テラーノベル
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肌は真っ白に爛れていた。膿がじくじくと、絶えず彼の背からは流れ出している。 伏せたまつ毛の黒さは、赤ちゃけた短髪より深い。
細い首を、後ろから締め上げる。
潰れた声を出して、泡を吹く。
振り向く顔に、涙が滲んでいる。
うなじに汗が噴き出し、髪が絡みつく。
離してやったら、どっと布団に倒れ込んだ。 細い肉体が、呼吸を求めて痙攣している。
あっあっあっあっと心臓が波打って、汗がだくだくシーツに染み込む。
顔を枕に強く押し付けている。
まるで自ら窒息しようとしてるように見える。しかし、これはいつものことだ。
しばらく経って、落ち着いた彼が顔をあげる。
濡れて乱れた、美しい顔。作り物のように美しい顔を、にっこりと笑わせて、彼は言う。
ねぇ、薬を塗って、くれないか。
俺は無言で立つ。
小さな瓶を傾けて、粘性の塗り薬を手に取る。褐色の手に、茶色い液を馴染ませる。
うつ伏せの背を、片手で乱暴に撫で上げる。華奢な背の上で、自分の手が動く。
半翼のように広がった膿をかき消すように、白い背を濃く染め上げる。
膿が薬と混じり合って、酷い臭いを放っている。
毛羽だったタオルで、キツく強く、表面を拭き取る。 彼の薄い肌が赤く擦り切れ、薬の色跡が残る。膿の口が切れ、控えめに血が溢れる。
指を、中指を突っ込むと、彼は短く悲鳴をあげた。
膿と血が混ぜあがるように、掻き回す。 声を飲み込んだ首が、小刻みに震えている。
先生、まだやりますか?と聞くと、首を横に振る。
暗い窓、車の音が聞こえる。浸った指をしゃぶる。 強いエグ味。
身体中がゾクっと震える。
これが、先生の中に詰まっている全てなんだと思った。
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