⚠️天童×名前有彼女(郡、コオリ、こりん等表記)
⚠️事故表現
⚠️死ネタ味あり
⚠️解釈違い
〜朝、天童宅〜(覚目線)
ピピピピッ__ピピピピッ__ピピピ/ガンッ‼︎
覚「…なんでアラームなってる訳…、俺昨日かけたっけ…」
目を覚ますと俺はベッドに足だけ乗っけた体制で布団を少しかぶっていた。寝相が悪いからこれは割といつものなんだよネー、良くこの状態で起きる。
?「オハヨ、さとりん。」
覚「…んー、おはよォこりん。」
こりんというのは俺の彼女だ。顔は丸っこいのにスラーっとしててマジモデルみたい。こんな子と幼馴染でしかも同棲て、いや最高。
郡「相変わらず呼び方こりんな訳?私の名前郡なんですけどー。こーおーり。」
覚「だってこりんの方が可愛いじゃーン。なんていうの、ちっこくて。」
何よりこりんとさとりんでオソロじゃん!気づけそろそろ。
郡「私167だから大きい方なんですけどー。」
覚「俺からしたらチビでーす」
郡「とにかくさとりん学校は?もうとっくに一時間目始まってるけど。」
覚「行かなくて良くなーい?俺勉強は人並みにできるしー。」
そう。俺は最近学校をサボっている。勉強はしなきゃなーとは思うけど別に授業簡単だシ。部活だってサンネンセーの皆様方がうるさいんだもん。別に楽しいって思えなくなってきた。
郡「まーたそう言ってサボってんでしょ。遅れてもいいから学校行きなよ。」
覚「エー、そういうこりんはどうなのさ。チミも学校でしょ」
郡「私はさとりんと一緒に行くの。だからほら、早く支度してよね。」
覚「メンド〜。少女漫画スタイルでいいよねー。」
郡「運命の人と角でぶつかるとかないからパンだけそのスタイルで行こうよ。」
覚「ハイハイ。…バスだよネ?」
郡「何言ってんの当たり前じゃん。それとも歩きで行く気?」
覚「うーん、そうなんだけどサー。徒歩じゃダメ?」
今日はバスの気分じゃないというか、のっちゃダメな気がする。オレの第六感ってケッコーあたるからダメなんだよねー。
郡「当たり前。遅刻してんのにさらに遅くしようとしないの。」
覚「別にそんなズルしません俺ー。」
郡「わかったから早く靴はきなよー。二時間目に差し込むつもり?」
覚「体育ならNO。現国ならYES」
郡「なら間とってNOね。早くして。」
覚「どの間とったノ?」
結局俺が駄々こねまくって徒歩になったけどね。何気にこりんって甘いから好きー。ってなったけどめっちゃ走らされたからやっぱナシで。
〜2年○組〜(覚目線)
ガラララッ
覚「おはよーございまース。」
英「うぉ、天童!お前どんだけ学校休んでんだよー!監督ブチギレてんぞ!?」
覚「エイタクンいつもそんな元気だっけー?次の授業なに?」
英「監督に触れてやれよ…ったく、次は現国。」
結局現国じゃんかよ!?って思ってこりんを見る。しれっと顔よけたな。見たぞ。
覚「はぁ…unlucky boy satori…、現国ならモーチョット遅れればよかった…こりんのせいだわ…」
英「郡ちゃんに押し付けるんじゃありませーん。そういやなんでこんなに来なかったの学校。俺ら2年だから受験シーズンじゃないけど、流石に2週間休みは長いぞー。内申怖いぞー。」
覚「別に進学するかどうかは分かんないしー。俺一生バレーと甘いもの食って生きてたいしー。」
英「そういうのよく聞くけどお前の場合甘いもの(チョコ限定)だろ。鼻血で髪だけじゃなくて服も全部赤くなるぞ。」
覚「エイタクンに全部かけるから俺の洋服はノーダメージですー。」
英「俺のお気に入りの服が血で染まるの嫌なんだけど」
覚「変わんないでしょー。」
英「天童てめぇ今日の部活で後頭部気をつけろよ」
覚「エイタクンのエッチ!」
英「どこにエッチ!要素あったんだよ今の」
覚「えー?全部。ほらー、こりん恥ずかしがってんじゃーん。」
こりんちょっとだけ耳赤くしてる。バカなのにこういう話は疎いから照れやすいんだよネー。カワチィ
英「…あー?郡ちゃんはこんぐらいで恥ずかしがんねーだろ。お前に似て。」
郡「うわぁ…無いね。私女の子なのに。」
覚「ウン。だからモテないんだよエイタクン。」
英「余計なお世話だよ!」
〜昼休み〜(覚目線)
覚「うげー、二、三時間目連続で現国とか聞いてなかったしー。とゆーか四時間目も公民なのずっと文系でツマンナイってー。」
結局二時間目の初めに現国が連続していることを知って、8割は寝てた。公民の時はノート落書きしてたら見つかってしっぺくらったし。
郡「よく頑張ったねーさとりん。」
英「というか天童と郡ちゃんって一緒に住んでたの?初耳だったんだけど。」
覚「カレカノなんだしそのぐらいするでショ。それともエイタクンはしたことないの?」
英「してるやつお前らぐらいだったろ。大学生ならまだしも。」
覚「幼馴染サイコーってお話ダヨネー。」
英「俺おさななは男ばっかりだわくそ。」
だから女の子耐性ないんだネー、エイタクン。
隼「おーい英太ー屋上いかねー、って天童いんじゃん!待って若利と獅音呼んでくる!」
覚「おわ、隼人クン騒がしー笑俺そんなに来てない?」
郡「レアポケモンか何か?」
英「部活含めて相当な時間じゃない?よくそんだけサボったもんだ」
三年引退したらちゃんといきますーって言おうとしたけどこりんの目線が痛いからやめた。
覚「ちょっとーサボりじゃ無いってのー。ベットが離してくれなかったんだヨー。」
郡「そうだよせみせみ。さとりん起こすの大変なんだよ?」
英「ま、確かに合宿の時とかお前全然起きねーよな。毎回大変。」
んな失礼ナ!?チミたちの起こす努力が足りないんだヨ!(ただ天童が起きないだけ)
獅「おぉ、天童。飯一緒にいい?」
覚「わー獅音クンジャーン!!こっちきなよー!」
若「良かった。元気そうだな。」
覚「若利クンも元気そうだネ!俺はもちろんだけど!」
若「そうか。ならいい。」
こんだけ無愛想なのにしれーっと横に座って来る感じ若利クン大好きー
獅「あそうだ、チョコアイス購買にあったから買ってきたぞ。」
覚「獅音クンってもしかしてモテる?女子人気高い?」
若「?獅音はかっこいいからモテるに決まっているだろう?」
獅「若利…お前も相当だからな、自覚持っとけよ。」
若「?わかった。」
覚「モテると思ったけど…これ見たらどっちかというとオカン属性なんだネ獅音クン。」
英「天童は次男ーって感じだよなー。」
長男じゃないんかい
覚「エイタクンは割と四男。」
英「俺お前の下なの!?えじゃ隼人はどこだよ」
隼「長男じゃない?多分三男に太一か賢二郎。」
英「うっそ…一年より下なのかよ俺…」
郡「まぁ…妥当っちゃ妥当だね笑笑」
覚「そのまんますぎてウケルー笑エイタクンはけっこー下だよねー。」
この感じだと若利クンお父さんか末っ子かの二択なんだけド。どっちでも家庭崩壊するよネ。あ、良い意味で。
獅「そろそろ英太泣き出すからやめてあげて笑」
郡「うわ、さとりん英太くんのこと泣かせた。ひっどーい」
覚「エー、俺悪く無いしー。隼人クンが悪いしー。」
隼「俺に回すなよ」
〜帰りの会後〜(覚目線)
英「今日五時間とかラッキーだよなー。まぁ部活行くから帰る時間は変わんないんだけどな笑」
覚「ウーン…部活行こうかなぁ…イヤめんどいな…」
英「…お前本当に天童か?お前バレー好きだろ?部活行きたく無いとか大丈夫か。」
覚「なんか心配してくれてるんだろうけど馬鹿にされてる気もスル…エイタクンそんなんだっけ」
郡「休みすぎて呆れられてるんじゃ無いの」
英「こんなんだわ元々!はぁ…何でもいいけど監督に顔だけ出しとけ。さもなくば明日貴様の席にはとんでもない落書きがされているだろう。ボンキュッボンのな。」
…エイタクン絵うっまいんだよな、特にそういう絵。才能だと思う。
覚「エーちょっと見たいじゃん。」
郡「ふーん。ボンなくてすんませんね。」
こりんがそっぽをむいてこっちを軽く蹴ってくる
英「うわー、郡ちゃん怒るよ、おこだよ。」
覚「いや、これはその何というかネ?別にね?」
英「別に聞かれてないってー笑心配すんなよ笑」
…はい?
郡「…ん?え、いや私ここにいるし。」
流石に頭の足りないこりんでも違和感があったらしく、蹴るのをやめてエイタクンを見る。
覚「何言ってんのエイタクン、こりんバチクソキレてたよ今。というかここにいんじゃんこりん。エイタクンぼけちゃったの?」
俺が聞くとエイタクンはマジ驚きー!って顔とシンプル何言ってんだおめぇって顔が混ざった顔で首を傾けた。
英「?ボケたも何も…あー。うんそうかもな。ごめんね郡ちゃん。とりあえず俺先に部活行くな。なるべくこいよー。」
タタタタッ
覚「もしかしてこりん小さすぎて見えてなかったんじゃ無い?」
郡「…まだ小さいいじりする?」
覚「いいじゃん笑あ、そだ。今日駅前のクレープ屋行こうよ。確か今の時期いちご増量あるヨ。」
郡「うーん…いいや、寒いし。家でマ○カーでもしようよ。」
覚「珍しー!普段は負けるからヤダって言うのにー。」
郡「気分だよ気分。とりま監督のとこ行くんでしょ。」
覚「いや、ボンキュッボン見たいからそのまま帰る。」
というか会ったらぜっっったいに部活行かされるネ!?行く訳ないジャーン!
郡「英太くんぶちぎれるって」
覚「面白くていいジャーン」
郡「そりゃ笑そうだけどさー笑」
覚「ウーン…なんか今日こりん透明引きやすく無い?全然見えないんだけど。」
マリ○ーをしているが今日は珍しくこりんに負けている。
郡「さとりんがボケてきてるんじゃ無い?私スターしか出てないよ」
覚「それはそれでおかしいよね。今3位なのになんでスター出まくるの。」
郡「さとりんと違って普段の行い良いからね」
覚「うわヒッドーイ。」
〜その頃の部活〜(英太目線)
隼「ふー、疲れた。はよかえろーぜ。」
賢「山形さん暑苦しいです。太一窓開けて。」
太「パシンなよ。まぁいいけど」
獅「いいんだな笑」
三年は先に上がっていて、今部室には2年と1年しかいない。
若「そういえば、今日天童来なかったな。」
賢「?昨日もだったじゃないですか。」
獅「あー、お前ら知らなかったな。天童今日学校来てたんだよ」
太「来てたんすね。休んでる間何してたとか聞きました?」
英「聞かなかったわ…というかそう、そのことなんだよ!」
さっき話した天童は何かおかしかった。ぜっったいに。
隼「何だよ急に」
英「部活前に天童に部活来るか聞いたんだよ!そっからボンキュッボンの話になってさ!」
若「?ボンキュッボンってなんだ。」
賢「ちょっと瀬見さん何言ってるんですか牛島さんが汚れるじゃないですかえんがちょですよえんがちょ。」
俺はえんがちょじゃねーぞ白布。キレイキレイなんだぞ。
太「賢二郎、瀬見さんは先輩だからな」
英「そうだそうだ。そんでよ、アイツボンキュッボンが見たいって言い出して、俺が『郡ちゃんに怒られるぞ』的なこと言ったの!」
太「こお…り?ちゃんって誰ですか。」
獅「天童の彼女ちゃん。ほら…こないだ全校集会で言われてた子。」
賢「えっと…確かバスの…え、瀬見さんってノンデリなんですね…」
英「そうだね!俺ノンデリだね!っていうか続き聞けお前ら!」
隼「はいはい、それでどうしたんだよ。」
てきとーだなくそが反応ありがとよ!
英「それからアイツなんて言ったと思う!?」
賢「…知りませんけど、「そうだね」とかじゃないですか?」
違うんだなーこれが。というか天童の解像度低いな。
英「それがあいつ急に焦り出して。俺が何で焦ってんだ?聞かれてる訳じゃないだろ?って言ったらさ。『こりんここにいんじゃん』って言ってあたかも俺がボケてるみたいに言うの!」
隼「え?いや…おかしいだろ。だってアイツ
獅「うん…バスの事故だったけど。」
英「そういや、あいつら一緒に住んでたらしいけど。天童は一緒のバスじゃなかったのか?」
隼「俺らは朝練とかあった日だろ?多分天童は先に出てたんじゃない?」
太「天童さんはその彼女さんが見えてるってことですよね。そんなアニメみたいな…」
賢「…やっぱノンデリさんは酷いですね。見損なったと言いますか、人としてどうかと…」
うーん、心にささる。
獅「多分それ以上行くと英太ガチで泣く。やめてあげて。」
昼休み聞いたんだけど。俺そんなに泣きやすいの?
英「うーん…えー?俺天童に明日どうすれば…俺も見えてる風に話すべき?難しくない?」
若「…死んだ人が見えるというのはよく分からないが、秦傍は天童に何も言ってないのか?自分は死んでいる、みたいな。」
言ってたらあんな反応にならない…とは思うけど
太「はたわきさん?っていう名字なんすね。その秦傍さんも気づいてないとかじゃないんですか?」
隼「あり得なくはないけど…えー、なんかそういうのに詳しいやついないの?」
賢「そんな人いたとしてどうするんですか。成仏でもさせるんですか。」
英「でも…今アイツ多分精神的にやばい気がする。バレーをめんどくさがる程度には。」
つまり今幻覚の郡ちゃんがいなくなったらあいつまた学校を休むんじゃないだろうかってこと。あいつあんな見た目して繊細ちゃんなんだよなー。
隼「え、それまじ?だから部活とか来てねーの?やばくね?」
若「…俺が少し話してみる。次期主将としてこういうのはしっかりすべきだろう。」
賢「え、軽く一生ついていきますけど。」
太「お前ほんと牛島さん好きだよな…」
その若利への好意少しぐらい俺に向けろよ!全振りすんな!優しくなれ白布!
〜夜の二人の部屋〜(郡目線)
今日、明らかに英太くんがおかしかった。
私のことをいないと言った。目の前にいたのに。さとりんとかはボケてるって言ってたけど、よく考えると今日目があっていない。授業のプリントだって一番後ろの私の席まで回ってこなかったし、仲良い友達は私の方に来なかった。
いじめか、とも思ったけれど、英太くんはそういうことしない。それに何かされる覚えもないし。
…それに、私は今日違和感があった。
朝さとりんを起こす時。いつも通り手を握ろうとした。その時に私の手はするっとすり抜けた。寝ぼけて変に見えてるのだろうと思ったけれど、よくよく考えれば今日は食欲もわかなかったし疲れもしなかった。
それに帰る直前、学校でチラッと聞こえたのは、私が死んだと言う話だった。
いじめっ子とか、ガラの悪い人たちの話なら信じない。でも話していたのは先生と友達だった。
あの時は意味がわからなかった。先生までふざけ始めたのかとか思ったけど、もしその話がホントなら…とか考えたらぴったりだった。すけたり見えなかったりプリントが来なかったり。
「…そうゆーことか。」
私が死んだ。と思うと、頭に記憶が流れてくる。私が死んだ光景とか…そう言うもろもろ。考えたくないけど、本当は私こうなってるんだって思うと、さとりんがどうしても気にかかる。
今さとりんはベットでぐっすりだ。私は眠気も来ないみたいだから眠る気はない。
今日の朝のさとりんの顔は酷かった。寝起きだからだったかもしれないけど、クマもひどかったし少し暗く見えた。もしこれが私のせいだったら。そう考えるだけで怖い。
私が好きなさとりんはウザくてうるさい、明るくて元気なさとりんだ。一緒にいるだけで笑顔になれるような。
けど多分、最近のさとりんはそうじゃないんだと思う。現に学校に行ってないし、今日の英太くんのノリに戸惑っていた。いつもはあれよりもノリが強すぎるさとりんがついていけてないってことは、さとりんは相当参ってるはず。
ごめんなさい。私はさとりんが大好き。だからそんなさとりんは見ていたくない。もしこのまま私がここにいればさとりんは回復してくれるかもしれない。また元気になるとおもう。だけどもし今日みたいなことを言われたら。さとりんは私をどう思うだろうか。もしかしたら気づかないふりをするかもしれない、騙されたと思うかもしれない。
嫌われたら…いやだ。けれどそれ以上にさとりんに嘘をつきたくない。だけど…自分で言いたくない。「私実は死んでるんですー!」なんて言ってもさとりんを傷つけるだけだ。どうするべきなんだろう。
〜翌日昼休み〜(覚目線)
若「天童、ちょっといいか。」
覚「どしたのー?」
教室で弁当を取ろうとしていたら若利クンが来ていた。手招きをされたので廊下に出る。
若「秦傍のことだが。」
覚「こりん?こりんがどうかした?呼んだ方が良い?」
若「いやいい。それより天童。2週間の間秦傍と何か話したか?」
覚「こりんと…うんー…、あれ、そういえば昨日久しぶりに話した気がする。何でだろ。」
よく考えたらサボってた間の記憶がない。何かはしていたけれど何もしていなかったような気もする。
若「…それが何でかは知らないが、少し聞いてほしい。秦傍は」
郡「さとりん、ちょっといい?」
覚「んあ、こりんじゃーん、ちょっと待ってネ」
覚「ゴメンゴメン、んでなんだっけ?」
若「…いやいい。引き止めてすまん。」
覚「なにー?若利クンってばこりんのこと狙ってたりすんのー?ダメだぞ?」
若「わかっている。」
覚「ならいいけどー。」
そのまま若利クンは自分のクラスに戻っていった。秦傍というのはこりんの苗字だ。ハテ、こりんの話だったのだろうか。
郡「さとりん。」
覚「ん、どしたの?」
郡「ちょっとついてきて。」
覚「え、うん。いいけド。」
若利クンを見送ってすぐにこりんに手を引かれて、俺たちは靴を履いた。
郡「ここ、何かわかる?」
連れてこられたのは学校前のバス停。俺もこりんもこのバス停を使っている。
覚「え、何って普通にバス停じゃ無いの?校門前の。」
郡「そうだね。私とかさとりんが使ってるバス停だね。それならさ、
覚「ネェ、何さっきから、若利クンもこりんも2週間2週間って、何も普通に学校で」
嫌な予感がする。第六感?霊感?ってやつでサ。多分。
郡「違うよ、違う。」
郡「私は昨日思い出したよ。ほら、覚も思い出して。」
思い出してって言われたって何もなかったヨ。何もなかったはずだヨ。
郡「覚は私が持ってきた忘れ物を受け取るために校門に来てたよね。それで私がバスに乗ってた」
覚「そんなことあったっけ、」
…知らない。そんなことなかった。
郡「それでバスが停まった時に、前から逆走したトラックが来てたの。」
郡「私はその時降りる列の一番前にいて、ICカードを付けるところだった。その時にトラックがバスにぶつかったの。」
覚「なに、ソレ…そんなん本当にあったならこりん生きてないじゃん…」
きっとこりんは嘘をついてる。バカだから今日をエイプリルフールだと思って変な嘘ついてる。だって本当だとしたらコノこりんは誰?って話だシ
郡「そうだよ。合ってる。私は生きれていない。さとりんは見たはずだよ。私がバスから投げ出されたとこ。」
覚「いや、見てないよそんなの。それに、今いるじゃん。こりんは目の前にいるじゃん。そういう冗談ほんとに面白く無いって。」
こりんが事故るとか、想像したくもない。したくないのに脳裏に鮮明に映像化されて流れてくる。
郡「なら、握手しよう、ほら。」
覚「何急に、別に良いけど…え?」
こりんに差し出された手を握ろうとすると、俺はそのまま突き抜けてこりんの腹あたりまで手が近付いていた。
郡「ほら…すり抜けたでしょ。私には触れない。私もさとりんに触れない。」
ほら、とでもいうように顔をペタペタ触ってくる…けど俺目線だと手首あたりが顔についていて、手のひらは多分すり抜けてる。
覚「違う。違うって、だって、俺」
郡「わかってるはずだよ。私も、覚も。」
郡「私は死んでて、覚は生きてる。私はここにいちゃいけなくて、覚は学校に行ってバレーをしなきゃいけない。前を向かなきゃいけない。」
わかんないヨ…そんなこと言われたってサ。今日は2人で話せたわけだよ。死んでたら話せないよ。なんで俺には見えるの。
…エイタクンには見えてなかった。あと多分、若利クンにも。きっとこのこりんは幻覚か幽霊かそこら。でもだとしても俺からしたら本物のこりんなわけで。
覚「…なんとなく、わかってた。こりんにここに連れてこられる少し前から。」
あぁ、終わるんだって。何がとは分からなかったし、今も何がなんてわかってない。わかってるけど言いたくない。
郡「うん。」
覚「若利クンが変なこと言って、俺が2週間何してたか何も覚えてないことがわかった。」
郡「うん。」
覚「少しずつ思い出してきたけど、なんかお墓に毎日行ってたんだヨ。」
郡「…うん。そうだね。」
覚「んで…そこの名前が…秦傍郡で。」
郡「うん、知ってる。知ってたよ、毎日来てくれてたこと。私が好きなジュースとかも置いててくれてたことも。…さとりんがずっと泣いてたことも。」
そう。そうだ。オレ、葬式が終わってからしばらく起きれなかった。ベットに投げ込んだ体が言うこと聞かなくて、いつもならすぐに返事をするLINEだって全く開けなかった。
机の上にオレンジジュースがあるのを見つけて、そのとき思ったのは「こりんこれ好きだったナ」だった。そう思ったらこりんに会いたくて会いたくて、そしたら体が動いた。と言ってもお墓に行く以外には何もやる気が起きなかったけど。
覚「泣いてない。泣いてない…。」
郡「ありゃ、泣いてなかったのか。そっかそっかー、私が死んでも悲しくなかったかー。」
しゃがみこんだオレに目線を合わせるこりん。いつもは能天気そうな顔が寂しそうな顔になった。
覚「そんなんじゃ!?…勝手に悲しんで無いとかそう言うの、ほんとにヤメテ。絶対。」
郡「はいはい。さとりんはこりんのこと大好きだもんねー。」
覚「…ウン。」
当たり前だ。毎日こりんのご飯食べて、一緒にテレビ見てとか。幸せ以外のなんでもなかった。
郡「!?…うわぁ、せめてそういうデレは生前に見たかったよぉ…」
覚「だからそういう生前と…か、」
郡「ん?なに?なんかいる?」
覚「イヤ…別に、なんかこりん透けてるように見えてるだけ。」
郡「透けてるって…胸!?変態!…あれ?なんか指先無いって、いや、まさか成仏とかってやつ?」
少しずつ、頭の端っことか指とかから白い透明なかけらがパラパラと飛んでく。光が反射して少しキラキラとしてる。
ところで変態か。最後までオレのことなんだと思ってたんだろうこりんは。
覚「…なんかカッコつかないね。」
郡「別に良いんじゃ無い?笑今は2人だけだし」
覚「そうだネ。ちょっとだけ近づいて良い?」
郡「…ダメって言っても来るじゃん。いいよ。」
覚「バレてるー笑、はぁ…なんでさ、」
覚「こういう時だけ触れるようになるのさ。」
近付いて手を触ってみると、さっきはなかった感触が手に触れる。冷たいながら、確かにそこにある。こりんの腕だ。
郡「あれ、ほんとじゃん。ボーナスタイムってやつ?」
触れることに気づいたのだろう。また顔をペタペタしてくる。さっきとは違って触れるからほっぺをムニムニしてくる。
最後にこのまま、とかでもいいけどやっぱり最後なら。
郡「えちょ、さとりn」
オレはこりんに抱きついた。後ろからとかじゃなくて、ちゃんと前から。いつもならゆるくするハグだけど、今日はそうじゃない。できる限りこりんにしがみついていたい。このままでいたい。
覚「郡。俺郡のこと大好きだから。絶対忘れないし、絶対次の大会優勝してかっこいいとこ見せるから。将来とかスゲー人になってテレビ出るから。だから絶対、
郡「…言われなくてもそうするつもり。というか100年後まで見ててやるから生きてないとデコピン。」
覚「それはむずかしーネ笑。ガンバル。」
郡「うん。頑張ってよ。」
死んでるのなら涙なんか出ないだろう。だからこれはきっと別の何かだ。オレの肩に少しついた冷たい小さな跡。きっと雨か何かだ。
俺には昔彼女がいた。最初の彼女で、今のところ最後の彼女だ。それで、俺が初めて目撃した人身事故で死んだ人で、初めて見た幽霊だった。
結局バレーで優勝はできなかったけれど、すごいパティシエになった。若利クンをゲストで呼ぶほどの人気になったよ。テレビにも出てお店もたくさん持ってるよ。あとは何年か、生きてくだけだね。だから待っててね。ずっと見ててね。
コメント
2件
題名の天使って、そういうことだったのですか?! てっきり可愛すぎて天使、みたいな意味かと思ってました、!
天童大好きなんです‼️ありがとうございます😭