コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
knruです
「叶さん」
愛らしい人から呼ばれるのはとても幸せだ。いつもよりも、少し甘い声で僕のことを呼ぶ可愛い後輩。狼なのに、僕の前ではもう可愛い小型犬だ。
「どうしたの?ロウくん」
そういえば、彼は恥ずかしそうに目を逸らしてしまった。残念と思いつつも、少し意地悪したい気持ちになり、彼のことを再度呼ぶ。
「ロウくーん、こっち向いて」
「ぁ、何、叶さん」
やっと目が合った。そう思い、僕はニコッと微笑むと、ロウくんは更に顔を赤くし逃げようとするが、それは僕が許さない。ロウくんの手をギュッと強く握り、どこにも行かせないようにする。
「さっき、僕のこと呼んでたけど、何?」
ロウくんの口から聞きたい。でも、きっとロウくんは恥ずかしがって、言わないんだろうなと思う。それは彼の性格上、素直になれないのだ。そんなとこも、可愛いと僕は思う。
「ただ、呼んだだけです……叶さん、かっこよくて…」
そう言うとロウくんは、手で顔を隠してしまった。かっこいい…ロウくんから初めて言われた言葉。いや、それは嘘だ。いつもは、こんなに照れないで言うが今日はなぜか照れてしまってるロウくん。
「僕に、見蕩れちゃってたんだ」
ふふっと僕は笑うと、ロウくんは離してくださいと、じたばたし始めた。暴れないでと思い、ロウくんの口から言われたことが嬉しくて、ギュッと握っていた手を解放する。赤くなってないかなと、思いつつも今はロウくんに夢中だ。今の彼は、きっと同期にも見せたことないのだろう。僕だけが知っているロウくん。とても、気分が良かった。