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あー…午後の授業眠過ぎない?これ1種の睡眠導入剤だ、わ……。
ハッ!?寝とる場合じゃない!『紳士のズッ友になるぞ☆大作戦』について考えなきゃ!
まず紳士のプロフィールを思い出してみよう!前世で王子様達のプロフは舐め回すように見てたからこちとらいつでもどこでも思い出せんのよ…。
好きな食べ物が”ところ天”。ほぉ…お菓子とかなら作って渡せるけどところ天か…手作りところ天はハードル高過ぎるな。やめよう。
趣味が”読書(ミステリー)“。私漫画しか読まないや…。しかもミステリーとは無縁の少年漫画。
特技が”知恵の輪”か…。知恵の輪とか昔やったけど全然解けなくて「もうしない」ってなった記憶しかないわ。というか知恵の輪で仲良くなるのムズくね?知恵の輪友達になれってこと?頭良さそう…。
好きなタイプが”清らかな女子”……”清らかな女子”………諦めるか〜。
ダメか?これ無理じゃね?仲良くなるの不可能に近くない?いやまだだ。まだやれることはあるはず…。清らかな女子になってやろうじゃん!
放課後。
部活に行ったはいいものの頭の中は練習どころではなく、”清らかな女子”の定義を考えるのに必死だった。
清楚?ってことだよな…。マズ〜い…私清楚系女子の逆位置にある混沌系女子(自称)だから相当頑張んなきゃじゃない?
しかもさっき少しでも良くなれば…と思って微笑みながら「ごきげんよう!お練習頑張ってくださいませ♡」って言ってみたけど近くにいたブン太と赤也が爆笑してたし完全にやらかした気がする。なんか紳士の顔色悪かったもん。その場で自爆したくなった。あの瞬間だけ自分がマ〇マインならいいのにって思ったもん。
虚しく空を見上げる。
あぁ…どこにいても、転生したとしても空って青いんだな…地球って偉大だわ……。
「主センパイ!」
「ん?」
赤也じゃん!貴重な後輩枠!他校に比べて人数が少ない立海の後輩力を1人で補えるぐらいのポテンシャル秘めてるって私勝手に思ってるんだよね。好き。
「あのー覚えてますか?約束のこと」
「…約束?」
「ほら!この前の英語のテストで赤点回避したらなんか奢ってくれるってヤツ!」
そんな約束したっけ?……したわ。確かに。私が休んでそっからうやむやになっちゃったんだよな。
「ちゃんと覚えてるよ」
実際は思い出したばっかりなんですけども。
「今日一緒に帰りません?そんときに奢ってくれればいいし」
これは…下校イベなのでは?んー…ま、下校イベなら大丈夫でしょ!大したこと起こんなそうだし。
「うん、いいよ」
「しゃあっ!あ、真田副部長に見つかったらマズイんでそろそろ戻らないと…!じゃ、練習終わったら会いましょ!」
そう言うと走ってコートの方に戻っていった。一緒に帰る、か…。これぞ青春ってカンジする!テンション上がってキター!と見せかけて…眼力(インサイト)!ゲージの確認と洒落こみましょうか。
う〜ん…特に変わり映えはなさそ…!?!!
柳生のゲージがマイナスになっとる!?!?ファッ!?何事!?
私なんかした!?やらかした!?!
アッ…絶対さっきのだーッ!!!!!
完全に余計なこと言っちゃった!!!!マ〇マインになりたい!今すぐ自爆したい!!誰か私を始末してくれ!うわああああああ!!!!!
悔い改めている内に練習が終わった。
自身の愚かさが本当に憎いです。許せないです。………もうダメだな。ダメだよ。なにもかも手遅れだよ。
諦めるか〜。『紳士のズッ友になるぞ☆大作戦』は本日をもって終了と相成ります。では、皆様またどこかで……
「ぬーしセンパイっ!」
「ギャーッ!!!」
なんか肩掴まれてるンギェェェ!!!
「うわああ!?」
「………赤也くん?」
私の肩を掴んでいたのは赤也だった。
あービックリしたぁ…心肺停止したかと思った…。
「スンマセン…まさかそんな驚かれるとは思わなくて……」
「あっいや!私こそゴメン!」
すげーオーバーリアクション取っちゃって恥ずかしくなってきた…。
「あー…一緒に帰るんだよね?」
「そうっスね…ほら!行きましょ!」
ん〜!?て、て、手繋いでる!?!?!さりげなーくとんでもねぇことされてるよ私?どういう反応取ったら正解?ねぇ?
「そういえばなに奢ってくれるんスか?」
「えっ?あぁ、なんでもいいよ。でも土地とかドメインはちょっと無理かな〜。私もそんなセレブじゃないからさ」
ホントは土地もドメインもなんなら島も買ってあげたいけどね…。クソッ…私がビ〇・ゲイツの娘だったらよかったのに……。
「えーっと…じゃ、アイスは?コンビニとかのヤツ」
「え?そんなのでいいの?全然買ってあげる〜!」
いくらでも食べさせてあげる〜!まかせろって!!!
「マジで?あざっす!」
ええんやで…。あと…手……ずっと繋いだまんまなんですが!?
………?手を繋がれる?現在進行形で?おや?おやおや?
1度深呼吸しよう。スー…ハー……。
いや落ち着けねぇ!!!手ェ繋いでるってどういうこと!?!!あぁっ!?激ヤバじゃん!!?
衝撃的なことが多過ぎてちょっと流しかけたけど普通に考えて意味わかんないよ!!!なんで?どうして?なんで?え?なんで?わかんないよッ!!!
「あの…手」
「手がどうかしたんスか?」
「急じゃん…その……」
「……やっぱおかしいって思いますよね。自然にやったつもりだったんだけどなぁ」
「えっ…」
「嫌ですか?」
っ!?そんなの…
「嫌じゃない…!あっ…」
しまった!声に出てた!!
「ならさ…このままでいいでしょ?」
そんなこと言われたらさ、反論できないよ…。
「…センパイの手、小さいんスね」
これは…オレ年下だけどちゃんと男なんですよアピール!?可愛い後輩じゃなくてちゃんと男として見てよアピール!?
いやいやさすがに深読みし過ぎか〜。違うか〜。
「ま、一応女子だからね」
と言いつつ手汗が気になって気になって仕方ない!!!大丈夫かな?大丈夫じゃないかも!
「あ、コンビニあった」
目的地だ!た、助かった…。よくよく考えてみればこの状況、誰かに見られたら相当厄介だよね…。どう見てもさ、その、ねぇ?アレじゃん……誤解を招いて仕方ないじゃん?
「じゃ、行こっか?」
あくまでもその場しのぎだろうけど…あとのことはあとの自分に考えてもらおっと!
約束通り赤也にアイスを奢ってついでに私もジュースを買うことにした。
会計を済ませ、外に出る。ペットボトルのキャップを開けようとする手にはまだ温もりが残っているような気がする。
2人で他愛のない話をしたが頭の片隅には手を繋いでしまったという既成事実がいて変にドギマギしてしまう。全く…とんでもないことやってくれたな!
……理由をつけて拒めばいいって話だろうけどさ………そんなこと出来るワケないし。だってさ…困るだのなんだの言ってるけどホントは嬉しいんだもん。仁王のこともそう。でも私は……。
あー!もう!このまま考え込んだって埒が明かないよ!今は目の前のことだけ見てればいいんだ。
「ねぇセンパイ…ずっと聞きたかったんですけど…」
「うん?」
「センパイにとってのオレって何?可愛い後輩?」
「……え」
私にとって……?あ。そうゆうことね…。なんとなくだけど質問の意図がわかってしまった。このあとに続く言葉もわかる気がする。
「オレのことちゃんと男として見てよ」
………そうだよね。ふぅ…当たってたッ!!!
さっきの〇〇アピールって言ってたヤツ完全一致じゃん!私の勘…というか深読みめっちゃ当たってない?ここまでくると怖いよ?
「…やっぱナシ」
「え?」
「さっき言ったこと。こんなこと言ってもセンパイのこと困らせるだけっスよね」
ん?んん?えっ!?取り消しちゃうの!?なんか…なんだろ……あっさりしてない!?!もうちょっとなんかこう…あるじゃん!?
「だからさ」
え?だから…?なに?
「もう可愛い後輩じゃなくて男として以外見れなくしてやるんで…覚悟しててよ?」
そう言ってニッと笑う。
覚悟って……
キラリラリン♪
っ!?ゲージが…今まで見た中で1番高い!?あぁ…とんでもないことになっちゃったぜ…。
紳士には嫌われるし、後輩にめっちゃ好かれるし…これから私どうなっちゃうの〜!!!!!