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のり
32
深夜1時。マンションの屋上から見下ろす夜景は、何処よりも綺麗に見えた。
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沙山美帆。ごくごく普通のFJK。
昔から静かな場所が好きなので日中は家で寝ている。
小さな頃に親に捨てられ、知らない人に引き取られた。
その後に入った小学校、中学校で虐めにあい、精神を病んだ。
それから不登校になり、学校で ” 幽霊 ” と呼ばれているなどの噂。
今日は高校三年生の始業式。高校最後くらい行って見れないかと言われ、
今久しぶりに日中に家から出たのである。少し肌寒い風が吹いている。
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学校に着き、職員室に行く。
担任 : あら、沙山さん?おはようございます。良く来ましたね。
先生はにこっと微笑む。美帆はこの笑顔が好きじゃない。
何を考えているのかわからない、言ってしまえば信用できない笑顔なのだ。
声を出せない。口を開くと胸のあたりが変にぞわぞわして吐き気がする。
担任 : クラスに行ってみましょう。みんな移動していて今はいないから。
気を使ってくれたのだろう、だなんて考えられる余裕はなかった。
既に激しく鼓動が鳴っていて心臓が飛び出るんじゃないかと思うほど痛い。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。目の前が曇ってきた。
脚から力が抜けそうだった。でも、今日だけは我慢しないと。
担任 : 沙山さん、大丈夫?
美帆 : … ぁ 、ぃ
か細い声で返事をする。涙がでそうになった。気持ちが悪い。
そうして、先生と今の生活と進路などの話を軽くして、教室を出た。
担任 : 今日はお疲れ様。本当に学校にこれて素晴らしいです。もし行けたら、明日も放課後にでもいらっしゃい。何時でも待ってますからね。
ぎこちない笑みを浮かべて、先生にお辞儀をして、学校を出た。
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下駄箱から暫くおきっぱにしていた体育着や教科書をとって玄関を出た。
始業式の終わった同級生たちの笑い声が聞こえてきた。
学生A : まって 、あれ幽霊じゃない?
学生B : えーまってほんとじゃん!えぐ!笑
学生C : えやば!笑笑 何で居んの?笑
鼓動が早くなるのを感じた。やめて。見ないで。こっちを見ないで。
美帆は周りからの視線や笑い声を切り裂くように家に走っていった。
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