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凄く好きです...小説の書き方が上手くて読みやすいですし...!
⚠️本誌のネタバレあり⚠️
⚠️謎時空⚠️
「うーん、アメジストのビー玉もあるのかな?」
「…どうでしょうね…」
ドストエフスキーは困っていた。
学ランと学生帽という格好とは
まるで似合わぬ幼さを見せる少年に、
顔を見つめられてから数刻も経っている。
逃げようと離れれば
「ねぇねぇ、どこ行くの?僕も行っていい?」
と刷り込みという動物の現象学のように
追い掛けられて逃げる事ができない。
まだまだ元気そうに一方的な会話を続ける子供と
貧血気味で虚弱体質のぼくでは
体力面で勝つことなど不可能に近い。
ぼくの方からは諦めて
彼に諦めてもらうように誘導しましょうか…。
「君は、何方かと逸れたのですか?」
「君に教える必要ある?」
「そうですね、失礼しました」
「それって人心掌握術ってやつ?」
「…成程」
この若さにして、この聡明さは
500年以上の年月を過ごしてきたぼくでも
目を大きく見開いて驚かされた。
「何故、人心掌握術だと思ったのですか?」
「はあ?君もなの…?
こんなの誰だって分かるでしょ」
「……嗚呼…」
そうか、
この少年は自身の聡明さに気付いていないのだ。少年の言葉と表情だけで分かってしまった事実に
酷く笑みが溢れるばかり
「君は、周りの大人、否
__怪物たちは怖いですか?」
「…君は、僕のこと子供だって馬鹿にしないの?」
「もちろんです、
…ふふ…可哀想に…」
帰り道の分からない迷子の子供に
ゆっくりと救いの手を差し出していく
「…やだ…その手は受け取らない!」
「何故?」
「僕が君に手を伸ばすから、
君の瞳、ラムネに入ってるビー玉みたいに綺麗で好きだよ」
「……」
「ほら、僕って綺麗なビー玉を集めるのが癖だからさぁ…、
次は君のアメジストのビー玉が欲しいの!!」
この手を拒絶されたかと思えば
次の瞬間、元気よく宣言された意思に
ここで救いの死を与えてしまうのは
惜しいと好奇心で揺らされた。
「では、君が大人になれば、またお会いしましょう」
「なに?子供扱い?」
「いいえ、これは神が定めた運命ですから」
運命の日はいつ来るのだろうか、
多くの時間を過ごした彼は
どうなっているのだろうか
期待で胸を踊らせていれば
「まって!」
焦る声と同時に外套を掴まれて
「ずっと待ってるからね?
それじゃっ、またねー!」
あはははは!と笑って手を振る彼に
この少年には諦めてもらえないだろうと悟った。