TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

年下とか関係ない

一覧ページ

「年下とか関係ない」のメインビジュアル

年下とか関係ない

9 - 第9話-微妙な距離と、再び近づく二人

♥

30

2025年04月13日

シェアするシェアする
報告する

9. 微妙な距離と再び近づく二人


入野は少し顔を赤くして歩き続けていた。江口がその後ろをゆっくりと歩きながら、何度も振り返っては入野を見ている。しかし、入野は視線を合わせることなく、黙って歩いている。


江口「あのさ、自由くん。」

江口は少し気まずそうに声をかける。入野はその声に顔をしかめて、ちょっとだけ振り返った。

入野「何?」

その顔は少し怒っているように見えるが、実際には少し照れているだけだ。江口はその表情に気づき、軽く笑った。

江口「ちょっとだけ反応が鈍いんだよな。」

入野「うるさい、バカ。」

入野はまた顔を赤くして歩き出すが、江口は歩調を合わせながら言った。


江口「いや、ほんとに、何か伝える時に自由くんは反応が遅いから、俺がどうしたらいいか困るんだよな。」

入野「それはお前が鈍感だからだろ。」

入野はちょっとムッとしながらも、言葉を返す。江口はその反応にまた少しニヤリとした。


江口「鈍感でいいんだよ、だってお前が怒っても、拗ねても、そんなお前が好きだからさ。」

江口の言葉に、入野は再び顔を真っ赤にして、一瞬立ち止まった。


入野「……何言ってんだよ、バカ。」

入野は顔を背け、再び歩き出すが、その心の中では江口の言葉がぐるぐると回っていた。

江口「バカ…じゃないし…」

入野は小声で呟くが、その声は江口にしっかりと届いていた。


江口「本当は俺が言いたいのは、もっと自由くんに素直になれってことなんだけどな。」

江口は歩きながら続けた。入野は再び足を止め、江口をじっと見つめた。

入野「素直に?」

入野は疑問を投げかけるが、江口は小さく肩をすくめて言った。


江口「うん、でも無理にとは言わないよ。」

入野「うるさいってば…」

入野は照れ隠しにまた口をとがらせて歩き出す。江口はその後ろ姿を見つめながら、少しだけ真剣な表情で言った。

江口「自由くん、俺、ほんとにお前のこと好きだよ。」

その言葉に、入野はぴたりと足を止め、動かなくなった。


しばらく沈黙が続いた。江口はその沈黙を気にして、少し不安そうに入野の顔を覗き込んだ。

江口「……自由くん?」

入野はその問いかけに、ようやく顔を上げる。


入野「俺が好き? そんなの、いきなり言うなよ。」

入野は少しぎこちなく笑いながら言うが、その顔はいつもよりも少しだけ柔らかく、照れたような表情が浮かんでいた。


江口「言いたかったんだよ。」

江口は真剣な表情で答えると、少し間を空けてから、再び歩き出した。入野はその後ろを見ながら、小さくつぶやく。


入野「バカ…ほんとに。」

でも、その言葉にはもう怒りもなく、どこか嬉しそうな響きがあった。


そして二人はそのまま歩き続けた。これからもきっと、こうして少しずつお互いの距離を縮めていくのだろう。

しかし、その距離感が心地よくて、何だか不安でもあった。入野は少し不安な気持ちを抱えながらも、江口の隣で歩く自分が、どこか安心していることにも気づいていた。






年下とか関係ない

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

30

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚