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『世界一どうでもいい事件を解決するために、国家予算と三日間と会議資料843ページを費やした男』
第一章 男は立ち上がった。ただし、立ち上がるまでに四十分かかった。
午前六時三十分。
東京都内某所にある、ごく普通の一軒家の、ごく普通の二階の、ごく普通の寝室で、ひとりの男が目を覚ました。
男の名前は田中太郎。
年齢は三十四歳。
職業は会社員。
趣味は散歩。
好きな食べ物はカレー。
嫌いな食べ物は、本人いわく「食べられないもの」。
この情報は、今回の事件において驚くほど重要ではない。
しかし、読者が田中太郎という人間を理解するためには、まず彼の基本的なプロフィールを知る必要があるのではないかと筆者は考えた。
いや、考えたというより、なんとなく書き始めてしまったのである。
では、田中太郎の身長について説明しよう。
彼の身長は百七十二センチメートルだった。
この身長は、彼の人生において特別な意味を持っていたわけではない。少なくとも、彼がこれまでに経験した三十四年間の人生を振り返ってみても、身長が原因で世界を救ったこともなければ、身長が原因で世界を滅ぼしかけたこともなかった。
ただし、小学五年生のとき、彼は身長測定で百四十二・三センチメートルという数値を記録したことがある。
そのときの彼は、自分の身長が百四十二・三センチメートルであるという事実について、特に深い感慨を抱かなかった。
なぜなら、当時の彼には、身長について深く考えるだけの哲学的素養がなかったからである。
もっとも、三十四歳になった現在も、その哲学的素養が十分に身についたとは言い難い。
さて、話を戻そう。
午前六時三十分。
田中太郎は目を覚ました。
目を覚ましたということは、眠っていた状態から起きている状態へ移行したということである。
これは生物学的には覚醒と呼ばれる現象であり、人間を含む多くの動物に見られる、ごく一般的な生理現象である。
彼は目を開けた。
右目を開けた。
それから左目を開けた。
厳密に言えば、彼は両目をほぼ同時に開けたのだが、文章にする以上、右目と左目を別々に記述することも可能である。
右目だけを開けた状態では、彼は世界を片目で見ることになる。
左目だけを開けた状態でも同様である。
しかし、彼は両目を開けた。
これによって、彼は両方の目を使って寝室の天井を見ることができた。
天井は白かった。
白い天井とは、一般的に白色に見える天井のことである。
もちろん、照明の色や光の当たり方、視覚の状態などによって、実際の色の見え方が変化する可能性はある。
しかし、田中太郎は色彩学の専門家ではなかったため、天井の正確な色彩座標を測定しようとは思わなかった。
彼は天井を見つめた。
三秒。
五秒。
十秒。
十五秒。
そして、二十秒が経過した。
「……朝か」
彼は言った。
これは、彼が朝であることを認識したうえで、その認識を音声として外部に出力したということである。
しかし、彼が声を出さなかったとしても、朝は朝だった。
太陽は彼の発言を待って昇ったわけではない。
地球の自転も、彼の発言によって加速したり減速したりすることはなかった。
それでも彼は、朝であることを口に出した。
なぜなら、人間は時として、すでに理解していることをわざわざ口に出す生き物だからである。
特に、寝起きはそうである。
こうして田中太郎の一日は、始まった。
正確には、彼が目を覚ます前から地球上では多くの出来事が起きていたため、世界の一日が始まったわけではない。
彼の一日が始まったのである。
この違いは重要そうに見えるが、今回の物語では特に重要ではない。
午前六時三十一分。
田中太郎は布団から出ようとした。
彼はまず、右腕を動かした。
右腕は動いた。
次に左腕を動かした。
左腕も動いた。
続いて右足を動かした。
右足も問題なく動いた。
左足も動かした。
左足も動いた。
この時点で、彼は自分の四肢が正常に動作していることを確認できた。
ただし、彼は医師ではないため、これだけで健康状態を完全に判断することはできない。
また、彼は自分の四肢を確認するために特別な検査を受けたわけでもない。
ただ布団の中で少し動いただけである。
それでも彼は、布団から出るという目的に向かって着実に前進していた。
ここで、布団について説明しておこう。
布団とは、日本で広く使用されている寝具の一種である。
一般的には、敷布団や掛け布団などがあり、就寝時に身体を横たえたり、身体を覆って保温したりする目的で使用される。
田中太郎が使用していた掛け布団は、淡い青色だった。
購入したのは三年前。
購入価格は税込み五千九百八十円。
購入場所は駅前の寝具店。
購入当時、店員は彼に対して「軽くて暖かいですよ」と説明した。
田中太郎はその説明を信じ、購入した。
実際、布団は軽くて暖かかった。
この情報は、今回の事件の解決に一切関係しない。
しかし、布団について説明した以上、敷布団についても少し説明するのが公平ではないだろうか。
彼の敷布団は灰色だった。
掛け布団とは色が違った。
素材も違った。
価格も違った。
しかし、両者はどちらも寝具である。
そして、どちらも田中太郎の睡眠を支えていた。
彼は布団の中で、もう一度寝返りを打った。
右を向いた。
左を向いた。
仰向けになった。
再び右を向いた。
そして、天井を見た。
「……起きるか」
彼は、ようやく決断した。
しかし、ここで問題が発生した。
彼は布団から出る前に、なぜか昨日の夕食について考え始めてしまったのである。
昨日の夕食はカレーだった。
カレーとは、香辛料を使用して作られる料理の一種であり、地域や家庭によってさまざまな種類が存在する。
田中太郎が昨日食べたカレーには、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、豚肉が入っていた。
米もあった。
皿もあった。
スプーンもあった。
彼はカレーを食べた。
おいしかった。
以上である。
しかし、彼の頭の中では、ここから長大な思考が始まった。
なぜカレーはおいしいのか。
なぜ米とカレーは相性がいいのか。
なぜスプーンで食べるのか。
なぜスプーンには大小さまざまな種類があるのか。
なぜカレー専用のスプーンが存在するのか。
そもそも、スプーンとは何なのか。
彼は考えた。
考え続けた。
そして、ついにひとつの結論にたどり着いた。
「……腹減ったな」
まだ朝食を食べていないのだから、当然である。
午前六時四十五分。
田中太郎は、目を覚ましてから十五分が経過したことに気づいた。
彼はまだ布団から出ていなかった。
ここで読者の皆様には、少し考えていただきたい。
人間はなぜ、起きると決めたのに、すぐに起きないのだろうか。
これは、意志と行動の関係について考えるうえで興味深い問題である。
決意することと、実際に行動することは、必ずしも同じではない。
田中太郎は、布団から出ると決めた。
しかし、彼は布団から出なかった。
この矛盾は、彼の内面における葛藤を示しているのかもしれない。
あるいは、単に布団が暖かかっただけかもしれない。
後者の可能性が高い。
午前七時。
田中太郎は、ようやく上半身を起こした。
ここまでで三十分が経過していた。
彼はベッドの端に座った。
足を床につけた。
床は冷たかった。
彼は足を引っ込めた。
再び足を床につけた。
やはり冷たかった。
彼は考えた。
「靴下を履けばいいのでは?」
素晴らしい発見だった。
彼はベッドの横に置いてある靴下を探した。
右側を見た。
左側を見た。
枕の下を見た。
なぜ枕の下を見たのかは、彼自身にも分からなかった。
靴下は枕の下にはなかった。
当然である。
彼は布団をめくった。
すると、靴下が一足出てきた。
「……あった」
彼は靴下を手に取った。
右足に履いた。
左足に履いた。
これで足元の問題は解決した。
彼は床に足を下ろした。
冷たくなかった。
靴下の効果は絶大だった。
ただし、これは靴下の素材や床の温度、足の状態などによって感じ方が変わるため、すべての人に同じ効果があるとは限らない。
田中太郎は、そんなことを考えなかった。
彼は立ち上がった。
午前七時十分。
目覚めてから四十分。
彼は、ようやく立ち上がったのである。
その瞬間、彼のスマートフォンが鳴った。
通知が一件。
送信者は、会社の同僚である佐藤だった。
『田中、今日って何時出社?』
田中太郎は時計を見た。
午前七時十分。
出社時刻は午前九時。
通勤時間は約四十分。
準備に必要な時間は約三十分。
つまり、今すぐ準備を始めれば、十分ほどの余裕を持って出社できる計算だった。
彼は返信した。
『九時』
送信した。
スマートフォンを置いた。
そして、もう一度スマートフォンを手に取った。
返信が来ていた。
『了解』
彼はスマートフォンを置いた。
しかし、もう一度手に取った。
通知はなかった。
彼はスマートフォンを置いた。
そして、ようやく洗面所へ向かった。
午前七時十二分。
事件が起きるまで、あと三分。
ただし、この時点で田中太郎は、これから自分が世界規模の事件に巻き込まれるなどとは夢にも思っていなかった。
なぜなら、彼はまだ歯を磨いていなかったからである。
第二章 歯ブラシの毛先について、国家レベルの議論が始まった。
午前七時十三分。
田中太郎は洗面所に到着した。
洗面所は、玄関から見て右側にある廊下の突き当たりを左に曲がり、その先にあるドアを開けたところに位置していた。
なお、玄関から洗面所までの距離は約七メートルである。
この七メートルという距離は、田中太郎が以前、メジャーを使って測定したものではない。
不動産の間取り図を見たときに、なんとなくそう思っただけである。
したがって、実際の距離は六・八メートルかもしれないし、七・三メートルかもしれない。
あるいは、彼が知らない間に家の構造が変化している可能性も、理論上は完全には否定できない。
しかし、今はそこまで考える必要はない。
田中太郎は洗面台の前に立った。
鏡があった。
彼は鏡を見た。
鏡の中には、彼自身の顔が映っていた。
寝癖がついていた。
髪の毛が右側に跳ねていた。
彼は右側の髪を押さえた。
離した。
跳ねた。
もう一度押さえた。
離した。
やはり跳ねた。
「……頑固だな」
髪の毛に対して頑固という表現を使うのが適切なのかどうかは、議論の余地がある。
一般的に、頑固という言葉は、人間の性格や態度について使用されることが多い。
しかし、田中太郎は髪の毛が自分の指示に従わないことに対して、ある種の抵抗を感じていた。
そこで彼は、髪の毛を説得することにした。
「頼む。今日は大事な会議があるんだ」
髪の毛は動かなかった。
「いや、本当に頼む。これ以上、私の人生を複雑にしないでくれ」
髪の毛は動かなかった。
髪の毛には意思がないため、当然である。
彼は水で髪を濡らした。
髪は落ち着いた。
問題は解決した。
田中太郎は、鏡の中の自分に向かってうなずいた。
「よし」
そして、歯ブラシを手に取った。
ここで、歯ブラシについて説明する。
歯ブラシとは、歯の表面や歯と歯の間などを清掃するための道具である。
一般的には、柄の先端に毛が取り付けられており、その毛を使って歯を磨く。
田中太郎が使用していた歯ブラシは、青色だった。
柄の部分には小さな傷があった。
その傷がいつ付いたのか、彼は覚えていなかった。
おそらく、以前に歯ブラシを落としたときに付いたのだろう。
しかし、正確なことは分からない。
歯ブラシの毛先は、少し広がっていた。
彼はそれを見て、考えた。
「そろそろ交換したほうがいいのかな」
この何気ない疑問が、後に世界中の専門家を巻き込む大論争の発端となる。
だが、今はまだ誰も知らない。
田中太郎も知らない。
歯ブラシも知らない。
そもそも、歯ブラシは何も考えていない。
彼は歯磨き粉を手に取った。
キャップを外した。
チューブを押した。
歯磨き粉が出てきた。
出てきた量は、彼の予想より少し多かった。
「……まあ、いいか」
彼は歯ブラシに歯磨き粉を乗せた。
そして、歯を磨き始めた。
右上の奥歯。
左上の奥歯。
前歯。
右下の奥歯。
左下の奥歯。
前歯。
彼は丁寧に歯を磨いた。
歯を磨く時間は、一般的には数分程度とされることが多い。
しかし、田中太郎はその日、歯ブラシの毛先がどの程度広がっているのかについて考えながら磨いていたため、通常よりも少し時間がかかった。
彼は歯ブラシを見た。
歯を磨いた。
もう一度歯ブラシを見た。
そして、ついに決断した。
「新しいのを買おう」
彼は口をゆすいだ。
蛇口を閉めた。
タオルで口元を拭いた。
そして、洗面所を出ようとした。
そのときだった。
鏡の中の自分が、わずかに遅れて動いた。
田中太郎は立ち止まった。
右手を上げた。
鏡の中の自分も右手を上げた。
田中太郎は左手を上げた。
鏡の中の自分も左手を上げた。
田中太郎は首をかしげた。
鏡の中の自分も首をかしげた。
彼は安心しかけた。
しかし、次の瞬間。
鏡の中の自分が、彼より先に口を開いた。
『その歯ブラシ、交換するべきだと思う』
田中太郎は固まった。
「……は?」
『毛先が広がっている。清掃効率が落ちている可能性がある』
「いや、誰?」
『私はお前だ』
「いや、俺はこっちにいるんだが?」
『それは認識上の問題だ』
「認識上の問題で片付けるな」
鏡の中の田中太郎は、腕を組んだ。
『まず、歯ブラシの交換頻度について議論する必要がある』
「ない」
『ある。歯ブラシの毛先が広がることによって、清掃性能が低下する可能性がある。したがって、交換時期を適切に判断することは、口腔衛生上、重要な問題なのだ』
「歯医者に聞けよ!!」
その瞬間、鏡が光った。
光は洗面所を包み込み、廊下を通り、リビングを通り、玄関を通り、家の外へと広がっていった。
そして、地球全体を包み込んだ。
世界中の鏡が、一斉に光り始めたのである。
パリでは、ホテルの鏡が宿泊客に向かって歯ブラシの交換時期を説明した。
ニューヨークでは、ビルのトイレの鏡が従業員に対して口腔衛生に関する講義を始めた。
ロンドンでは、王宮の鏡が歯ブラシの毛先の状態について詳細な報告書を提出した。
そして、東京では、政府庁舎の鏡が緊急警報を発した。
『全人類に告ぐ。歯ブラシの毛先について、重大な問題が発生している』
政府は緊急会議を招集した。
厚生労働省は専門家を集めた。
歯科医師会は声明を発表した。
各大学の研究者たちは、歯ブラシの毛先に関する論文を読み直した。
世界中の報道機関が、この問題を大きく取り上げた。
ニュースキャスターは、深刻な表情で伝えた。
「現在、世界各地で鏡が意思を持ったかのように発言する現象が確認されています。発言内容は、歯ブラシの交換時期に関するものが中心です」
スタジオの専門家がうなずいた。
「これは、人類史上、極めて異例の事態です」
「原因は何なのでしょうか?」
「現時点では不明です。ただ、歯ブラシの毛先が広がっている場合には、交換を検討することが推奨されます」
「つまり、世界的な異常現象と歯ブラシの交換には関係があるのでしょうか?」
「そこはまだ分かりません」
キャスターは深くうなずいた。
「ありがとうございます。では、次のニュースです。北海道で、ジャガイモが大量に収穫されました」
視聴者は混乱した。
世界が危機に陥っているのに、なぜジャガイモのニュースを流すのか。
しかし、ジャガイモも農業も重要である。
そして、ニュース番組には放送時間という制約がある。
すべてのニュースを無限に放送することはできない。
だからこそ、番組制作者は何を放送し、何を放送しないかを決めなければならない。
その判断には、公共性、緊急性、地域性、視聴者の関心など、さまざまな要素が関係する。
今回の場合、歯ブラシの毛先が広がっているという問題は、確かに重要である。
しかし、ジャガイモの収穫も重要である。
ジャガイモは食料であり、食料は人間の生活を支えている。
人間が生活を続けるためには、食料が必要である。
したがって、ジャガイモのニュースを放送することにも合理性がある。
もっとも、ジャガイモは歯ブラシではない。
歯ブラシもジャガイモではない。
この二つは、形状も用途も異なっている。
ジャガイモを歯ブラシとして使用することは、一般的ではない。
歯ブラシをジャガイモとして食べることも、一般的ではない。
この点について、特に異論はないものと思われる。
さて。
世界中の鏡が歯ブラシについて語り始めてから、三時間が経過した。
政府は原因を特定できていなかった。
専門家たちも原因を特定できていなかった。
歯科医師会も原因を特定できていなかった。
ただひとり、田中太郎だけが、原因を知っていた。
彼は洗面所で、鏡の中の自分を見つめていた。
「……お前、何をしたんだ?」
鏡の中の田中太郎は答えた。
『私は何もしていない』
「嘘つけ。世界中の鏡が歯ブラシについて語っているんだぞ」
『歯ブラシの毛先が広がっていたからだ』
「それだけで世界が滅びかけるのか!?」
『世界が滅びるとは限らない』
「じゃあ、なんでこんなことになっているんだよ!」
鏡の中の田中太郎は、少し考えた。
『おそらく、世界の情報システムにおいて、歯ブラシの交換時期に関する情報が過剰に重要視されているのだろう』
「そんな設定にした覚えはない!」
『私はお前だ』
「だから、その設定にした覚えはないんだよ!」
鏡の中の田中太郎は、静かに言った。
『では、確認しよう』
「何を?」
『歯ブラシの購入履歴だ』
「そんなもの確認して何になるんだよ……」
しかし、鏡の中の田中太郎はすでに調査を始めていた。
彼は田中太郎の記憶を検索し、三年前に購入した歯ブラシ、二年前に購入した歯ブラシ、一年前に購入した歯ブラシ、半年前に購入した歯ブラシ、そして現在使用している歯ブラシについて、詳細な情報をまとめ始めた。
その情報量は膨大だった。
歯ブラシの色。
歯ブラシの形状。
歯ブラシの価格。
購入した店舗。
購入した日時。
購入時の天候。
購入時の気温。
購入時にレジに並んでいた人数。
購入時に流れていた店内放送。
購入時に田中太郎が考えていたこと。
購入時に田中太郎が考えていたことについて、田中太郎が後から考えたこと。
さらに、その考えについて、田中太郎が今考えていること。
情報は増え続けた。
そして、ついに鏡の中の田中太郎は、ある重大な事実を発見した。
『原因が分かった』
「本当か!?」
『ああ』
「何だったんだ!?」
鏡の中の田中太郎は、厳かな声で告げた。
『お前は、昨日、歯ブラシを買い替えようと思った』
「……それだけ?」
『それだけだ』
「それだけで世界中の鏡が暴走したのか!?」
『そうだ』
田中太郎は、しばらく黙っていた。
そして、ようやく口を開いた。
「……世界、脆すぎないか?」
その言葉は、世界中の鏡に同時に表示された。
『世界、脆すぎないか?』
世界中の人々が、その言葉を読んだ。
政府は沈黙した。
専門家たちも沈黙した。
歯科医師会も沈黙した。
そして、すべての鏡が、同時にこう告げた。
『ごもっともです』
世界は、ようやく静かになった。
ただし、問題はまだ終わっていなかった。
なぜなら、田中太郎はまだ歯ブラシを買っていなかったからである。
第三章 歯ブラシを買うだけなのに、なぜ国際会議が必要なのか。
午前十一時。
田中太郎は、洗面所から出た。
世界中の鏡は、ひとまず静かになった。
しかし、彼の頭の中には、ひとつの問題が残されていた。
歯ブラシを買い替えるべきかどうか。
彼は考えた。
歯ブラシの毛先は広がっている。
毛先が広がった歯ブラシは、清掃効率が落ちる可能性がある。
したがって、新しい歯ブラシを購入することには合理性がある。
しかし、今すぐ購入する必要があるのだろうか。
自宅には、まだ未使用の歯ブラシが残っているかもしれない。
いや、残っていないかもしれない。
彼は洗面台の下を開けた。
そこには、洗剤があった。
掃除用のスポンジがあった。
予備のタオルがあった。
使いかけのシャンプーがあった。
そして、歯ブラシはなかった。
「……ないな」
彼は扉を閉めた。
しかし、扉を閉めた直後、彼はあることに気づいた。
洗面台の下には、引き出しがもうひとつあったのである。
彼は引き出しを開けた。
そこには、電池があった。
輪ゴムがあった。
使い道の分からない小さなネジが三本あった。
そして、歯ブラシはなかった。
「……ないな」
彼は引き出しを閉めた。
念のため、もう一度開けた。
やはり、歯ブラシはなかった。
彼は引き出しを閉めた。
そして、洗面台の下をもう一度開けた。
洗剤があった。
掃除用のスポンジがあった。
予備のタオルがあった。
使いかけのシャンプーがあった。
歯ブラシはなかった。
彼は、これ以上確認しても結果は変わらないだろうと判断した。
合理的な判断だった。
しかし、その判断に至るまでに、彼は四分間を費やしていた。
午前十一時四分。
田中太郎はスマートフォンを手に取った。
検索エンジンを開いた。
検索欄に入力した。
『歯ブラシ おすすめ』
検索結果には、さまざまな歯ブラシが表示された。
毛先が柔らかいもの。
毛先が普通のもの。
毛先が硬いもの。
ヘッドが小さいもの。
ヘッドが大きいもの。
持ち手が曲がっているもの。
持ち手がまっすぐなもの。
電動のもの。
手動のもの。
価格もさまざまだった。
百円程度のものから、数千円するものまで存在していた。
田中太郎は考えた。
どれを買えばいいのだろうか。
彼は、歯ブラシを選ぶための基準を整理することにした。
第一に、価格。
第二に、毛先の形状。
第三に、持ちやすさ。
第四に、耐久性。
第五に、購入しやすさ。
第六に、デザイン。
第七に、色。
第八に、パッケージの開けやすさ。
第九に、パッケージを開けたときの音。
第十に、歯ブラシを使い終わった後の気持ち。
第十の項目については、数値化するのが難しかった。
彼は、その問題についてさらに考えた。
もし、歯ブラシを使い終わった後に満足感を得られるのであれば、それは歯ブラシの価値に影響するのではないか。
しかし、満足感は個人の感覚に依存する。
同じ歯ブラシを使用しても、ある人は満足し、別の人は不満を感じるかもしれない。
したがって、満足感を評価基準に含める場合には、個人の主観を考慮する必要がある。
彼は、この考えをメモに書いた。
メモのタイトルは、
『歯ブラシ選定における主観的満足度の評価可能性について』
だった。
彼はメモを保存した。
保存したファイル名は、
『歯ブラシ選定における主観的満足度の評価可能性について_最終版』
だった。
しかし、彼はすぐに不安になった。
本当に最終版なのだろうか。
まだ修正する可能性があるのではないか。
そう考えた彼は、ファイル名を変更した。
『歯ブラシ選定における主観的満足度の評価可能性について_最終版2』
さらに変更した。
『歯ブラシ選定における主観的満足度の評価可能性について_最終版2_修正版』
さらに変更した。
『歯ブラシ選定における主観的満足度の評価可能性について_最終版2_修正版_本当に最終』
そして、ついに彼は決断した。
「……店で見て決めよう」
午前十一時二十分。
彼は外出する準備を始めた。
服を着替えた。
財布を確認した。
スマートフォンを確認した。
鍵を確認した。
もう一度財布を確認した。
スマートフォンを確認した。
鍵を確認した。
彼は玄関のドアを開けた。
外に出た。
そして、ドアを閉めた。
鍵をかけた。
鍵がかかったことを確認した。
もう一度確認した。
さらにもう一度確認した。
彼は歩き始めた。
家から最寄りのコンビニまでは、徒歩で約五分だった。
五分という時間は、一般的には短い時間である。
しかし、田中太郎にとって、この五分間は、歯ブラシについて考えるための十分な時間だった。
彼は歩きながら考えた。
歯ブラシの色は何色がいいだろうか。
青色だろうか。
白色だろうか。
黒色だろうか。
あるいは、赤色だろうか。
青色の歯ブラシを選べば、現在の歯ブラシと区別がつきにくいかもしれない。
白色なら、清潔感がある。
黒色なら、少し高級感がある。
赤色なら、目立つ。
彼は赤色の歯ブラシを想像した。
赤色の歯ブラシを使う自分を想像した。
赤色の歯ブラシを洗面台に置いた自分を想像した。
赤色の歯ブラシが鏡の前に置かれている光景を想像した。
そして、鏡の中の自分が赤色の歯ブラシを見つめている光景を想像した。
彼は立ち止まった。
「……また鏡がしゃべったら嫌だな」
その瞬間、近くの自動販売機がしゃべった。
『赤色の歯ブラシは、必ずしもあなたに適しているとは限りません』
田中太郎は、空を見上げた。
「もういい加減にしてくれ!!」
自動販売機は黙った。
しかし、数秒後。
『ところで、飲み物はいかがですか?』
「営業を始めるな!!」
彼は再び歩き始めた。
午前十一時二十五分。
コンビニに到着した。
自動ドアが開いた。
店内に入った。
彼は歯ブラシ売り場へ向かった。
売り場には、さまざまな歯ブラシが並んでいた。
彼は棚の前に立った。
そして、手を伸ばした。
最も安い歯ブラシを取った。
価格は百十円。
彼はパッケージを見た。
毛先は普通の硬さ。
ヘッドも普通の大きさ。
持ち手も普通。
色は青色。
彼はうなずいた。
「これでいいか」
購入する歯ブラシが決まった。
ここまでの時間、約一時間。
歯ブラシを選ぶだけで、一時間。
しかし、彼は満足していた。
これで世界中の鏡が再びしゃべり始めることもないだろう。
彼はレジへ向かった。
店員が笑顔で言った。
「いらっしゃいませ」
田中太郎は歯ブラシを差し出した。
「お願いします」
店員はバーコードを読み取った。
ピッ。
レジの画面に価格が表示された。
百十円。
店員は言った。
「百十円です」
田中太郎は財布を取り出した。
百円玉を一枚。
十円玉を一枚。
合計百十円。
彼は硬貨をトレーに置いた。
店員は硬貨を確認した。
そして、レジの画面を見た。
次に、歯ブラシを見た。
そして、田中太郎を見た。
「お客様」
「はい?」
「こちらの歯ブラシですが……」
田中太郎は息をのんだ。
まさか。
まさか、また世界規模の異常現象が起きるのか。
店員は静かに告げた。
「ポイントカードはお持ちですか?」
田中太郎は、目を閉じた。
「……持ってません」
「かしこまりました」
店員は会計を完了した。
レシートを渡した。
歯ブラシを袋に入れた。
田中太郎は受け取った。
そして、コンビニを出た。
世界は平和だった。
少なくとも、その瞬間までは。
彼が自宅に帰る途中、スマートフォンが鳴った。
通知が一件。
送信者は、世界保健機関だった。
『田中太郎様。歯ブラシの購入を確認しました。つきましては、緊急国際会議への出席をお願いいたします』
田中太郎は、スマートフォンを見つめた。
「……なんでだよ」
その声は、誰にも届かなかった。
ただし、世界中の鏡には、同時に表示されていた。
『なんでだよ』
そして、人類は気づき始めていた。
この事件は、まだ終わっていない。
むしろ、ここからが本番だったのである。
第四章 会議のための会議を開催するかどうかを決める会議
午後一時。
田中太郎は、世界保健機関の日本支部に到着した。
建物の外観は、一般的なオフィスビルと大きく変わらなかった。
入口には自動ドアがあり、その横には受付があり、受付の横には観葉植物が置かれていた。
観葉植物は緑色だった。
植物であるため、光合成を行う。
光合成とは、植物などが光エネルギーを利用して有機物を合成する過程である。
田中太郎は、観葉植物を見た。
観葉植物は、何も言わなかった。
彼は少し安心した。
しかし、その安心は長く続かなかった。
受付の横に置かれていた観葉植物の鉢に、小さな札が刺さっていたのである。
札には、こう書かれていた。
『私は会議に反対です』
田中太郎は、札を見つめた。
「……植物が会議に反対している」
受付の女性が言った。
「最近、植物の間で会議に対する不満が広がっているんです」
「植物の間で?」
「はい。会議が多すぎるそうです」
「……植物にも会議があるんですか?」
「正確には、葉っぱ同士の情報交換だそうです」
田中太郎は、観葉植物を見た。
葉っぱは静かに揺れていた。
その揺れが風によるものなのか、植物自身の意思によるものなのか、彼には判断できなかった。
受付の女性は続けた。
「本日は、会議の前に、会議を開催するための会議を行うかどうかを決定する会議があります」
「……はい?」
「その後、会議を開催するための会議を行うことが決定した場合には、会議を開催するための会議を行うための準備会議を開催する予定です」
「待ってください」
「はい」
「普通に会議を始めたら駄目なんですか?」
受付の女性は、申し訳なさそうに微笑んだ。
「規則ですので」
田中太郎は、遠い目をした。
彼は思った。
世界を救うためには、歯ブラシを買うだけでは足りなかったらしい。
まず、会議が必要だった。
そして、会議を始めるためには、会議の準備が必要だった。
会議の準備を始めるためには、準備のための会議が必要だった。
準備のための会議を開催するためには、その開催を決定する会議が必要だった。
そして、その会議を開催するためには――
「……もういいです」
「かしこまりました。では、こちらの書類にご記入ください」
受付の女性は、書類を渡した。
書類の名前は、
『歯ブラシ関連世界規模異常現象対策会議参加申請書兼個人情報取扱同意書兼会議資料受領確認書兼会議室利用規則遵守誓約書兼緊急時対応方針確認書』
だった。
田中太郎は、書類を受け取った。
ページ数は、全部で二十七ページ。
彼は表紙をめくった。
第一ページ。
氏名。
住所。
年齢。
職業。
第二ページ。
緊急連絡先。
所属組織。
会議参加の目的。
第三ページ。
歯ブラシの使用歴。
第四ページ。
歯ブラシの購入歴。
第五ページ。
歯ブラシに対する個人的見解。
第六ページ。
歯ブラシの毛先が広がっていると認識した日時。
第七ページ。
その認識に至るまでの思考過程。
第八ページ。
思考過程における感情の変化。
第九ページ。
感情の変化が歯ブラシの購入意思に与えた影響。
第十ページ。
購入意思が世界規模の異常現象に与えた影響についての本人の見解。
田中太郎は、書類を閉じた。
「……帰っていいですか?」
受付の女性は、穏やかに答えた。
「ご記入いただいてからであれば」
田中太郎は、書類を開いた。
ペンを持った。
そして、氏名を書いた。
田中太郎。
年齢を書いた。
三十四歳。
職業を書いた。
会社員。
ここまでは問題なかった。
しかし、第七ページで彼の手が止まった。
思考過程。
彼は、歯ブラシの毛先を見た。
交換したほうがいいと思った。
店に行った。
購入した。
以上である。
しかし、書類には、思考過程を五百字以上で記入するようにと書かれていた。
田中太郎は、頭を抱えた。
「五百字も何を書けばいいんだ……」
受付の女性が、親切に説明した。
「当時の状況を詳しく書いていただければ大丈夫です」
「例えば?」
「そのとき、どこにいたのか。何を見ていたのか。何を考えたのか。なぜそう考えたのか。ほかに選択肢はなかったのか。選択肢があった場合、なぜそれを選ばなかったのか。選ばなかった選択肢について、現在はどのように評価しているのか、などです」
「歯ブラシですよ?」
「はい」
「歯ブラシの話ですよね?」
「はい」
「……五百字?」
「はい」
田中太郎は、ペンを握りしめた。
彼は書き始めた。
『私は昨日、洗面所において、現在使用している歯ブラシの毛先が広がっていることを確認した。その結果、私は歯ブラシの交換が必要である可能性について考えるに至った。歯ブラシの交換が必要であると判断した理由は、毛先の状態が清掃効率に影響する可能性があるためである。しかし、私は歯ブラシの専門家ではないため、正確な交換時期については判断できなかった。そこで、私は新しい歯ブラシを購入することを決定した』
彼は文字数を数えた。
百二十七文字。
まだ足りなかった。
彼は続けた。
『なお、歯ブラシを購入するという判断に至るまでには、価格、毛先の形状、持ちやすさ、耐久性、デザインなど、複数の要素を考慮した。これらの要素は、それぞれ独立しているように見えるが、実際には相互に関連している可能性がある。例えば、価格が安い歯ブラシであっても、使用感が良好であれば、結果的に満足度が高くなる可能性がある。一方で、価格が高い歯ブラシであっても、必ずしもすべての利用者にとって最適であるとは限らない』
彼は文字数を数えた。
二百六十四文字。
まだ足りなかった。
彼は続けた。
『また、歯ブラシの色についても検討した。色は歯ブラシの清掃性能に直接的な影響を与えるとは限らないが、使用者の好みや洗面所の環境などによって、選択に影響を与える可能性がある。私は最終的に青色の歯ブラシを選択したが、これは現在使用している歯ブラシの色と同じであった。したがって、色の選択については、特に革新的な判断を行ったわけではない』
彼は文字数を数えた。
三百九十七文字。
まだ足りなかった。
田中太郎は、深く息を吸った。
そして、最後の一文を書いた。
『以上のことから、私は歯ブラシの購入という行為について、一定の合理性があると考えている。ただし、今回の判断が世界規模の異常現象を引き起こした可能性については、私自身の認識だけでは十分に説明できないため、今後、専門家による検証が必要であると考える』
彼は文字数を数えた。
五百二十三文字。
ようやく条件を満たした。
田中太郎は、ペンを置いた。
そして、書類を受付に提出した。
受付の女性は、書類を受け取った。
ページをめくった。
一ページ。
二ページ。
三ページ。
四ページ。
五ページ。
六ページ。
七ページ。
受付の女性は、七ページ目で手を止めた。
「……すばらしいですね」
「えっ?」
「非常に論理的な文章です」
「いや、歯ブラシの話ですよ?」
「はい。歯ブラシの話です」
受付の女性は、真剣な表情でうなずいた。
「この文章は、世界中の専門家に共有させていただきます」
「……え?」
「田中様の思考過程は、今後の対策において極めて重要な資料となる可能性があります」
「いや、そんな大げさな……」
「それでは、会議室へご案内いたします」
受付の女性は立ち上がった。
田中太郎も立ち上がった。
彼は、受付の女性についていった。
廊下を歩いた。
右へ曲がった。
左へ曲がった。
もう一度右へ曲がった。
そして、会議室の前に到着した。
ドアの横には、プレートが掲げられていた。
『歯ブラシ関連世界規模異常現象対策会議室』
その下には、小さな文字でこう書かれていた。
『本会議室は、会議以外の目的で使用しないでください』
さらに、その下には、もっと小さな文字でこう書かれていた。
『ただし、会議以外の目的で使用する必要性について審議する会議を開催する場合は、この限りではありません』
田中太郎は、プレートを見つめた。
「……この組織、大丈夫か?」
その声は、会議室の中にいた全員に聞こえていた。
なぜなら、会議室のドアが開いていたからである。
そして、会議は始まった。
第五章 議長は資料を読み上げた。資料は、議長より長かった。
会議室には、四十七人の専門家が集まっていた。
歯科医師。
情報工学者。
哲学者。
心理学者。
物理学者。
数学者。
言語学者。
社会学者。
法律家。
経済学者。
そして、なぜか一人だけ、寿司職人がいた。
田中太郎は、寿司職人を見た。
寿司職人も、田中太郎を見た。
二人は目を合わせた。
そして、同時に視線をそらした。
田中太郎は、心の中で考えた。
なぜ寿司職人がいるのだろうか。
歯ブラシと寿司には、どのような関係があるのだろうか。
もしかすると、寿司を食べた後に歯を磨く必要があるからだろうか。
しかし、それならば、寿司職人だけでなく、すべての料理人を招集する必要があるのではないか。
ラーメン職人。
そば職人。
うどん職人。
パン職人。
パティシエ。
それぞれの専門家が参加することで、食後の口腔衛生に関する包括的な議論が可能になるかもしれない。
しかし、会議室の席数には限りがある。
すべての料理人を招集することは、現実的ではない。
そもそも、今回の問題は歯ブラシの毛先が広がっているというものであり、寿司の握り方について議論する必要はないはずである。
田中太郎は、考えるのをやめた。
そのとき、議長が立ち上がった。
「それでは、これより第一回歯ブラシ関連世界規模異常現象対策会議を開催いたします」
拍手が起こった。
ただし、拍手をしたのは四十七人中、三十二人だけだった。
残りの十五人は、資料を確認していた。
議長は続けた。
「本日の議題は、以下の五項目です」
スクリーンに文字が表示された。
一、事件の概要。
二、事件の原因。
三、事件の影響。
四、今後の対策。
五、会議の終了時刻について。
田中太郎は、五番目の項目を見た。
「……終了時刻まで議題なのか」
隣に座っていた哲学者が、静かにうなずいた。
「会議とは、始まりを定義することができても、終わりを定義することが難しい営みなのです」
「いや、時間を決めればいいでしょう」
「しかし、その時間に終了できる保証はありません」
「じゃあ、延長すればいいでしょう」
「延長を決定するための手続きが必要です」
「……帰っていいですか?」
「それは、帰宅という行為の定義に関わる問題ですね」
田中太郎は、席を少し離した。
議長は資料を読み始めた。
「まず、事件の概要について説明いたします。資料第一ページをご覧ください」
全員が資料を開いた。
第一ページには、事件の概要が書かれていた。
『二〇二六年十月二十七日午前七時十三分頃、東京都内の一般住宅において、鏡が歯ブラシの交換時期について発言する現象が確認された。その後、同様の現象が世界各地で確認され、社会的な混乱が発生した』
田中太郎は、うなずいた。
これは正しい。
議長は続けた。
「資料第二ページをご覧ください」
第二ページには、事件発生時の時系列が記載されていた。
午前七時十三分、鏡が発言。
午前七時十四分、田中太郎が驚く。
午前七時十五分、鏡が歯ブラシについて説明。
午前七時十六分、田中太郎が反論。
午前七時十七分、鏡が光る。
午前七時十八分、世界中の鏡が発言。
午前七時十九分、政府が情報収集を開始。
午前七時二十分、世界保健機関が状況を把握。
午前七時二十一分、専門家への連絡を開始。
午前七時二十二分、最初の専門家が「これは歯ブラシの問題ではないのではないか」と発言。
午前七時二十三分、その専門家が別の専門家から「今はそういう話をしていない」と注意される。
午前七時二十四分、会議の必要性について検討が始まる。
午前七時二十五分、会議を開催することが決定。
午前七時二十六分、会議資料の作成を開始。
午前七時二十七分、資料の表紙のデザインについて議論。
午前七時二十八分、表紙のデザインが決定。
午前七時二十九分、資料のページ番号の位置について議論。
午前七時三十分、ページ番号の位置が決定。
午前七時三十一分、資料のフォントについて議論。
午前七時三十二分、フォントが決定。
午前七時三十三分、資料のフォントサイズについて議論。
午前七時三十四分、フォントサイズが決定。
午前七時三十五分、資料の余白について議論。
午前七時三十六分、余白が決定。
午前七時三十七分、資料の印刷を開始。
午前七時三十八分、プリンターが紙詰まりを起こす。
午前七時三十九分、紙詰まりの原因を調査。
午前七時四十分、紙詰まりの原因が判明。
午前七時四十一分、プリンターの修理を開始。
午前七時四十二分、プリンターの修理が完了。
午前七時四十三分、資料の印刷を再開。
午前七時四十四分、印刷された資料に誤字が見つかる。
午前七時四十五分、誤字の修正を開始。
午前七時四十六分、誤字の修正が完了。
午前七時四十七分、資料の再印刷を開始。
午前七時四十八分、印刷が完了。
午前七時四十九分、資料の配布を開始。
午前七時五十分、資料の配布が完了。
午前七時五十一分、会議の開催準備が完了。
午前七時五十二分、会議を開始するための最終確認を開始。
午前七時五十三分、最終確認が完了。
午前七時五十四分、議長が会議の開始を宣言。
午前七時五十五分、議長が資料の説明を開始。
午前七時五十六分、議長が資料の説明を続行。
午前七時五十七分、議長が資料の説明を続行。
午前七時五十八分、議長が資料の説明を続行。
午前七時五十九分、議長が資料の説明を続行。
午前八時、議長が資料の説明を続行。
午前八時一分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五分、議長が資料の説明を続行。
午前八時六分、議長が資料の説明を続行。
午前八時七分、議長が資料の説明を続行。
午前八時八分、議長が資料の説明を続行。
午前八時九分、議長が資料の説明を続行。
午前八時十分、議長が資料の説明を続行。
午前八時十一分、議長が資料の説明を続行。
午前八時十二分、議長が資料の説明を続行。
午前八時十三分、議長が資料の説明を続行。
午前八時十四分、議長が資料の説明を続行。
午前八時十五分、議長が資料の説明を続行。
午前八時十六分、議長が資料の説明を続行。
午前八時十七分、議長が資料の説明を続行。
午前八時十八分、議長が資料の説明を続行。
午前八時十九分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二十分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二十一分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二十二分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二十三分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二十四分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二十五分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二十六分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二十七分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二十八分、議長が資料の説明を続行。
午前八時二十九分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三十分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三十一分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三十二分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三十三分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三十四分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三十五分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三十六分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三十七分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三十八分、議長が資料の説明を続行。
午前八時三十九分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四十分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四十一分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四十二分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四十三分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四十四分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四十五分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四十六分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四十七分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四十八分、議長が資料の説明を続行。
午前八時四十九分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五十分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五十一分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五十二分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五十三分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五十四分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五十五分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五十六分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五十七分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五十八分、議長が資料の説明を続行。
午前八時五十九分、議長が資料の説明を続行。
午前九時、議長が資料の説明を続行。
午前九時一分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五分、議長が資料の説明を続行。
午前九時六分、議長が資料の説明を続行。
午前九時七分、議長が資料の説明を続行。
午前九時八分、議長が資料の説明を続行。
午前九時九分、議長が資料の説明を続行。
午前九時十分、議長が資料の説明を続行。
午前九時十一分、議長が資料の説明を続行。
午前九時十二分、議長が資料の説明を続行。
午前九時十三分、議長が資料の説明を続行。
午前九時十四分、議長が資料の説明を続行。
午前九時十五分、議長が資料の説明を続行。
午前九時十六分、議長が資料の説明を続行。
午前九時十七分、議長が資料の説明を続行。
午前九時十八分、議長が資料の説明を続行。
午前九時十九分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二十分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二十一分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二十二分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二十三分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二十四分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二十五分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二十六分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二十七分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二十八分、議長が資料の説明を続行。
午前九時二十九分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三十分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三十一分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三十二分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三十三分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三十四分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三十五分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三十六分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三十七分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三十八分、議長が資料の説明を続行。
午前九時三十九分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四十分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四十一分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四十二分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四十三分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四十四分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四十五分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四十六分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四十七分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四十八分、議長が資料の説明を続行。
午前九時四十九分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五十分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五十一分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五十二分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五十三分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五十四分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五十五分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五十六分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五十七分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五十八分、議長が資料の説明を続行。
午前九時五十九分、議長が資料の説明を続行。
午前十時、議長が資料の説明を続行。
午前十時一分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五分、議長が資料の説明を続行。
午前十時六分、議長が資料の説明を続行。
午前十時七分、議長が資料の説明を続行。
午前十時八分、議長が資料の説明を続行。
午前十時九分、議長が資料の説明を続行。
午前十時十分、議長が資料の説明を続行。
午前十時十一分、議長が資料の説明を続行。
午前十時十二分、議長が資料の説明を続行。
午前十時十三分、議長が資料の説明を続行。
午前十時十四分、議長が資料の説明を続行。
午前十時十五分、議長が資料の説明を続行。
午前十時十六分、議長が資料の説明を続行。
午前十時十七分、議長が資料の説明を続行。
午前十時十八分、議長が資料の説明を続行。
午前十時十九分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二十分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二十一分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二十二分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二十三分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二十四分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二十五分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二十六分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二十七分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二十八分、議長が資料の説明を続行。
午前十時二十九分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三十分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三十一分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三十二分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三十三分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三十四分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三十五分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三十六分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三十七分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三十八分、議長が資料の説明を続行。
午前十時三十九分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四十分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四十一分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四十二分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四十三分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四十四分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四十五分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四十六分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四十七分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四十八分、議長が資料の説明を続行。
午前十時四十九分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五十分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五十一分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五十二分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五十三分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五十四分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五十五分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五十六分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五十七分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五十八分、議長が資料の説明を続行。
午前十時五十九分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時、議長が資料の説明を続行。
午前十一時一分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時六分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時七分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時八分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時九分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時十分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時十一分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時十二分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時十三分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時十四分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時十五分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時十六分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時十七分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時十八分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時十九分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二十分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二十一分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二十二分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二十三分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二十四分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二十五分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二十六分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二十七分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二十八分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時二十九分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三十分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三十一分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三十二分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三十三分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三十四分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三十五分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三十六分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三十七分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三十八分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時三十九分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四十分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四十一分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四十二分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四十三分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四十四分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四十五分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四十六分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四十七分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四十八分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時四十九分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五十分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五十一分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五十二分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五十三分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五十四分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五十五分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五十六分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五十七分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五十八分、議長が資料の説明を続行。
午前十一時五十九分、議長が資料の説明を続行。
正午。
議長が、ようやく顔を上げた。
「以上で、資料第一ページの説明を終了いたします」
会議室は静まり返った。
田中太郎は、ゆっくりと時計を見た。
会議が始まってから、すでに数時間が経過していた。
そして、説明されたのは、資料第一ページだけだった。
資料は、全部で八百四十三ページある。
田中太郎は、資料を見た。
第一ページを見た。
第二ページを見た。
第三ページを見た。
そして、表紙を見た。
表紙には、こう書かれていた。
『歯ブラシ関連世界規模異常現象対策会議資料』
その下には、小さな文字でこう書かれていた。
『本資料は、会議を円滑に進行するために作成されたものであり、資料そのものが会議の進行を妨げることを意図したものではありません』
田中太郎は、静かに目を閉じた。
「……帰りたい」
その声は、誰にも届かなかった。
ただし、会議室の壁に掛けられた時計だけは、その声を聞いていた。
時計は、静かに秒針を進めていた。
秒針は一秒ごとに動いた。
秒針が動くたびに、時間が経過した。
時間が経過するということは、会議が長引いているということだった。
会議が長引いているということは、田中太郎が帰宅できる時刻が遅くなっているということだった。
田中太郎は、帰宅したかった。
彼は、家に帰って、新しい歯ブラシを洗面台に置きたかった。
それだけだった。
しかし、世界は彼を帰してくれなかった。
なぜなら、資料の第二ページの説明が、まだ始まっていなかったからである。
そして、議長は口を開いた。
「それでは、資料第二ページをご覧ください」
田中太郎は、椅子から立ち上がった。
「もういい加減にしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
おしり
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最後の最終手段間あるおおおおがたまんねぇ パラオ:よむのたいへんだったよぉー 🇨🇳:内容しっかりしてたあるよ
はーい、寺島あおいです!読了しました〜!もうタイトルからして「国をあげて世界一どうでもいいことやってる」感じが最高でした(笑)。田中太郎が起きるまでの四十分、天井を見ただけで「朝か」って言っちゃうあたり、めっちゃわかる気がする…。そして鏡がしゃべり出して、歯ブラシの毛先が世界規模の大事件になる展開、馬鹿馬鹿しいのに妙にリアルで笑いました。自動販売機が「飲み物はいかが?」って営業してくるところとか、会議のための会議とか、書き方も絶妙でニヤニヤ止まらなかったです。続き読みたい!
あるあるかく
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