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2人でこの世界とさよならを。

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2人でこの世界とさよならを。

1 - 2人でこの世界とさよならを。

♥

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2023年11月04日

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※死ネタ

※受け攻め要素無い。

※irxsしてない世界線。




















「ねぇ、アニキ。心中しよ。」
















目覚めは最悪。

昨日、ヤケになって得意ではないお酒を飲んだからか、頭痛が酷い。

のろのろとベッドから出て、部屋の扉を開ける。

頭を抑えながら、覚束無い足元で階段を降りるとリビングで恋人が待っていた。

「おはよ、ないこ。」

「おはよあにき……」

アニキの声に少しだけ癒されながら、彼が淹れてくれたコーヒーを啜る。

そんな静かな朝の時間に、先程からずっと鳴り響いている着信音。

発信先は上司。スマホに表示されている時間は11:46。

そう、俺は絶賛遅刻中である。

でも、まぁ、もう会社なんて行かないし、と本日三度目の着拒をした。

「……ほんまにええん?」

「いーのいーの、昨日言ったじゃん。生きることどーでも良くなったって。」

俺はもうなんのために生きてるのか分からなくなった。

毎日出勤して、残業なんて当たり前で、大して楽しくない仕事をこなして。

帰ったら死んだように寝る。

好きだったネトゲにもアニメにも漫画にも充てる時間なんてなくて。

大好きなアニキの歌を聴く時間さえもなくて。

なんで生きてるんだろ、俺。

こんな人生ちっとも楽しくない。

このまま目が覚めなければいいのに、なんて考えながら眠る。

でもそんな都合のいいことは無くて、朝目が覚めて、悪夢が始まる。

その繰り返し。

そんな日々についに限界が来て、

「心中しよ。」

なんて昨日言った。

アニキは止めなかった。

ええよ、っていつもみたいに言ってくれた。

こんな世界、俺とアニキ以外いなくなればいいのに、なんて思ってしまった。

「心中、って、どうやって死ぬん?」

コーヒーを飲み終わった後、アニキがカップを洗いながら訊いてきた。

「うーん……、普通に飛び降りとか?」

正直、死に方とかは気にしてない。

ただ、アニキと一緒に死ねたらいいな、って。

それだけ。

「まぁ、今日は夜までアニキといっぱいいちゃいちゃするし。」

最後の日くらい、好きなように生きるから、と言えばそっか、と優しく笑ったアニキ。

俺の我儘でアニキを死なせちゃうのは、ちょっと罪悪感あるけど、死後の世界にアニキが居なかったらつまんないし。

だから、今日は生きてる俺の大好きな人を、アニキを満喫する。




日が沈み、スマホに表示されている時間は0:46。

「折角なら、教会近くの廃ビルから飛び降りん?」

「うわ、なにそれめっちゃいい……っ!!」

アニキの天才的な提案により、俺たちは教会近くの廃ビルに向かった。

向かっている最中もたくさん話した。

一秒一秒が、生きてるアニキと会える大事な時間だから。




「ん、……さむ」

ひんやりとした風が全身に当たる。

時間も時間だし、夜景なんかは見えない。

街灯が照らすだけの静まりきった夜の街。

屋上の端にアニキと向かい合って立つ。

「俺は、死んでも悠佑を愛することを誓います。」

突然発した俺の言葉に彼は目を見開いたが、すぐに微笑んで。俺の大好きな笑顔で、声で。

「俺も、死んでもないこを愛することを誓います。」

そう言った。

それから、どちらからでもなく、唇を重ねて、俺たちは


__落ちた。


死に対する恐怖なんて無くて、こんな世界にアニキと一緒におさらばできることに対しての嬉しさしかない。

今、視界に映るのはアニキだけ。

なんか、今が一番幸せだ。

「来世でも会えるとええな。」

「うん。」

来世は幸せになることを信じて。


俺とアニキは、この世界から居なくなった。




※誰か心中する黒桃黒をください。

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