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今日はなんだか、いつも以上に気まずい。神風のあの顔が頭に浮かんで、気が重い。昨日、あいつにあれだけ冷たくしたけど、なんだかモヤモヤが晴れない。結局、私が悪いのかもしれない。ドッキリが行き過ぎてしまったのかも。
いつもなら、神風がしつこく話しかけてくるのに、今日は教室に入ってもすぐに私のところには来なかった。それが逆に居心地悪く感じる。
「……昨日、やりすぎたかな。」
私は机に座ってぼんやりしていたけど、心のどこかでずっと神風のことが引っかかっていた。ドッキリだったとはいえ、あんなに冷たくするのはやりすぎだったかもしれない。しかも、最後には「嫌い」なんて言ってしまったし……。
すると、神風がゆっくりとこっちに歩いてくるのが見えた。心臓が少しだけドキッとした。無意識に緊張してしまっている自分がいた。
「おい、月見。」
神風がいつもの軽い調子で私に声をかけてきた。でも、どこか真剣な雰囲気が混ざっている。
「なに?」私は少し冷たい口調で返してしまったけど、本心ではこれ以上冷たくしたくなかった。
「昨日のこと、悪かった。お前があんなに冷たくなるとは思わなくて、俺が何かしたのかって焦ってた。だから、もし俺が何か気に障ることしてたんなら、謝る。」
神風は頭をかいて、照れ臭そうに謝ってきた。その姿がなんだかいつもより素直に見えて、私は少し驚いた。いつもなら冗談ばっかり言ってふざける神風が、こんなに真剣に謝ってくるなんて思わなかった。
「……別に、そういうわけじゃないんだけど。」
私は少し戸惑いながらも、神風の謝罪にどう反応すればいいのかわからなかった。正直に言えば、私の方こそやりすぎた気がする。だから、私も謝るべきだって思った。
「……ごめん、私も。昨日、ドッキリとか言っておいて、あんなに冷たくしちゃった。ちょっとやりすぎたかも。」
神風は一瞬、驚いたような顔をしてから、ふっと笑った。
「いや、俺もお前がそこまで本気でやるとは思わなかったからさ。まあ、でもお互い様だな。俺も謝ったし、お前も謝ったし、これでチャラってことでいいか?」
神風のその言葉に、私は少しホッとした気分になった。いつもの調子に戻った神風を見て、肩の力が抜ける。
「……そうだね。チャラにしとく。」
私は軽く微笑んで、神風を見た。神風もまた、いつもの明るい笑顔を返してくれた。やっぱり、あいつはこうでないと落ち着かない。
「よし! じゃあ、また今日から俺のこと無視しないでくれよな、月見!」
神風は軽く冗談めかして言ってきたけど、私もそれに応じて笑った。
「……わかったよ、神風。でも、またしつこくしたら無視するからね。」
「ええーっ!?それは勘弁してくれ!」
お互い、こうやって素直に謝れてよかった。これからも、きっと神風は変わらずしつこいままだろうけど、それでも今は少しだけ安心していた。
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