帰っていた。
そんなとき彼奴が桃くんを
殴って 蹴って
挙句の果てに首を絞めて殺した。
数え切れないほどみえる痣。
焼かれるようについてる火傷の跡。
首についてる 生々しい傷跡。
それが全てを物語ってる。
” 幸せな花火大会にできなくてごめん “
小さな紙きれに書いてあった
たったひとつの
それだけの言葉。
いつもより雑にかかれてて
汚くてでも桃くんの字で
あたたかくて優しい
彼の人柄を表すような
文字がかかれてある紙を
優しく握って彼に泣きつく。
ねえ俺どうすればいいの?
どうすればよかったの?
赤 「っはぁ、」
思い出さないようにしていたのに
毎日君の幻想をみるくらいに
俺はもう狂っているのに
こんなにあの日のことを鮮明に思い出したら
もう俺、なんもできなくなっちゃうじゃん
夜に咲く花の音と
人々の歓声が鼓膜を震わせる
小さな紙きれを読んで
頬に雫があたって
もう我慢できなくなった。
もう孤独な暗い夜は嫌だよ桃くん。
とうとう俺は本当に狂ったんだと思った。
ただの都合のいい幻だと思った。
赤 「っぁ 桃、くん…っ?」
赤 「ねぇ、桃くんなの?」
赤 「ほんとに 桃くんなの…っ?」
桃 「…、」
桃 「、笑」
赤 「!…っ」
赤 「ぁああ…っ!」
彼の笑顔をみた瞬間
彼に とびついて 抱きついた 。
あの笑顔は
優しく受け止めてくれるあの笑顔は
世界で一番愛おしい
桃くんの笑顔だ。
赤 「ごめん、ごめんっ、!!」
赤 「気づけなくてごめんっ!!」
赤 「頼れるような彼女になれなくて、っ」
赤 「ごめん…っ 、」
桃 「俺こそ、」
桃 「黙ってて ごめん、」
桃 「彼氏なのに黙って先いって」
桃 「ほんと、っごめん、」
桃 「辛い思いばっかさせてごめん…っ、」
赤 「…っ じゃあ」
赤 「お互い様だね…、っ笑」
桃 「っ、笑」
縄をかけた首
地面から離れた足
真っ暗な視界。
ああ 君は迎えにきてくれたんだね。
足元にある紙きれのそばには
ひとつの写真がおちていた。
_ ヒラッ
2022 . 9 . 21 花火大会
コメント
2件
切なすぎて涙が止まらない😭 🐤くんよく我慢したなと思うとまた涙が溢れます😭ほんとうに神作をありがとうございます😭