いらっしゃいませ〜
足を運んでくださりありがとうございます
しおん様からのリクエストいただきました!!
リクエストありがとうございます。
それでは本日のおすすめの本の
注意書きをご覧下さい
✿.•¨•.¸¸.•¨•.¸¸❀✿❀.•¨•.¸¸.•¨•.✿
irxs様とは関係ありません
nmmn注意
ペア···▸桃白
年齢変更・身長 一人称 変更 注意
桃···▸19歳 160cm
白···▸22歳 175cm
薬・実験体要素含みます。
苦手な方 地雷な方は自衛をお願いします
✿.•¨•.¸¸.•¨•.¸¸❀✿❀.•¨•.¸¸.•¨•.✿
それでは行ってらっしゃい
また遊びに来てね〜!!
目の前に並べられた試験管。
後ろには寝台、薬品が置いてある。
寝台の更に奥の部屋には実験体が眠っている。
すやすやと寝息を立て寝返りを打つ。
その寝顔は年上なのに子供みたいだった。
寝顔を眺めてから薬品を混ぜ
実験薬を試作するのが毎日の楽しみ。
そう。毎日の楽しみだった。
桃side「実験体番号03」
桃「っと…これを混ぜて…完成… 」
フラスコに薬品と香料を混ぜ器に注いだ。
完成した薬を手に持ち奥で
眠っている実験体の元に向かった。
桃「実験体番号03…治験の時間だ。起きろ」
白「…んっ…ぅ…??…ないこさん…おはようございます…」
体を揺すり寝ぼけている実験体の頬を叩き
毛布を取った。
白「相変わらず…扱いが雑…ですね…」
桃「起きないあんたが悪い。 」
白「治験まで寝るって言いましたよね… 」
生意気な態度なのもずっと生活すると
慣れた。
白「で??今日はどんな薬なんですか??」
寝台から起き上がり眠そうな目で薬品を眺める。
─興味はあるのかな。
桃「今日は…そ、の…依頼だから…ボクの好みとかじゃないから…勘違いしないでね」
白「…分かってますよ。で??これ何の薬ですか??」
しどろもどろに話すボクを見て
痺れを切らしたのか実験体は説明を聞かず
瓶の中身を飲み干した。
桃「…何勝手に飲んでんの!!」
白「ないこさんが説明しいひんからやないですか。俺にも労働時間がありますので」
桃「そ、れ媚薬だけど…あんた耐性あるの??」
白「…………」
顔を真っ青にし実験体はその場で蹲る。
人の説明を聞かずに薬を試すからこうなる。
桃「馬鹿なの…?!そっちの瓶はまた未調合なので…効果と安全性の保証は無くて…
ボクも副作用とか分からないんですよ!!」
白「…っ…んぅ…頭痛い…」
桃「痛いのは頭だけ??他は…効果の方も確かめたいし…寝台まで歩ける??」
立ち上がれなさそうな実験体を担架に乗せ
寝台に寝転がせる。
顔色・瞳孔を見るまでもなく実験体の
体調は悪そうなのは明白だった。
桃「体温は…さっきより低い…今日は毒の治験をして貰う予定だったのに 」
遅効性の媚薬だから効果が出るのは数時間後。
大人なら薬が回るのも子供より遅いはず。
桃「…実験体番号03。今日はもう良いから
奥の部屋で寝てこい。鍵は閉めるから…」
白「な、いこ…さんが…他の実験体に…構うのは嫌です。」
桃「…構うって…ボクは仕事をしてるだけ…
実験体は多い方が仕事の効率も上がる。
だから…早く部屋に…」
効果が出ない内にと部屋の鍵を渡すと
実験体はボクの手を握った。
桃「…戻れ。早く。実験体番号03…聞こえてるか??」
白「…っ、やだ。ないこさんは俺の人ですよ…??今離したら…別の実験体に触れるでしょ?? 俺はそれが嫌なんですよ」
桃「…離せ。実験体1人の我儘にボクを巻き込むな。 」
力が強くて子供のボクじゃ振り払えない。
実験体に自我を持たせた結果こんな自体を
引き起こすなら…洗脳しておけば良かった。
桃「部屋に戻って。 実験体番号03番」
洗脳したらこいつは
ボクの思いのままに扱える。
その方が仕事の効率が
上手くいったかもしれない。
桃「悪いけど…ボクは03番の物じゃない…っ、大人しく寝てろ」
机に置いていたあった注射器を握り
03番の腕に刺し薬を投与した。
白「…っ、…ぃ…」
桃「麻酔を打ったのは正当防衛だ。
安心して。致死量じゃないから」
─ これ、過剰防衛に入らないよね……?
そんな不安を抱きながら穏やかに
寝息を立てている実験体の寝顔を眺めた。
無防備な寝顔が綺麗だと思ったのは
本人には言わないでおく。
─言ったら調子乗るしね…
桃「ボクの実験体なんだから
…居なくなったら駄目だよ。」
そっと唇が触れたのもきっと気付かない。
こいつに特別な感情を抱いたことは一切ない。
─あるのは独占欲くらいだ。
効果と副作用を紙に纏めファイルに綴じた。
こんな依頼は二度と受けたくない。
白side「…他意はありません。」
─ないこさんの唇が頬に触れたことに驚いた。
優しい眼差しに熱を帯びた顔。
恥ずかしくてすぐ唇を離した所も全部。
─愛おしい…。
目を覚ましたら聞いてみようか、と考え
辞めておこうと答えを出した。
ないこさんは怒ると手が付けられない。
平気で致死量の毒を注入する。
それで居なくなったら実験体が居るという
噂を聞いていないのにホッとした。
白「…っ、??ないこさん…おはようございます」
今は何時だろうと時計を探す為に
辺りを見渡す。
見渡しながら瞬きを何回かすると目のピントが合ってきた。
桃「んっ…03番体調はどうだ??」
白「昨日より良くなりました。」
体を襲う倦怠感も熱を帯びた体も少し落ち着いた。
─目の前にないこさんが居る。
それだけでこんなに……嬉しい。
心配そうに顔を近づけるないこさん。
可愛らしい顔が良く見えた。
桃「次勝手に飲んだら…許さないから…」
震えた手で僕の手を掴む。 涙に濡れた瞳が綺麗で、可愛くて… 頬が赤く色付くのを感じた。
桃「っ、…聞いてる??03番?? 」
嗚咽を漏らし言葉を紡ぐ。 “俺だけ“に心配の視線をくれる。
─幸せやな。
白「勿論。聞いてますよ。」
手を握り返すとピクリと肩が震えた。 握った力が強かっただろうか。
桃「…なら良、…いけ…ど」
白「で??今日の薬品は何ですか??」
いつも口にする質問。 朝起きて直ぐに治験をする。 休みの時もあるけど基本はない。
─今日はどんな薬やろ?
治験の日はないこさんが“俺“だけに構ってくれるから好きなんよな。
桃「今日は無い、よ。っ、 …ボクがやっ、といた。」
白「そ、ですか…」
─今日はお休みか。
残念がる俺を見てないこさんは 申し訳なさそうに口を開く。
桃「毒の試…飲なんてし、たくないでしょ?」
「…それとボクが毒と毒 林檎…の治験したこと気にしないで良いからね。」
─毒林檎。毒林檎か。 まぁ…食べないのはええけど…。
白「吐いてください。毒に耐性があっても
苦しいのは変わりませんよね??」
苦しそうにお腹・口を抑えるないこさんの
背中を優しく撫でた。
ないこさんは 暗い顔色で体重を預けた。
桃「大丈夫。少ししたら落ち着くから。
それより今日は何して過ごす??3番が したい事あったら付き合、うよ」
なんてことも無く何をして過ごそうか尋ねる。
実験体の事は心配するのに自分の事は心配しない。
─なら俺が心配する。
白「ないこさんとお出かけしたいです。 服とかないこさんに選んで欲しいです」
桃「…良いけど…そんなので良いの?? 折角の休みなの、に?」
体重を預けても尚ないこさんは苦しそうに
声を漏らす。
分泌された唾液がぽたりぽたりと床に垂れ
カーペットに染み付いた。
顔色は真っ青で死に近付いている様子だった。
白「先に謝っときます…すみません…っ…」
寄りかかっていたないこさんを壁に追い詰め
握っていた手を離す。
空いた手で顎を掴み唇を押し付けた。 ないこさんに無理矢理口付けた。 触れたのは一瞬。
そっと唇を離しないこさんから顔を背ける。
白「 机に置いてあった解毒剤飲ませただけで 他意はありません。」
先程と違い顔を真っ赤にするないこさん。
薬が体に回ったのか顔色はさっきより元気そうだ。
桃「…3番は…先に… 食事済ませといて…食材とかは冷蔵庫に入ってるから、…じゃ、あね…」
明らかに俺を避ける。 他意は、無いと言ったけど本人は気にしていた。
─まぁ…ファーストキス取られたから当たり前か。 そう思いながらも触れた柔らかい唇の感触を
忘れられなかった。
桃side「意識??」
一瞬触れた唇。03番の真剣な瞳。 ─からかってる様には見えなかった。
ただ単に心配して口付けただけ。 3番の言う通り“他意“なんてものは無い。 けど驚いた。
─ボクの事なんか大切に思ってないくせに。
桃「っ…ぅ…」
胸がちくんと傷んだ。 涙が零れその場に泣き崩れる。 みっともなく涙を零し蹲る。
白「ないこさんご飯出来ましたよ。大丈夫ですか??立てそうですか?? 」
桃「っ、っ…手貸して 」
泣いてる所を見られたくなくて 服の裾で涙を拭う。 拭っても涙は、零れ続ける。
白「大丈夫ですよ。大丈夫。」
『大丈夫』。その言葉に昔のことを思い出した。 思い出したくない辛い過去。
『弟は良いのに何でボクだけが
薬を作らないといけないの??』
小さい頃から薬品に触れたり実験をするのが
好きなボクを見て両親は扱いに困ったそうだ。
育てる傍ら、ずっといつ人体実験をするのか分からない。
気味の悪い息子の面倒を見たくない。
だから…両親は此処にボクを閉じ込めた。
実験が出来るようにと03番をボクの傍に置いた。
身寄りのない03番は、物として此処に閉じ込められた。
桃「ボクのせいでごめん…ね…03番… ずっと…迷惑…掛けて… 」
白「俺は気にしてませんよ。 ないこさんの傍に居れて幸せです。」
抱き締められたと気付いたのは ほんの数分後。
桃「03番??」
白「ないこさんは我慢しすぎです。 少しは俺に甘えたらどうですか??」
距離を取ろうと03番の体を押しても… 離してくれない。
桃「…03番…い、たい…離して 」
白「…っ、はぁ〜い。離れます 」
桃「03番……ご飯食べたら??行、く…?」
服の裾を掴み初めて03番に甘えてみた。
03番反応が怖くて…顔を見れず床を見る。
白「ないこさん…可愛いっ」
桃「っ、… 」
─反応に困る。 嬉しそうに微笑む03番。
服の裾を離そうとすると『離さないで』と
言われ握りっぱなしになる。
桃「03番の方が…可愛い、 自覚持ってる〜?」
白「俺は可愛くありません」
人の髪に触れるのが初めてでドクンドクンと
心臓の音が聞こえた。
桃「…03番のご飯…食べるの楽しみ」
白「ないこさんの為に頑張ったので期待しててください!」
話しながらリビングに続く廊下を歩き、
03番と向かい合わせに座り食事をする。
白「ないこさん…付いてますよ」
桃「…っ、ありがとう」
指摘しつつもティッシュで口の端を拭ぐわれた。
少し擽ったくて照れくさい。
桃「…で、どうして朝からお肉…??」
並べられた肉料理を眺め、胸の内に秘めていた 疑問を口にした。
いくら成長期でも…朝からお肉は少々重い。
─美味しいから…文句は言えないけど。
白「ん〜ないこさんは普段からお肉とか
食べないじゃないですか」
桃「解剖してるからお肉食べれないの…
説明不足でごめんね。魚と野菜は食べようと思えば食べれるんだけど…」
食べる手を止め食器を03番に手渡した。
人の解剖を好むボクより真っ白な03番の方が食事をすべきだ。
桃「…ご馳走様。美味しかったよ 」
白「全然食べてないじゃないですか…
ないこさん…もう少し食べてくださいよ」
桃「…血腥い子供に…優しくしないで良い
ボクはそれだけのことをされる価値が無い」
首を横に振り03番の膝に寝転がる。
体温が暖かくて…安心した。
桃「…っ、ボクより長生きしてね」
白「言われなくても長生きするつもりですよ…なので食べましょうよ」
食事をしたくなくて…気力が無くてダランと
手を伸ばす。
桃「…果物なら食べてるから大丈夫だ、よ
食べ終わったら出かけようか 」
白「…ご馳走様でした。ないこさん行きましょうか」
席を立ち食器を手に持った03番が ボクの頭を撫でる。 子供扱いではなく甘やかされてる。
桃「甘やかさなくて良いんだよ…??
ボク子供じゃないし」
甘やかされなくてもボクは、変わらない。
薬も作るし治験もする。 動物の死の原因を知りたくて …動物の解剖もする。 ─変な子って自覚はあるから心配しなくても
良いのに。
白「俺が…ないこさんに触れたいだけですよ。」
桃「子供じゃないから… 」
手を振り払い上半身を起こす。 03番が食器を洗っている傍ら 解剖学の本を読み進めていく。 興味深い内容で実際に試してみたくなる。
─03番に聞いてOK貰えたら試そうかな。
桃「03番明日さぁ…解剖したいんだけど
付き合ってくれる??」
白「付き合いますよ。
ないこさんが望むならなんでも… 」
頬がほんのり赤い03番。 熱に煽られたのか釣られて頬が、赤くなった。
─その笑顔は…狡い… 屈託の無い親愛の笑顔。 声音も触れる手も全部優しい。
桃「変なの〜ならボクが死ねって言えば
死んでくれるの…? 」
偏った最低の我儘。 03番も困って笑う筈。
『そう。いつもなら…笑う筈だった。』
乾いた笑みで感情を押し殺した声で
03番は辛そうに言った。
白「…死ねますよ。ないこさんが望むなら
今すぐにでも、…死ねますよ」
桃「は、??ほ、本気で言ってる?? 」
動揺して困ったのはボクの方だった。
白「本気ですよ。死ねます。貴方が望むなら…なんでもしますよ」
『貴方が望むならなんでもする』 望むなら毒も飲む。 そう言い出しそうな表情だった。
そこに体温という物は存在していなかった。
白side「すれ違い」
白「ないこさん…顔色悪いですけど 外出るの初めてなんですか??」
震えるないこさんの手を引いて外に出たのは良かったんやけど…
桃「…う、ん…初めて 」
白「そうですか。なら俺が案内しますよ
ないこさんが興味ある所全部行きましょう」
桃「…そ、だね」
素っ気ない態度に揺らぐ瞳。 怖がれてしまった心当たりが分からず
接し方に困ってしまう。
桃「そいえばさ…03番。」
白「何ですか??」
会話が終わってどうしようか悩んでいる所にないこさんに、名前を呼ばれた。
どうしたのだろうと続きの言葉を待った。
下を向いていたないこさんが顔を上げ、愛らしい声で言葉を紡いだ。
桃「 03番の方が年上なのに『ないこさん』って呼ぶのも敬語を使うのもどうして…??」
白「っ…えっと…」
質問されたことに戸惑って口篭ってしまう。
敬語も『さん』呼びなのも… 気付いたらで
理由は、分からない。
─けど…強いて言うなら…
桃「ボク…敬われる…存在じゃないよ??」
白「ないこさんは俺の家族になってくれました。それが理由やと思います。」
孤独な俺に救いの手を差し伸べてくれた。
初めて出会った時、お前は閉じ込められたと
ないこさんは言っていたけど俺は閉じ込められたと思っていない。
むしろ感謝したいくらいだ。 初めて人の温かさを知った。 優しさも照れくさいという感情も全部。
白「ないこさんが教えて下さったじゃないですか…俺はずっと敬いますよ。
ないこさんが大切な主ですから… 」
桃「…っ…へ、んな…03番…ボクは何もしてないよ。ボクより弟の方が先に…03番の家族になった、…んだ、よ??」
辛い。苦しい。 どうしてそんな悲しいことを言うんですか…
白「何言ってるんですか…俺の家族は…ないこさんだけですよ…出会った時…抱き締めてくれたじゃないですか…
食事も…作ってくださ…」
話終わる前にないこさんは
ピシャリと否定した。
桃「…弟だよ。03番の事を抱き締めたのも…
面倒見たのも全部。弟がしたんだ、よ」
嘘を付かないで。間違う訳がない。 優しい声音に淡い桃色の猫っ毛の貴方を
忘れる訳無い。
桃「…ボクは何もしてない。…敬うなら
弟にして、よ!!ボクはお前の家族でも…
何でもない!!」
泣きながらないこさんは走り去る。
普段動かないのに…全力疾走で走り去った。
白「…俺の…主人は…家族は…」
例え貴方が否定しても… 弟さんでも…
白「…貴方だけですよ…な、いこさん… 」
ポツリと呟いた独り言は誰にも届かない。
苦しくて…辛くて嗚咽を漏らす。
白「…手放さないで…置いてかないで
…ないこさん…」
大の大人が、その場に座り込んで泣きじゃくる。
みっともない。情けない。
主人の気持ち1つ守れない…実験体。
白「ぅ、ぅ…」
貴方に捨てられるなら…このまま消えたい。
死にたい。
白「…ないこさん…の、こと、が…ずっと…」
本人に伝える勇気も無いくせにこの気持ちを手放せない。 伝えたらこの関係は壊れそうだから。 怖いんだ 。ないこさんが隣から居なくなるのが…怖い。
そう思っているとかつんと靴の音が聞こえた。
「その言葉…ボクには、くれないの??」
白「…っ…!!な、んの用ですか??
笑いに来たんですか、??」
ないこさんとは違う柔らかい声。
猫っ毛の赤い髪。瞳は暗い赤色。
ないこさんが冷ややかな月…
この人は…暖かい『太陽』。
白「りうらさんにあげる言葉なんてありません。俺があげたい人は…ないこさんだけです。」
赤「あははっ…初兎ちゃん…会わない間に変わったね??あんな変わり者の何処が良いの??
名前も呼んでくれない…のに…どうして??」
腹が立ったと同時に軽蔑した。 ─あんたにないこさんの何が分かるんだ。
ないこさんは…見かけによらず泣き虫だけど
頑張り屋さんで …身寄りのない俺を…愛してくれた。
白「りうらさんには、分からないですよね
ないこさんがどんなに優しくて頑張り屋さんか…分かりませんよね??」
家族に見放されて泣いていたこと。
愛を貰えず甘える事を知らない。
赤「…分かるわけない…あんな“変人“を 理解できるはずがない。ボクは、あんな兄欲しくなかった!!」
白「…俺は…欲しかったです。家族になってくれる人が…欲しかった…で、す」
貴方の愛以外要らない。 ないこさんの“家族“の 都合なんて“ 知らない“。
白「りうらさんに構う余裕は無いので失礼します。ないこさん探さないとなので…」
赤「嫌だよ。初兎ちゃん行かないで…」
掠れた声で弱い力で抱き締められた。
泣いてる子供を慰める方法を知らない。
白「ごめんなさい」
名前を呼ばれなくても良い。 一方的な…依存で良い。
白「俺が愛してる人は…ないこさんだけですからりうらさんの愛には答えられません。
ごめんなさい」
心配故の愛。 いつ居なくなっても可笑しくない俺を案じてないこさんを悪く言うのも理解出来た。
けど…そんなの聞きたくなかった。
白「俺は…ないこさん以外…要りません
興味がありません。」
赤「っ、ぅ…ぅ…!!ぁぁ…っっ…!!」
泣き崩れるりうらさんの手を振り払う。
大好きな主人を追いかけるには、 邪魔な抱擁だったから。
白「二度と俺を抱き締めないでください。
さようなら…りうらさん」
感情を押し殺した声で突き放した。
─愛おしいって…教えてくださったのは
ないこさんですよ。
嘘を付いたのはどうしてかちゃんと聞きたい。
俺はないこさんの事しか考えていない。
桃side「家族という存在」
桃「…っ、ぅ…っ…ぅぅ…」
03番の元から走り去った後我慢していた
涙が零れた。 03番の傷付いた表情も
…手を繋いだ時驚いた表情に戸惑って逃げてしまった。 走り際弟の姿が見えた気がした。
優しい弟の方が…03番を大切にできる。
桃「…りうら…大きくなってたなぁ…」
ボクより大きくなっていて驚いた。 身長もだけど靴の大きさも。 あんなに小さくて弱々しい弟だったのに、 身長は確実に抜かれていると思う。 ─03番と並んでも違和感が無かった。
桃「帰ろ、う…」
─きっと…03番もりうらの事を好きになる。
そうだ。そうに決まってる。 根暗なボクより…りうらの方が、 03番の 『家族になれる。』
桃「…だか、らボクは、消えないとイケナイ…」
─03番の前から消えたい。
桃「…家に帰って…鍵閉めたら問題無い。
ボクが居ない方がシアワセ…。」
ぽつりぽつりと呟いた言葉が胸に響く。
ほつれ始めた糸は…縫い合わせようと思っても…直せない。
桃「…っ…ぅ…」
ズボンに手を突っ込み鍵を探し出す。 ─確か…ここに入れてたはず
桃「った、…帰ろ、う」
帰ろう。家族が居ない家に… 首元のチョーカーに触れると チャリっと鍵の音が聞こえた。
桃「ただいまって言っても誰も居ないけど…」
03番を置いて帰ってしまった。 リビングに鍵を置き部屋に戻る。 自室に着くとすぐに枕に顔を埋め眠りに着く。
チャリチャリと音が静かな部屋に響いた。
桃「っ“…ぐ…っぅ“…っ…ふ、っ…」
そう。楽に慣れる。きっと…楽に。
桃「…っ、ぅ“…」
カランと空っぽになった瓶が落ちる。
床から浮いた足がゆらりゆらりと揺れる。
桃「…カ 、族 って… なぁ 、に…??」
意識が消えそうになりながら生きてきた中で不思議に思っていた家族という存在。
─ボクには心配してくれる家族なんて居ない。
ボクが死んで、も…誰も悲しまない。
これから先ずっーと…ね。
桃「っはは…ww…っ、く“るし“っ…」
首に太い縄が食い込む。 脳が酸素不足になり、 だんだん身体が死を意識してくる。
桃「…03番…サヨ、ナラ…」
ふぅっと息を吐き…意識を手放す。
桃「…っ、ぅ…」
─本当は…もっと愛されたかった。
03番に伝えたかったなぁ…
白「ないこさん。俺を置いてかないでください!!」
桃「…っ、??…03番?」
首に食い込んでいたロープが外され 抱き締められた。
─どうして…優しくしてくれるの…??
どうして…??
白「…毒を飲んでも…ないこさんは死ねませんよ。…毒の耐性あるんですよね??」
桃「っ、どうして??どうして
…優しくしてくれるの??」
分からない。震える体が…声音が…優しい。
桃「…ボク…素っ気ないよ…?…03番は
りうらとの方が…」
『家族になれる』
桃「ボクより…幸せな生活出来るよ。ボクと居たら…その幸せな生活が出来ないんだよ 」
─欲しいのに手放そうとする。
心はずっと03番の事を欲しているのに…
言うのが怖いけど失うことの方が怖い。
桃「03番…きっと後悔する。 」
─逃げるなら今の内だよ。
言葉では逃げ道を与えてるのに行動は
逃げ道を作ってあげれない。
桃「っ…好き…」
手は恋人繋ぎ、唇が触れたのも一瞬。
首筋、鎖骨、胸元、最後に唇に口付けを落とす。
抱擁も情けなく…力が入らない。
桃「…好きだよ。ずっと…好き。」
初めて会った時…嬉しかった。
─この人がボクの家族なんだ、って思った。
薬の実験も解剖も嫌な顔をせず付き合ってくれた。 優しい親愛で…包んでくれた。
─貰ってばかりなのは嫌。
少しでも良いから返したい。
桃「キスってね…幸せホルモンが分泌されるからした方が健康的になれるんだって〜」
白「…っ、そですか…」
桃「もっかい…んっ…」
舌を絡ませ距離を縮める。
すりっと肌が触れる感覚に頬が緩む。
頬が赤い03番の頬に口付ける。
桃「っふふ。照れてるの可愛い〜」
抱き締めて触れて体温を確かめ合う。
白「…俺の方が好きです!!ずっと貴方が好きですよ」
熱に煽られた03番はボクを抱き上げる。
身体がふわりと浮いた。
桃「…っ、甘えん坊さんだぁ…なんか…大きなワンちゃんみたい」
白「誰が犬ですか〜!!違いますから…」
心配してる表情でリビング の
いつもの席に座らされた。
桃「…??」
白「ないこさんが好きそうな薬品買って来たので…食事しつつどうです??」
見た事のない薬に…可愛らしいラッピング。
03番が悩んで選んでくれた薬品だと直ぐに分かった。
それだけでその薬品には価値があった。
白side「可愛い人」
薬品を見せると嬉しそうに笑うないこさん。
食事を出すと不思議そうにフォークを手に持って尋ねる。
桃「なんのお肉??」
白「さぁ…なんの肉でしょうね」
濁らせて答えるとないこさんは、 戸惑いながらも肉をナイフで 切り口に運んだ。
桃「鹿肉…かな、??ホロホロしてて美味しい。」
白「っ…ふふ。流石です。お口に合って何よりです」
口元に付けているソースを手で拭う。
口元を拭くのも2回目。
一回目とは違い丁寧に口元をティッシュでなぞる。
桃「…っ、…もう良いよ。取れてるから」
白「いーえー!!まだ付いてますよ」
桃「何処に付いてる…??」
ぷくりと頬を膨らませ教えてと
愛らしい唇が動く。
─可愛い。
白「俺の手に付いてるの舐め取ってくださいよ。ないこさん」
桃「…っ…からかって、る、??」
白「からかってませんよ。俺は本気です」
ないこさんの口元に手を差し伸ばし微笑む。
舐めれますよねと圧を込めた微笑みだ。
桃「分かった。上乗るから…手邪魔」
そう言うとないこさんは膝に座り手を掴む。
愛らしい手で自分の口元に手を動かす。
短く可愛い舌が指に這わされ指を舐める音が聞こえた。
唾液が零れる音と指を舐める音。
桃「っ…、ん…っ…… 」
指先を咥え舐めとった後、喉奥に指を咥えられると流石に身体がピクリと跳ねた。
白「ないこ、さん…もう良いですよ」
桃「んん〜まだ付いてる」
満足が行くまで舐めるらしく…
ぴちゃりぴちゃりと指が濡れる音が聞こえた。
桃「…っ、ん。飽きた…次は…こーっち 」
白「…ないこさんも、う離れてください」
指先を口から抜きないこさんは耳に触れる。
今度は耳を舐めると合図しているように触れる。
触られると背筋がゾクゾクしてしまう。
桃「…初兎ちゃんはボクの所有物だから
何をしようがボクの自由…」
白「…っ、…」
─初めて名前を呼ばれた。
小さい声で…名前が呼ばれても何とか聞き取れた。 嬉しくて涙が止まらない。
桃「初兎ちゃんが、居ないと…駄目なの…
初兎ちゃんだけが家族だから傍に居て」
自殺未遂をした子供に愛の言葉を伝えられた。
正確には…呪いの言葉と言う方が正しいかもしれない。
桃「初兎ちゃんは??ボクのこと、…どう思ってる??」
喉元にナイフを突き付けられても嬉しくて…
考えるより先に唇が先に動いた。
白「大切に思っています。ないこさんだけを…愛しています」
そう答えると嬉しそうにナイフをテーブルに置き口付ける。
─今度はどんな毒をくれるだろうか。
桃「…っ、ずーっと一緒だよ」
桃色の瞳で俺を映し口移しで毒を摂取させる。
─んなの…もう逃げれへんやん…
白「貴方がくれる毒なら死ぬまで飲み続けます…」
─この小さくて可愛い人を死んでもずっと
守りたい。傍に居たい。
変な依存関係。
可笑しな恋人同士。
薬師と実験体。
桃「っ、すき、大好き」
ないこさんがくれる毒も言葉も全部嬉しい。
胸が一気に苦しくなるこの恋が…
ないこさんの愛が…
白「俺の方が好きですよ…愛しい人」
俺はこの人の唯一無二の実験体。
恋人。家族。
チャリとまた依存の音が聞こえた。
❦ℯꫛᎴ❧
コメント
7件
リクありがとー!! やっぱり奏雨の書く話、どこか儚いような気がして好きなんだよね、.. 依存しあってるのいいね、やっぱ..桃白にぴったりなところある..(? ちょーお気に入り...、、
最高!! 可愛い!桃くん最初は素直になれてなかったけど、最後には素直になれてよかった!白ちゃんもちゃんと思ったことを言えるの凄い! 面白かったです! アイコンごめんね。 全然手をつけてなくて… もう少し待っててね。