テラーノベル
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昼過ぎ。入学式、ホームルームが終わり、生徒達が疎らに帰り始めている。
太宰さんに散々揶揄われた後、もう一度保健室に行き、どうにか一緒に帰る約束を取りつけた。────嗚呼、何を話そうか。彼奴のことをもっと知りたいし、僕のことももっと知ってほしい。ドキドキしながら待ち合わせ場所である校舎裏で待っていた。
「すまぬ。待たせたか?」
「!ううん、全然」
待ち焦がれた声。少し急いだのか、ほんのりと赤い頬。この後は用事がないからそんなに急がなくても良いのに。心配だ。でも、芥川は生真面目だから。僕のために急いでくれた、それだけで心が浮き足だって仕方がなかった。…だからだろうか。
「お前のそういうところ、好きだ」
気持ちが溢れ出てしまったのは。
「……は、」
「………え、」
や、やってしまった………。もう今更取り消すことなんて出来ない。こんなこと、言う心算じゃなかったのに!!!!
芥川が目を大きく見開いて、何かを言おうと口を閉じたり開いたりしていたがやがて、
「た、タチの悪い冗談は好かぬ……!」
と、逃げ出してしまった。突然のことに驚いた僕の手は届かず、僕は唯々芥川の遠ざかっていく後ろ姿と、真っ赤に染まった耳を見ていることしか出来なかった。
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