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side wki
ー意識レベル低下してます!
ー急げ!
何も見えないがうっすらと声が聞こえる。
体が揺れていて、自分が搬送されていることはわかった。
「若井!」
誰かが名前を呼んだ気がした。
でも目が開けられない
体の感覚もほとんどない
ただ一つだけ
右腕が痛い。焼けるような痛みがずっと残っている。
痛みで眉をひそめた。
ー反応あります!
ーこのまま搬送!
サイレンの音がさらに大きくなった。
side mtk
電話越しに大きな衝撃音が聞こえる
「えっ、、?若井、?」
電話越しに何度も叫んだが返事は返ってこなかった。
俺はまだスタジオに残っていて、どうやら周りのスタッフもこの音が聞こえたらしく一気に場は静まり返った。
「ちょっ、俺行ってきます」
帽子をかぶって車の鍵を取り、若井の家の方へ向かおうとした。
車に乗り込もうとした時、知らない番号から電話がかかってくる。
「…はい、」
「〇〇病院の篠崎と申します、大森様で間違いないでしょうか」
「そうですが、」
「若井さんが交通事故に遭われまして、今こちらの病院に搬送されてます、ご家族と連絡がつながらなかったので電話させていただきました」
若井が、事故、?
頭が真っ白になって何も考えられなくなった
「すぐに来ていただけますか?」
「わ、分かりました」
「大丈夫ですから、落ち着いて気をつけてきてくださいね、失礼致します」
自分も事故にあってしまうのではないかと思うほど冷静を保てなかった。
車に寄りかかって座り込む。足が動かない
行かなきゃいけないのに
わかってるのに
なんとか立ちあがろうとしたその時、後ろから藤澤が走ってきた
「…スタッフから聞いた、俺が運転するから助手席乗って」
「ぁ、ありがと」
「いいから早く!」
藤澤に手を引っ張られて車に乗り込む。どうか無事でありますようにと祈りながら病院に向かった。
ー ー ー ー ー ー ー
病院に着いた頃には辺りは真っ暗になっていた。 受付で名前を伝えると処置室まで案内され、藤澤の手を握りながら看護師についていく。
「こちらでお待ちください」
そう言われた場所には大きなガラスがあり、中を覗くと医者や看護師が声を掛け合い慌ただしく動いている。
その奥に、若井の姿があった。
「りょうちゃ、、あれ、」
「、、え、、」
若井の袖から腕が通っていない
まさか、いやそんなわけ、
涙で視界がぼやける。医師からの話はまだ受けていないもののなんとなく状況を理解した。
涙を拭ってもう一度若井を見れば、顔を歪めて苦しそうに体を丸めていた
「若井、?」
思わずガラスに手をつく。
その時だった
『っ……!』
声は聞こえないが明らかに苦しんでいる
途端にまた看護師たちが動き出し、
「タオル噛ませて!」
「若井さんごめんねー口開けるよ」
看護師が顎に手を添えて口を開かせ、丸めたタオルを噛ませた。
『ぁう゛…っ!!』
あんなに苦しんでいる若井は初めてみる。
しばらく目が離せなかった
「薬入れるから押さえて」
医者がそういうと看護師が若井の腕を押さえる
若井の方は震えていて注射器の針が素早く刺された。
「鎮痛はいります」
薬が体に入れられたものの、若井の表情は歪んだままだった
ないはずの腕を必死に押さえながら。
この状況に俺は押しつぶされそうだった
何もできない自分が真面目で情けなくてたまらない。ただ立ってみていることしかできない
ゆっくりと拳を握りしめた