青 × 赫
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さらさらと心地の良い風が吹く秋の夜。今夜は2人とも暇だしと散歩に出掛けていた。
「涼しいね」なんて言って大きく息を吸い込む所謂彼女の立場のりうら。「そうやね」って彼女を優しく見詰めるのは所謂彼氏の立場のいふ。今では不思議でも無い同性で恋仲の2人だ。
それにしても今夜は湿気も少なく、この間までの気温が高くムシムシとした夜とは比べ物にならない程過ごしやすい気候だ。
「 ねぇまろ ? 」
“まろ”というのはいふの愛称で、りうらは少し甘えた声でその名を呼んでみる。
「 どしたん ? 」
優しく聞き返すいふにりうらは少し躊躇いながらも
「 誰も居ないしさ 、手 .. 繋ぎたいな ? 」
と答えれば、いふは嬉しそうに瞳を見開き一回り大きなその手でりうらの手を握る。そうすればりうらははにかみながら、手を握り返した。
そういえば散歩という意で2人で出掛けたことは無かった気がするが、たまにはこんな日があってもいいかと、ゆっくり2人の時間を過ごすことにした。
シーンと静かな住宅街。誰も居ない公園。電灯が薄く光る夜道。今は世界に2人だけしか居ないような感覚に陥る。
遠くから聞こえる車の音。小さく鳴く秋の虫。少しながら2人以外の音も聞こえてくるが意識をしなければ気にならない程。普段はメンバーやら後輩たちやら周りが賑やかなのでなんだか新鮮な気分。
会話は少なくとも2人ともこの時間を楽しんでいた。
だいぶ歩いた頃、「 帰ったら何する ? 」なんてりうらが聞けば「 ん ~ .. このままいちゃいちゃしよ ? 」と柔らかい笑みを浮かべ返すいふ。「 ん 。」と小さく頷き少ない会話を終えれば少し先に2人の家が見えてきた。
コメント
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え、好きです😳💗儚い感じがして好みです🎀