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まずリクエスト( ? )ありがとうございます ‼️(
連載じゃなくてごめんなさい ‼️ 読み切りになっちゃってごめんなさい ‼️ 😖💦
連載だと続けられそうにないだろうなって思って読み切りになりました 👉🏻👈🏻💭
それではどうぞ ‼️
白♀「はぁッ……はぁッ……」
街がゾンビで溢れかえってしまった。
なにがなんだかもうわからない状態。
あそこにもここにもそこにも…全部ゾンビ。
生存者はウチだけでは?って思いたくなってしまうほど人の気配を感じられない。
息も上がってしまい、もう走れそうにはなさそうなのも感じ取ってしまう。
白♀「ぅ…ぁ……ッ…泣」
思わず涙がこぼれ落ちてしまう。
怖い、こんなに孤独を感じ取ったのは初めてだ。
両親も、兄妹も、全員あそこに居る奴らと同じ存在になってしまったって考えると胸が締め付けられる。
有栖家で今人間としての原型を保てているのはこのウチだけや。
なんて…自分が苦しくなるのをわかっているのに自分を追い込む思考がグルグルと脳内で浮かび上がる。
そんなこんなをしているうちにも先程追われていたゾンビがまたすぐそこまで来てしまった。
コイツらはなにもいいところがない、目も鼻も耳も、全部…全部。
それなのにしつこく追いかけてくる。
それが怖くてたまらない、コイツが人間だったとき、ウチのことをストーカーしてたんじゃないか。って人間だったときのコイツの姿、立場を考えてしまう。
それもネガティブな方向へ。
白♀「…ッ…逃げなッッ…!!」
重くなった足を思いっきり力を振り絞って地面を蹴り、走り出す。
次はもう走れないなっていうことも見越して、誰かゾンビが駆け寄ってこなさそうな家を見つけることにした。
もう数時間も経ったであろう。
どれだけ休憩しても回復しない体と外から聞こえる唸り声。
それに怯えながら過ごす本当に怖い毎日。
このまま寝てしまいたい、でも寝てしまったら入ってきたゾンビに喰われて終わる。
…なにを考えてもだめに考えてしまう。
白♀「……っ、こわ……ッ…」
震える体を抑えるかのように腕をキューって掴む。
そんなこんなをしていたとき、乱暴に扉が開かれる音が聞こえる。
…人間か?ゾンビか?
どっちかわからない、けれどどっちに転がっても怖い。
だってもし、その人間が噛まれているとしたら?
…溜まったもんじゃない。
白♀「…ひゅーッ……ひゅーッ……」
浅い呼吸をする。
バレたらタヒ。そんなのはバカなウチでもわかる。
「んー…?……人の気配感じたと思ったんだけどなぁ……?」
誰かが喋る声が聞こえる。
良かった、人間やった。
…それでもやっぱり男性らしい声だった、油断せずには居られない。
ウチはこんな恰好やしこんな姿やからな、…間違いなく襲われてしまったり、なんてケースも有り得なくもない。
「……誰も居ないのか…」
少しだけ残念そうな声色を感じ取れる。
…罠かもしれない、気を許しちゃだめだ。
それにもし仮に本当に残念そうにしたとしても悪いやつは悪いやつだ、襲ってくるに違いない。
そんなん、怖いに決まっとる。
「………なーんてね♪」
「こんばんは、お嬢さん♪」
白♀「…え?」
目の前に居たのはニコニコ笑顔の男性だった。
でも目を見ただけでわかる、怖い人ではなさそう。
…でもなにしてくるかわからん、ウチの勘だってあくまで勘だ。
そんなに勘いいわけでもないから自分自身を信じれます!ってどやれるタイプでもない。
「僕はほとけ!いむくんって呼んで!」
白♀「ぁ……え、いむくん…?」
水「本当にいむくんって呼んでくれた……!!✨️✨️」
目を輝かせてそう言う。
…悪いやつちゃうな、うん、これは絶対にそうや。
アカン、こんなに名前を呼んだだけで喜んでくれた純粋すぎる子初めてや…
白♀「う、ウチは初兎………なんでもすきに呼びーや」
水「初兎ちゃん!」
白♀「いむくん……な…w」
あの日を境に結構仲良くなった。
もちろんゾンビに追われ、大変だったけど仲間がいるというだけで全然違かった。
孤独から解放されたときの身の軽さ、いむくんと一緒なら大丈夫って思わせてくれる心強さ。
それのお陰でここまで乗り越えていけたと思った。
白♀「……っ、いむくんッッ!!」
幸せというものは急に失ってしまうものだ。
手元にあるのが当たり前だとは限らない。
…目の前の彼がゾンビに喰われそうになっている、これはどうあがいても幸せが消滅していく合図だ。
だったら…、ウチは……ウチが身代わりになって彼を少しでも長く生きさせる。
それがウチの役割なのでは。
水「…ぇ、初兎…ちゃん??//////」
白♀「…あ、ははー…助けようとしたのに結局抱きついたみたいな状況に…笑」
笑って誤魔化す。
すごく引きつった笑みなのは自分でも自覚している。
白♀「…いむくん、今から走れば逃げれる?」
水「え…?……うーん、どうだろう…?」
白♀「いむくんが走れる道は作るから行けそう?」
冷静に言葉を発す。
徐々に徐々に近づいてくるゾンビたち。
…早く判断しないとタヒんでしまう。
水「でも、初兎ちゃんは?」
白♀「ウチも行く、…せやなぁ、ここからやったら1番最初んとこ。」
白♀「そこに先に行っといてくれ。」
なるべく恐怖を見せないように笑って伝える。
その1番最初のところ、そこに一番近い道のところに居るゾンビの方へ足を運ぶ。
軽く鈍器で殴り、ゾンビを倒す、いむくんが通れる道をつくる。
白♀「はよ行ってや、ウチも行く。安心して。」
水「……ごめんね、初兎ちゃん。」
最後の最後までそう言われて、走り去っていく。
…ゆーて、全方位に1体ずつ、4体殴り殺せれば大丈夫なだけ。
いむくんだって疲れてた、結局15体ぐらい居たのを4体に減らせたのはいむくんだ。
なにもできてなかったウチは彼を守るだけ。
白♀「……もー!女の子相手にそういうことしてくるんじゃないよ…!!」
言葉を発してなぎ倒していく。
…少しピリッとした痛みが足に走ったような気がしたが気の所為だと思いこんで戦いを続けることにした。
白♀「…やれちゃった……」
少し戸惑い気味にそう言いながら急いでいむくんの元に向かう。
…でも自分でもわかる、これは噛まれた。
あの4体を倒すことはできたが噛まれたから無事ではない。そのためお別れにしよう。
…それだけ伝えて去ろう。
白♀「…アイツらの仲間入りとか最悪…笑」
彼と待ち合わせしたその場所のドアの目の前でそう、ふと呟く。
…とっとと入ってしまおう。
ウチが人間でいれるのも後もう少し。
白♀「いむくーん…?」
水「ぁ…初兎ちゃん…?」
無事そうな彼の姿、瞳、顔を見るだけで涙がこぼれてしまいそうになる。
もう何ヶ月一緒に過ごしてきたかわからない。
一瞬のようで長かったここ数ヶ月。
走馬灯のようにこれまでの思い出がフラッシュバックする。
白♀「……ぁッッ、いややッ………」
水「どうしたの?具合悪い…?」
白♀「ごめん…ごめん…ホンマにごめん……」
彼の顔を見ると生きることができない自分に寂しさが湧く。
もっと生きていたかった、もっといむくんと一緒に居たかった。
そんなことばかり考えてしまう。
水「っ、その足首…どうしたの?」
運悪く、足首が見えやすい靴下だったせいで直ぐにバレてしまった。
それに対してなにも言うことができず、ただ俯くだけ。
水「もしかして噛まれちゃったのッ…?」
白♀「ッ…ほんまにごめん……」
そういうと彼は大きく目を開き、悲しそうな表情を浮かべる。
辞めて、そんな顔しないで、タヒぬのが怖くなってしまう。
水「あとどれくらいとかわかる…?」
白♀「10分ぐらい?…わからへんッ…」
そういうといむくんはウチに向かって思いっきり抱きついてくる。
久しぶりに感じた温もりと、心が温まるこの感覚。
今にでも泣き出してしまいたい、でもいむくんの前では泣きたくない。
そんな気持ちがぶつかりあってなにもできなくなる。
水「僕…、初兎ちゃんとだったらゾンビになってもいいよッ…?」
白♀「……は?」
水「嫌だよッッ…、初兎ちゃん無しで生きていくのッ……」
顔は見えない、ないているのかわからない、でも声が震えている。
大きくない、耳に来るほどのあの元気な声でもない。
ただ弱くて消えちゃいそうなほどか細い声だった。
白♀「ッ…いむくんは生きれるかもしれないんやで…ッッ?」
水「それでもいや、僕大切な人出来ちゃったんだもん…」
「大切な人」。
きっとそれはウチも思っていること「大切な人を失いたくない。」
ずっとそばで居たい、例え人間という形じゃなくなったとしても一緒に居たい。
…ある意味プロポーズ的な気持ちを抱いている。
白♀「………ッ……ぁ…ッ…」
いよいよゾンビ化が進んできたのだろう、脳はまだ人間として保てているが、体が持たなそう。
口が動かない、母音しか喋れない。
もっと喋りたい。最期の挨拶ぐらいしたい。
水「…初兎ちゃんが本当にゾンビになったとして、僕のこと噛んでくれるまで離さないから。」
白♀「……っ…ぅ……ぁッ…」
水「…大好きだよ、ごめん…最期の最期でしか伝えられなくてごめん…」
白♀「……ッ……」
水「…ずっと僕のそばで居てくれませんか。ずっと僕と一緒に人生を歩んでくれませんか?」
プロポーズしてくれてる。
はいって言いたい、ウチと一緒にこれからの人生も歩んでほしい。って言いたい。
それなのに言おうとしても「ぁ」だとか「ぅ」だとかそればかり、きっと伝わってない。
嫌だ、せめてウチの気持ちをいむくんに伝えてからタヒにたい。
白♀「……ッ――…ッ……」
白♀「……す………き……ッ……」
自分でも喋れたのかわからない、でもいむくんが明らか嬉しそうな顔になった。
…伝えられたのかなぁ、ウチの気持ち。
重くなる瞼に対抗するように目を開ける。
きっとこの瞼をおろしてしまえば次は人間ではなくなってしまう。
水「僕も好き…大好きだよッ…泣」
彼の涙が頬に落ちてきたとき、彼の項あたりを1回かじり、瞼をスッと閉じた。
end
コメント
4件
もうほんっっとうに感動です!!😭 水白の解釈が一致しすぎてて、1つのお話でキュンキュンも感動も味わえる最高のお話でしたっ!!!👏🏻 ありがとうございます!!!
感動系最高ですッッ!!👍✨ 水白あんまり、見てなかったけど2人ともピュアで可愛い🫰💕