ピピピピッピピピピッ…
朝目覚ましの音で目を覚ます。
下に降りて朝食を食べ、準備をすませたら学校に行く。ここまではだいたいみんなと同じだと思う。でも俺はみんなと同じにはなれない。なぜなら…
「いってきます」
扉を開けた瞬間一気に体が重くなる。
今日もたくさんいるな
そう、俺は幽霊がみえてしまうのだ。こんな体質なんて嫌だと何度思ったことだろう。何度みんなと同じになりたいと思っただろう。でも今はもうなんとも思ってない。慣れというのは怖いものだ。
うわーあいつ絶対やばい霊じゃん
あの人めっちゃ守護霊いる
あの人めっちゃ恨まれてんなー
そんなことをボーッと考えながらいつも登校している。霊がみえたら危ないんじゃないかと言う人がいるだろう。もちろん危ない。でも目を合わせなければ大丈夫。スルースキルが高校生になってから上がったから。きっとあのうるさいミミズクのおかげだろう。
「ヘイヘイヘーイ!!あかーしおはよ〜!!」
この人は部活の先輩の木兎さん。
とてもうるさい。けどバレーをしてる時の木兎さんはとってもかっこいい。
この人はいつも輝いている。
だから悪霊もよってこない。この人の近くにいれば俺は安全なのだ。
「木兎さん朝からうるさいです」
「ひどいっ!!」
朝はいつもこんなかんじ。
どうでもいい話をして一緒に部室まで行って朝練を始める。
いつも通りのはずなんだけど今日はなんだか胸騒ぎがする。気のせいか…?
朝練が終わってそれぞれ自分たちの教室に行く。
授業中校庭を眺めながらうとうとしてたらいきなり何かに見られてる気がして寒気がした。
…気のせい…?
ようやく昼休憩の時間になった。
「あかーしー!!!!一緒に飯食お!!」
「いいですよ」
木兎さんと屋上で一緒に昼食を食べてるときまた誰かに見られてる気がした。
今日で2度目だ。
「あかーしどうした?箸全然進んでないよ?」
「気のせいかもしれないんで大丈夫です」
「気のせいでもいいから教えて?」
「…なんか今日ずっと視線を感じるんですよね」
「なに?!あかーしを不安にさせるなんて許さねぇ!!」
「木兎さん落ち着いて。気のせいかもしれないんで」
「でも視線感じるって…ストーカーかもよ?」
「それならいいんですけどね…」
「ダメだろ!!」
「はぁ…」
(ストーカーじゃなくて悪霊とかだと色々面倒くさそうだからな…それなら視線の正体はストーカーの方がいいな…)
「気をつけろよ?」
「ありがとうございます」
昼休憩の終わりを告げる前の予鈴がなった
「じゃあそろそろ行きましょうか」
「うん…」
「木兎さんそんな心配しなくて大丈夫ですよ」
「うーん…」
お腹がいっぱいの時の授業が1番しんどい
眠い…
だんだん重くなる瞼を無理やり開ける
今日はいつもに増して眠いな
そんなことを考えてるうちにいつの間にか瞼が完全に閉じてしまった
「ハッッッ…!!」
なんだか嫌な夢を見た気がする
冷汗がすごい
嫌な予感がする…
ようやく授業から解放されて部活の時間だ。
今日はなんだか1人になりたくなくて木兎さんのクラスまで行った。
「あの…木兎さん…」
「あかーし!!!!どうしたの?」
「一緒に部活行きませんか?」
「行く行く!!あかーしから誘ってくれた!!!!」
「そんな喜ばれると恥ずかしいです…」
「これからも誘っていいよ!!」
「遠慮しときます…」
「えっ?!」
「木兎さんっっっ!!」
「ヘイヘイヘーイ!!!!」
今日の木兎さんは絶好調だ。
2人で練習をしてたらだんだん人が集まってきた。
「お前らはやくね?」
「木葉!!聞け!!今日なあかーしが俺の教室まで来て一緒に部活行こって誘ってくれたの!!」
「ちょっ木兎さんそんなこといちいち言わないでくださいっ!!」
「ふぅーん…」
何やら意味ありげに笑う木葉さん
「なんですか…」
「お前らラブラブだな!!」
何を言い出すかと思ったら…
「揶揄わないでください」
「俺らラブラブだよ!!」
「ちょっと木兎さん!!」
俺は木兎さんを睨みつけるが木兎さんは笑顔のままだ
「あーはいはい惚気んなー」
「木葉嫉妬か?笑」
「あ゛?」
今にも殴り合いが始まりそうな2人を放っておいて俺は部活の準備を始めた。
木兎さんバレーしてるときはかっこいいのに…
楽しい時間はあっという間に過ぎる。今は自主練の時間だ。木兎さんと木葉さんがサーブレシーブの練習?をしている。
「このリア充め!!しねぇ!!」
「ワッハハー!!この最強木兎に勝とうなんて100年早いぜ!!」
何やら木葉さんが物騒なことを言っているような気がしたが気にしないでおこう。
「木兎さん今日は先に帰りますね」
「なんで?!」
「木兎さん木葉さんと自主練してるので俺はもういいかなと思って」
「だめ!!」
「木兎〜たまには帰らせてやれよ赤葦が可哀想だぞ!!」
「え〜……わかった…」
「木葉さんありがとうございます」
「可愛い後輩のためだからな!!」
「ちょっと木葉!!あかーしのこと口説かないで!!」
「はいはい」
「では失礼します」
「おう!!またな!!」
「またね…」
優しい先輩だな。木兎さんはすごいしょぼくれてたけど。 そんなに俺と自主練したかったのかと考えると顔がなぜか熱くなった。
自惚れすぎか。
こんなはやく帰れたのいつぶりだろう。
はやいといっても今は午後7時なのだが。
いつもはもっと遅いのでなんか新鮮だ。
1人になって夜道を歩いてるとだんだん足が重くなっていった。
あーこれやばい
直感がそう言った。
家に帰る足を進めれば進めるほど空気が重くなる。
大丈夫目を合わせさえしなければ…
「ッッッ?!」
俺は見てしまった。
うぞうぞと動く黒い塊がゆっくり歩いているのを。
(なにあれ。目どこ?近く通っただけでも殺されそう…)
そんなことを考えながら無理やり目線を前に戻そうと思ったがもう手遅れだった。
END(需要ありそうだったら続けます!!)
コメント
8件
やばいファンになりかけてる… 続き絶対書いて!!
続きを楽しみにしています!
最高すぎた!!めっちゃ続き見たい!!