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「あの!大原くん…!」
「ん?何?月本?」
「あのさ、このあと少し話せる?」
「あ〜、少しならいいけど…」
帰って引っ越しの準備があるから?
「ちょっとでもいい!話、したい…」
あたしの切羽詰まった顔を見て、男子たちは先に帰るわ、と言って帰っていく。
他のクラスメートもあたしのただならない感じを察して1人、また1人と帰っていく。
あたしは話し始められないでいる。
「あの…何?今日はあんまし時間がないんだけど…」
「大原くん、引っ越すの?」
「あ、あぁ…うん」
本当だった…目の前が暗くなる。
「なんで…あたし…大原くんとそこそこ仲、よかったと思うんだけど…」
「そうだな。うん。でも…」
「好きだったのに!どうしてあたしに何も教えてくれなかったの!?」
「それは…え?好きって…」
「好きよ!好き!付き合いたいって思ってたのに!」
「お、俺も…言われたあとで悪いけど、大原のことは好き…だよ」
あっ…やっぱり…引っ越しするなんて思ってなかったから…もっと早くに言ってればよかったの?それとも、それでも引っ越しは、転校はしちゃったの?
「でも引っ越しちゃうって…」
「あぁ、それは…」
あたしは大原くんの言葉を遮ってキスをした。
「ん!?」
「やだよ!あたし…大原くんが引っ越すなんてやだ!」
「ん!ちょっ!月も…と!んん!」
せっかく両思いになったのに!なれたのに!離れ離れになるなんて!
そのまま抱きつく。
「大原くん!エッチなこと、しよ?」
そうだ。あたしのことを忘れないように、絶対忘れられないように、思い出を作ろう!
どこに行っても、もしすぐ会えないとしても、今日の思い出が消えないように。
「え!?エッチ!?なんでそんな…」
「お互いに好きなんだし、いいよね?ね?」
「でもここじゃ…」
「あっ、教室じゃ…そっか…どこならいいかな?」
「うちは…片付いてないけど、そうだな…でもまだ誰も帰って来てないと思う…」
「連れてって!大原くんのうち」
「いや、まぁ…そうか?うち、来るか?」
「うん!行く!」
大原くんのうち、どこだろう。
自転車で来てるからそう遠くないと思うけど。
今日、あたしは大原くんとエッチをする。
付き合ったその日になんてちょっと早い気もするけど、次にいつ会えるかわからないし、普通と違くても仕方ないよね。
自転車をこぎ、大原くんについていく。
「あっ、あたしたち、付き合うってことでいいよね?」
「あぁ、うん。月本がいいなら付き合いたい」
よかった。そういえば好きとは言い合ったけど付き合ってなかった。
「そうだ、引っ越し、どこに引っ越すの?次に会えるのっていつになるかな?」
「次って…俺、明日も教室で会えるけど?」
えっ…?
「だって!引っ越すって…転校は!?」
「転校?しないけど?これからは電車通学になるけど、引っ越すったってそう遠くないし」
え?え、えー!
「そんな、あたし…大原くんともう会えないかもって思って…え!?転校しないの?」
「しないよ。引っ越すの言わなかったのだって元々うち、知らないだろ?別に言わなくてもいいかと思って」
あたし、勝手に勘違いしてた…
コメント
6件
ラスト好きです(笑)
あらすじを読んで、もう「あああっ!」って声が出ました(笑)。月本さんの切羽詰まった告白とキスまでいく流れは、思春期のリアルな焦りと衝動がすごく伝わってきました。それでいて「転校しないよ」のオチ! ここまで大げさにすれ違う構造は、逆に清々しいくらいの笑いと切なさが同居していて、読んでいて心地よかったです。両思いになった嬉しさと恥ずかしさが一気に押し寄せるラスト、好きです。