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三日月さくら🎼🍵👑🌞
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※二次創作・フィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
こやの片想い
バトエン
性的要素なし
報われない
短い
初心者が書いてる
下手
こやのボイス全部追えてない
伏字なし
俺は、星導のことが好きだ。
たぶん、もうずっと前から。
いつから好きだったのかと聞かれても、正確には答えられない。最初からだったような気もするし、何気ない会話の中で少しずつ積み重なって、気づいたときにはどうしようもなくなっていたような気もする。
ただ、気づいた頃にはもう、星導は俺の中で特別だった。
俺たちは同期だ。
同じ時期に活動を始めて、同じ場所に立って、似たような不安を抱えていた。何かあれば連絡を取って、くだらない話をして、疲れているときには何となく隣に座る。
星導といる時間は、俺にとってあまりにも自然だった。
だから、怖かった。
この気持ちを伝えたら、自然だったものが全部、不自然になる。
今までなら簡単に呼べた名前が呼べなくなるかもしれない。
隣に座るだけで意識されるかもしれない。
いや、きっと意識される。
俺がそうだったから。
星導が笑えば、嬉しい。
俺以外の誰かに笑いかけていれば、嫌だ。
近くにいれば安心する。
少し離れれば不安になる。
そんなことを何度も繰り返しているうちに、俺は自分の感情を隠すのがうまくなった。
「小柳くん、今日ちょっと眠そうじゃない?」
ある日の収録終わり、星導が俺の顔を覗き込んだ。
距離が近い。
いつもなら何とも思わないふりをする。実際、何とも思わないふりはできていた。
でも、その日は疲れていた。
長い収録のあとで、俺の中に張りつめていたものが緩んでいた。だから、目の前にいる星導の顔を、いつもより長く見てしまった。
「……別に」
「いや、絶対眠いでしょ」
「星導こそ、さっきから何回も欠伸してた」
「俺はいいの。眠そうに見えるだけで、眠くはないから」
「それ、眠い奴の言い訳だろ」
俺がそう言うと、星導は笑った。
その笑顔を見た瞬間、胸の奥が苦しくなった。
星導は、俺が好きだと知らない。
俺がどれだけ長い間、こいつの隣にいることを特別だと思っていたのかも知らない。
俺だけが勝手に、星導の言葉や仕草に意味をつけていた。
俺にだけ見せる笑顔だと思っていたものは、たぶん、星導が誰にでも見せるものだった。
「小柳くん?」
「何」
「いや、また見てたから」
心臓が大きく跳ねた。
「見てない」
「見てたよ」
「見てない」
「じゃあ、俺の顔に何かついてる?」
星導は、さらに顔を近づけた。
冗談のつもりなのだろう。
いつもの軽いやり取りだ。
星導にとっては、きっとそうだった。
けれど俺には、もう耐えられなかった。
「……星導」
「うん?」
「俺のこと、どう思ってる?」
星導の笑顔が止まった。
「どうって?」
「だから、俺のこと」
「大事な同期だと思ってるけど」
迷いのない答えだった。
それが、俺には痛かった。
分かっていたはずなのに。
ずっと聞きたくなかった答えを、俺は自分から聞いてしまった。
「同期として?」
「うん。もちろん友達としても」
「それだけ?」
星導は、困ったように目を伏せた。
俺はその表情を見て、もう引き返せないと分かった。
ここで笑ってごまかせばいい。
いつもみたいに、「何でもない」と言えばいい。
そうすれば、少なくとも今までの関係は守れる。
でも、もう無理だった。
何年も隠して、何年も我慢して、それでも消えなかった気持ちを、これ以上抱えていられなかった。
「俺は、星導が好きだ」
言葉にした瞬間、体の奥から力が抜けた。
言ってしまった。
とうとう、言ってしまった。
星導は何も言わなかった。
驚いた顔で、俺を見ている。
その目に浮かんでいるのが恋愛感情ではないことくらい、すぐに分かった。
それでも、俺は止まれなかった。
「ずっと好きだった。たぶん、俺が思ってるより前から。星導が誰かと話してるだけで嫌になったり、俺以外の奴と楽しそうにしてると腹が立ったりして……自分でも最低だと思ってた」
「小柳くん……」
「でも、言えなかった。同期だから。お前とこれからも一緒にいたかったから」
星導は、何か言おうとして口を閉じた。
たぶん、俺を傷つけない言葉を探している。
でも、そんなものはない。
好きじゃない相手に告白されたとき、どう言っても相手は傷つく。
俺だって、星導が俺を好きじゃないことを責めるつもりはない。
ただ、傷ついている。
それだけだった。
「……ごめん」
星導が、絞り出すように言った。
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が冷たくなった。
「謝るなよ」
「でも、俺は……」
「星導は悪くない」
「小柳くんのこと、大切だと思ってる。でも、そういう意味では見られない」
「分かってる」
本当は分かっていなかった。
星導の声を聞くまで、どこかで期待していた。
俺のことを特別に見てくれているかもしれない。
俺が隣にいた時間を、同じように大事に思ってくれているかもしれない。
そんなふうに期待していた。
でも、星導にとって俺は「大切な同期」だった。
その言葉は、決して軽くない。
星導が俺を大事に思ってくれていることは、本当なのだろう。
だからこそ、苦しかった。
俺が欲しかったのは、同期としての大切さじゃなかった。
友達としての優しさでもなかった。
俺だけを見てほしかった。
俺のことを、他の誰かとは違う意味で好きになってほしかった。
「これからも、今まで通りでいたい」
星導が言った。
俺は、思わず笑ってしまった。
「今まで通りって、何だよ」
「え?」
「俺だけが好きなまま、今まで通りにしろってことか?」
「そういうつもりじゃ……」
「分かってる。お前に悪気がないことくらい分かってる」
俺は拳を握った。
感情を抑えようとすると、指先に力が入った。
「でも俺には無理だ。今まで通り、お前の隣にいるなんてできない」
「小柳くん」
「お前が誰かと笑ってるのを見て、何も思わないふりをするのも無理だ。お前が俺に優しくするたびに期待するのも、もう嫌だ」
星導の顔が曇る。
その表情を見ると、責めたいわけじゃないのに責めているような気がして、また苦しくなった。
「俺、星導に何かしてほしいわけじゃない」
「……」
「気持ちを返せって言いたいわけでもない。ただ、俺はもう、お前の隣にいるために自分を偽るのが無理なんだよ」
しばらく、誰も話さなかった。
控室の外から、人の話し声が聞こえる。
遠くでドアが閉まる音がした。
世界はいつも通り動いているのに、俺たちの間だけ時間が止まっていた。
「距離を置く」
俺が言うと、星導が顔を上げた。
「少しだけ、俺から離れる。仕事では普通にする。でも、今までみたいに二人でいるのは無理だ」
「俺たち、戻れないの?」
星導の声は、いつもより小さかった。
その声を聞いて、俺は一瞬だけ迷った。
戻りたい。
本当は、俺だって戻りたかった。
何も知らない頃に戻って、何も期待せず、ただ星導の隣で笑いたかった。
でも、もう知ってしまった。
星導の気持ちが俺には向いていないことを。
俺の好きは、星導にとって恋ではないことを。
「戻れないと思う」
俺はそう答えた。
「少なくとも、今は」
星導は黙って頷いた。
その顔を見るのがつらくて、俺は視線を逸らした。
それから、俺は星導を避けるようになった。
連絡が来ても、すぐには返さない。
二人きりになるような予定は断る。
隣の席が空いていても、別の場所に座る。
できるだけ星導を見ないようにした。
見れば、まだ好きだと分かってしまうから。
声を聞けば、近づきたくなるから。
優しくされれば、勘違いしてしまうから。
「小柳くん、最近俺のこと避けてる?」
数日後、星導にそう聞かれた。
俺たちは仕事の合間、誰もいない廊下にいた。
窓の外は夕方で、オレンジ色の光が床に伸びている。
「避けてない」
「でも、話してくれない」
「必要なことは話してるだろ」
「それだけじゃん」
星導の言葉に、胸が詰まった。
俺だって、本当はもっと話したい。
今日何を食べたとか、昨日何時に寝たとか、そんなくだらない話をしたい。
星導の見つけたくだらない動画を見て笑いたい。
また自然に隣に座りたい。
けれど、それをしたら、俺はまた戻ってしまう。
「星導」
「うん」
「俺は、お前のことをまだ好きだ」
自分で口にして、喉が痛くなった。
「だから、離れる」
「……」
「お前がそばにいると、俺は何度でも期待する。お前が俺に向ける優しさを、特別なものだと思いたくなる」
「俺は、小柳くんにそんなつもりで優しくしてるわけじゃない」
「分かってる」
「じゃあ、どうして」
「分かってるからだよ」
俺は、夕方の光を見た。
窓に映った自分の顔は、ひどく疲れていた。
「お前が誰にでも優しいって分かってる。俺だけが特別じゃないって分かってる。それでも、好きなんだよ」
星導は、何も言えなかった。
それでいい。
何も言わなくていい。
俺の気持ちに、きれいな答えを返そうとしなくていい。
「俺のこと、嫌いになった?」
星導が聞いた。
「なってない」
「じゃあ、また前みたいに……」
「それは無理だ」
俺は、星導の言葉を遮った。
「嫌いになれたら、どれだけ楽だったか分からない。でも、嫌いにはなれない。だから離れるしかない」
星導の目が揺れた。
俺は、その顔を見てしまったことを後悔した。
そんな顔をされたら、俺はまた戻りたくなる。
星導を安心させたくなる。
大丈夫だと笑って、今まで通りの小柳に戻りたくなる。
でも、それをしたら、今度こそ本当に壊れる。
「じゃあな、星導」
「小柳くん」
「何」
「俺は、小柳くんのこと大事だよ」
俺は、息を吐いた。
「……知ってる」
「だから、いなくならないでほしい」
「それはできない」
「どうしても?」
「どうしても」
星導の顔を見ることができなかった。
俺は、その場から離れた。
背中に星導の視線が刺さっている気がした。
追いかけてきてほしいと思った。
でも、追いかけてきてほしくなかった。
追いかけてきたとしても、星導が俺を好きになるわけではない。
ただ、大事な同期を失いたくないだけだ。
俺は、星導にとって大事な人間ではある。
けれど、欲しかった意味で大事な人間ではない。
その違いは、思っていたよりもずっと大きかった。
それからしばらく経って、俺たちは仕事の場でだけ話すようになった。
「小柳くん、これ確認した?」
「ああ。問題ない」
「そっか。ありがと」
「星導も、後で確認しとけ」
「うん」
会話はそれだけだった。
以前なら、このあとにくだらない話が続いた。
どちらかが疲れたと愚痴を言い、もう一方が適当に返して、気づけば帰る時間になっていた。
今は、必要なことを伝えれば終わる。
星導はたぶん、まだ俺を見ている。
俺が元気かどうか。
ちゃんと眠れているか。
無理をしていないか。
そういうことを、きっと気にしている。
でも、俺はもう、その優しさを受け取らないようにしていた。
受け取れば、また欲しくなる。
もっと欲しくなる。
星導の時間も、言葉も、視線も、全部。
そんなふうに欲張る自分を、俺はもう見たくなかった。
ある夜、帰宅してスマートフォンを見ると、星導からメッセージが届いていた。
『今日はお疲れさま。無理しないでね』
短い文章だった。
以前なら、すぐに返信していた。
『星導もな』
それだけでも、星導はきっと返してくれた。
でも俺は、画面を見つめたまま、返信欄を開かなかった。
星導は悪くない。
何も悪くない。
俺が勝手に好きになった。
俺が勝手に期待した。
俺が勝手に、隣にいることを特別だと思った。
だから、俺が勝手に離れる。
それだけの話だった。
スマートフォンを伏せる。
部屋の中は静かだった。
さっきまでそこにあった星導の声が、幻みたいに蘇る。
『小柳くん』
その呼び方が好きだった。
俺の名前を呼ぶ声が好きだった。
これからも、きっと好きなままだ。
完全に忘れることなんてできない。
それでも俺は、もう星導の隣には戻らない。
星導が俺に向ける「大切」は、俺が欲しかった「好き」ではない。
その事実を受け入れるには、まだ時間がかかる。
それでも、いつか受け入れなければならない。
星導が誰かと笑っていても、胸が痛まなくなる日が来るまで。
星導の名前を聞いても、隣に戻りたいと思わなくなる日が来るまで。
俺は、少しずつ離れていく。
好きだった。
今も好きだ。
けれど、その気持ちを抱えたまま、これ以上そばにはいられない。
星導の隣にいるために我慢してきた俺は、最後には、星導の隣から自分だけがいなくなることでしか、自分を守れなかった。
コメント
3件
あぁ…もう、胸がぎゅうってなったよ…😭💔 「好き」の気持ちを抱えたまま、星導の隣から自分を守るために離れる選択、すごく切なくて苦しかった。 「星導にとって俺は『大切な同期』だった」って気づくところ、読んでるこっちまで息が止まった…。 報われない恋の温度と、それでも好きだからこそ離れる強さ、すごく伝わってきたよ。最後の一文、心に刺さった…。