鬼滅の刃、キメツ学園二次創作
n番煎じ
キメツ学園に無い設定あり
初等部ほんと設定ないから妄想有りまくり。
それでも良ければそのままスクロール〜
*
今日は日曜日。特にピザが売れる日である。ピザを買いに来る客は、初等部の子達が多い。また、一般人の客もいるのでキメツ学園の事を聞かれても表向きの内容しか話せない。
カランコロンと入店を合図するベルが鳴る。そして高らかな声をした女性がブンブンと手を振る。
「小鉄くーん! お久しぶりー!」
「須磨ぁ! アンタ声が馬鹿でかいんだよ! 他の客も居るんだから静かにしなさいよ!」
「二人とも静かにして…」
小鉄の名を呼んだ須磨、それを叱ったまきを、その二人の中では常識人の雛鶴。この三人は美術教師である宇髄天元の嫁達だ。嫁の方も食堂の店員という事で職業を貰っている。
「お久しぶりです、須磨さん、まきをさん、雛鶴さん。店内でお召し上がりですか?」
「ううん、そういう訳ではないの。宅配を頼みたいのだけど…」
「宅配…ですか?」
宅配か…と頭を悩ませる。前述した通り、今日は日曜日でピザが特に売れる日。ここにいる店員は全員ピザ作りに勤しんでいる。そして当たり前だが、自分はバイクの免許を勿体無い。だからと言ってここからキメツ学園は歩いて行くには少し遠いのだ。
「ちょっと待っててください」
「勿論、待つわ」
小鉄は厨房の方へ行く。
「鉄穴森さーん!」
「はいはーい、どうしましたか? 小鉄少年」
同じくひょっとこの面を付けている好青年の鉄穴森。厨房ではピザを作っている。
「キメツ学園から宅配がありまして…今日は店員全員忙しいですし、俺もバイクの免許なんて持ってないから運べないし…」
「むむ…ちょっと経理さんに聞いて来ますね」
経理さん、と言うのはお爺ちゃんである鉄地河原鉄珍だ。ピザ屋さんの中で一番小さくて一番偉い。
「分かりました」
鉄穴森は関係者以外立ち入り禁止と書かれた扉の中へと入って行く。ちらりと見えたが階段になっていた。火男pizzaの二階、三階部分は普通の家となっているのだ。待っている間も仕事をこなす。するとテーブル席でピザを頬張っていた女性が「すみませーん」と声をかけて来た。追加のオーダーかと思い、小鉄はそちらに向かう。
「ねえ、小鉄君は、あの女性たちと仲良いの?」
あの女性たちとは宇髄の妻たちのことだろう。
「あ…今仕事中ですから…プライベート事は…」
「そんな堅苦しいこと言わないでよ、ねえ、ちょーっとでいいから教えて?」
どうやら面倒臭い人に巻き込まれたようだ。小鉄は内心悪態を吐きながら店員としての面を被る。
「あの人達は俺が通ってるキメツ学園の食堂の店員さんですよ。俺は初等部なのであまり関わりはないのですが、中等部高等部の食堂で働いてます」
ではこれでと下がろうとした時「ちょっと」とエプロンの裾を掴まれた。
「あの…いい加減にしてください…これ以上仕事の邪魔するなら出禁にしますよ」
「はぁ? 質問があって呼び止めたのにそれで出禁にするわけ? 意味わかんないんだけど…。あーあ、アンタのせいでピザが不味くなったわ。アタシ帰るね」
「ちょっと待って…」
バッグを持ってそそくさと帰ろうとした女性を引き止めたのは人一倍ピザ作りに厳しい鋼鐡塚だった。普段は、キメツ学園の家庭科教師として働いているが、火男pizzaと関わりがある為、今日は手伝いで来ている。
「おい、金払え。金も払わずに帰る気か?」
「な、何よ。このチビに出禁にされるんだから金払わなくてもいいでしょ? そもそも、店員がそんな口の悪さで良いの?」
相当頭のおかしい人のようで逆ギレされたり癇癪を起こす。周りの客は見て見ぬふりをしたり、スマホを出して電話のようなものをしている。よく耳をすませば「今すぐ来てください」という言葉が聞こえて来た。警察を呼んでくれたのだと嬉しくなる。ならば、ここに引き止めるまでだ。
小鉄は鋼鐡塚に耳打ちする。
「鋼鐡塚さん、お客さんが警察呼んでくれたようなので俺達はこの人を引き止めますよ」
鋼鐡塚はそれどころではないのか返事はしなかったが了解、とでも言うように頷いたように見えた。
小鉄は内心とても苛々していた。自分が中等部か高等部で暗殺部隊だったら今すぐにでもこの変な客に拳銃をぶっ放したいところだが、それはそれで少年院に入れられるので出来ない。まず外では政府非公認の暗殺部隊は出れない、そう自分を落ち着かせる。
すると、関係者以外立ち入り禁止と書かれた扉が開く。鉄地河原鉄珍が鉄穴森に抱かれて出て来た。丁度客は「責任者出しなさいよ!」と怒り狂っていたので丁度良いと思った。
「責任者は、儂だけど。先程から怒鳴り声が凄かったからね。様子見に来てみればどういうことなんだい?」
小鉄に説明を求められた。小鉄は事情を説明する。
「はぁ? 責任者がこんなチビの爺なの? 笑えるんだけど」
それに店員が凍りつき、鉄珍のオーラが変わった。小鉄ははぁ、と溜息をつく。確実に出禁になるだろうと思った。
「無銭飲食、営業妨害、脅し、などなど君はここで何件もの罪を作ったね。もうすぐで警察も来るだろう。君は出禁じゃ。二度と来るな」
鉄珍は低い声で唸るように言った。女性は腰が抜けた。すると外からファンファンとサイレンが聞こえ、ドアをバタンと閉める音が聞こえた。警察のお出ましだ。
「ピザ屋で女性が暴れてるなどの通報が十件近く来ましたからどんな大問題かと思えば…全く…。貴女は四件ほどの罪がある。言い訳は署で聞こう」
「ちょっ! アタシはこのチビに質問しただけなのよ⁉︎なんで警察に行かなきゃいけないのよ!」
手錠をかけられてもなお暴れる女性を警官は引きずってパトカーの中へと入れた。そして騒ぎも終わった後、鉄穴森は「お騒がせしました」とぺこぺこ頭を下げる。そして警察を呼んでくれた方に次回入店した際使える割引券をプレゼントしていた。
「ありがとうね、小鉄。一番ストレスかかったろう。ほれ、キメツ学園へ宅配にも行かなきゃいけないだろう? それについて行ったらいい。気分転換に」
「えっ? でも…」
お手伝いするよと言いかけたが、圧により言えなかった。小鉄は須磨、まきを、雛鶴と一緒に宅配について行った。
「ごめんなさい、皆さん。ピザ、今日は出来ないかもです。先ほどのこともありましたし」
「ありゃ酷いもんよ。しゃーない。次どこ行こうか」
「甘露寺さん、お腹空かせてませんかね?」
「取り敢えず電話しときましょうか!」
甘露寺は大食いらしい。それでも太らないっていうのが凄いなぁと思う。中々キメツ学園の裏を知っているお店なんていない。いないが、一つだけあると小鉄は思い出した。
「竈門ベーカリーはどうでしょうか! ほら、裏も知ってますし、此処よりは楽かと」
最後の方は小さい声で囁く。それに皆「あー!」となる。
「そういや竈門ベーカリーがあったわ! よし、早速行くよ。帰ってから甘露寺さん暴れてたら鎮めるの大変なんだから!」
「伊黒さんがなんとかしてくれそうだけど…」
「まぁまぁ! 早く行きましょう!」
須磨に手を引かれ、小鉄達は店を出る。
雛鶴が呼んだタクシーに乗り、「竈門ベーカリーまで」と言う。運転手は竈門ベーカリーまで運転してくれた。
「竈門ベーカリー」という暖簾がかかった一歩手前の所で一行は降りた。
「んー! パンのいい匂い!」
「お腹空いてきましたね。お昼も近いですし」
「私たちの分も少し買っていきましょうか」
入店を知らせるベルがチリンチリンと鳴る。
「いらっしゃいませ、あら、小鉄くん。それに宇髄さん達も」
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃーい!」
丁度パンを戸棚に並べていた女性はにこりと微笑む。そして興味津々にアンティークのレジのボタンをポチポチ押していた少女も微笑む。少年も接客する。
「こんにちは〜、葵枝さん、花子ちゃん、茂くん! パンを沢山買いに来ましたー!」
「あらあら、また甘露寺さんですか?」
葵枝はふふっと微笑む。この竈門ベーカリーだけが、小鉄が知っている限りキメツ学園の裏向きも知っているお店だと思ったのだ。
「そうなのー。材料はさっきスーパーで買ってきたけど、生徒達の分もあるから今すぐには使えなくて…」
「そこで考えたのが、火男pizza、竈門ベーカリー、あおぞら食堂へ行こうってなったわけなんですー!」
ふむふむと葵枝は相槌を打つ。
「そう言うことでしたら、お安くして提供しますね。それと、昨日売れ残ってしまったパンが有るのですが、良かったら貰ってくれませんか?」
「わぁ〜〜! 良いんですか?」
須磨は目をキラキラと輝かせてはしゃぐ。それに葵枝はええ、と微笑む。
そして、沢山の紙袋にパンを五個ずつ入れて、持たせる。
「こんなに沢山…本当に良いのですか?」
「勿論。私はキメツ学園の裏も知ってますし。良ければこれから色々お手伝いしますよ。花子も茂も炭治郎達のお手伝いしたいって聞かないから…」
「お姉さん達はこれからキメツ学園行くのー! 俺も行きたいー!」
「駄目だよ、茂。お姉さん達はお仕事だから! 私だって行きたいけど。大きくなったら行けるから!」
礼儀正しい花子は茂を止める。茂はチェッと不満そうになる。
「ごめんなさいね、うちの子が。はい、これ。沢山入っているんで食べて下さい。それと、この竈門ベーカリーの電話番号です。これに掛けてくれれば、パンをお届けしますよ」
勿論、他の客には秘密でね、と葵枝は微笑む。
「そんな、いいんですか? 葵枝さん」
「ええ、新作パンも出てるんですけど、中々広まらなくて。炭治郎が帰ってくる時は繁盛するんですけどね…」
兎に角、貰って下さいと笑顔で押された。
「じゃあ、これからは度々お願いするかもしれません。ありがとうございます」
「こちらこそ。ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
葵枝は深々とお辞儀する。花子と茂も真似してお辞儀する。ドアを開けるとチリンチリンとベルが鳴る。
「はー! こんなに貰っちゃった。一旦キメツ学園に戻りますか!」
「じゃあ俺はこれで。良い気分転換でした」
「なーに言ってんの! 小鉄くん! アンタもついてくるんだよ!」
まきをがバシッと小鉄の背中を叩いた。
「えっでも、俺初等部ですよ⁉︎中等部高等部に入って良いんですか?」
「アンタももう少ししたら中等部に上がるでしょ? 校舎見学よ、校舎見学」
「まきを、そんな小鉄に無茶しちゃ…」
「雛鶴は硬いねぇ。第一、紙袋二十個分よ! その中にパンが五、六個入ってんだから! それに、ご飯は皆で食べた方が美味しいでしょ!」
「確かに! まきをさん、天才です!」
須磨が賛成するとまきをは得意げに「だろ!」と言う。もしかして、鉄珍はここまでを見計らって言ってくれたのだろうか。なら、門限まで楽しもうと思う。
「ほら、キメツ学園着いたわよー」
タクシーを降り、正門へ入る。そしてそのまま職員室へ向かう。なんだかんだで職員室へ入るのは初めてだ。
「甘露寺さーん! ピザはダメでしたけどパン、買ってきましたよー!」
「きゃー! ほんと? ありがとう、まきをさん達!」
「こいつは? 初等部だろう」
パンを見てはしゃぐ国語教師、小鉄がいる事に違和感を持つ化学教師。
「まーまー、細かい事は良いじゃないですか! 皆でご飯食べた方がきっと美味しいですから!」
「そうだな、流石は俺の嫁だ。さ、派手にそのパン平らげようぜ」
嫁を褒める美術教師。流石はキメツ学園、変わり者が多い。でも、そんな学校が自分は楽しい。
約百個もあるパンは甘露寺の口にかかれば三十分未満で平らげた。「竈門ベーカリーのパン美味しい〜」と、口にパンを詰め込みながら幸せそうに言う。
「ご馳走様でしたぁ〜。ありがとう、まきをちゃん、雛鶴ちゃん、須磨ちゃん、そして小鉄くん。とっても幸せだったわ! 今度炭治郎くんのクラスで国語する時お礼言わなきゃ!」
「おい、ひょっとこ少年、今日のことはお前の友達誰にも言っちゃいけないからな! 秘密だ」
宇髄は口に人差し指を当てながらニヤリと笑う。
「分かりました」
小鉄は頷き、帰る支度をする。
「ありがとうございました。とっても楽しかったです」
「授業の質問、初等部の子でも大歓迎だからねー! 専門の人達が揃ってるから!」
甘露寺は手をブンブンと振りながら笑顔で言う。それに小鉄は手を振替しながら「分かりました」と頷く。
今日は色んな日だったなぁと思い返す。偶にはこんな休日があっても良いと思った。朝の事件は面倒臭かったが、楽しかったなと思う。明日も学校がある。
コメント
3件
ほのぼのしてていいですね〜!!