続きです。最終話です。引き続きルール守れる方のみお読みください。今回も 若干のR18 とmbakの表現ありです。苦手な方はブラウザバックでお願いします🙇♀️ここまで読んでいただきありがとうございました。
それではどうぞ
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明那side
〜pm 21:30〜
客の相手をするのにはもう慣れっこだ。
決してこの行為が好きなわけでは無いけれど。
初めは痛くて涙は出るし、終わった後は気持ち悪いしで大変だったけど、今ではもう快感の方が強くなってしまった。
まあ、これが良いことなのかどうかはわからないけど。
そんなことを考えながら待ち合わせのホテルに向かう。
先に部屋についた俺は、慣れた手つきで準備を始める。
「んッ……はッ……んぁ…」
少し慣らしているだけの少しの刺激にも俺の身体はビクビクと反応してしまい単純な体だな、なんて思う。
ピロン♪
スマホが鳴る。
おそらく今日の客からだろう。
「俺、なんでこんなことしてるんだろ…」
生活が苦しいのも、お金が必要なのも分かってるけれどやっぱりふとそんな事も考えてしまう。
「でも今の俺にはやっぱりこうするしか無いもんな…」
いつかはこんな身体だけの関係は全部捨て去って心から愛してくれる人と幸せに暮らしたいなぁ。
なんて考えても今の俺には無理か…
こんな情けない自分に一気に涙が込み上げてくる。
ダメだ。三枝明那!
こんな事で泣いてちゃこれからやっていけないぞ。
今はこうするしか術がないのだから。
そう思っていた時にふとある顔が浮かぶ。
隣に住むふわっちのことだ。
彼はいつも俺のことを気にかけてくれるし、あの優しくて、眩しい笑顔にいつも救われている。
ろくに友達のいない俺は、“そういう関係“でなく純粋に俺と関わってくれるふわっちにすっかり心を許していた。
そして密かに
俺は、彼に特別な感情を持ち始めていた。
いや、もしかすると俺は
初めて出会った時にはもう恋に落ちていたのかもしれない。
…あんな風に優しくて包み込んでくれる様な人が相手ならもしかしたら俺は変われるのだろうか。
『…まあ、俺なんかがふわっちとなんて無理だろうけど。』
ピロン♪
っていけね。完全に無視ってた。
約束は22時から。今の時刻はもう21:55。
今日の客がもう着いたのだろう。
俺は急いでドアを開ける。
『すいません。ちょっと準備に時間かかっちゃってて…』
ちょっと演技混じりに客に声をかける。
「全然良いんだよ明那くん。また会えて嬉しいよ」
手を握られ、指を絡められる。
正直ちょっと不快だけれど、俺は照れたように答える。
『俺も嬉しいです』
『あの…先に代金貰っても大丈夫ですか?』
「ああごめんね。つい明那くんが可愛くって。はい。これが今日の分ね」
手には普通のバイトの1日分では考えられないほどの額が握られている。
『こんなにたくさん…良いんですか?』
「良いの良いの。君みたいな可愛い子が相手してくれるなんて滅多にないからね」
…既婚者のくせに何言ってんだか。
『ありがとうございます。じゃあ今日はよろしくお願いします』
「こちらこそよろしくね」
さっきまでの考えなんて忘れて
その夜、俺はまた快楽に溺れていった。
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〜am 00:30〜
『すいません結局家まで送ってもらっちゃって』
「良いの良いの。遅くなっちゃちゃしね。それに明那くんの家気になってたから」
『あっあの〜もう大丈夫です。ありがとうございました』
「まあまあ、もうちょっとだけさ。話そうよ。せっかく家まで来たんだしさ」
アパートの玄関前まで2人で歩いていく。
やば。これ俺選択肢ミスったか。
『いや〜でもちょっと、、俺今日はゆっくり休みたいかな〜なんて』
「はあぁ…あんだけ払ったのにさ。ちょっとくらいサービスしてくれても良くない?」
一気に客の態度が変わる。夜も遅いし玄関前であまり騒ぎたくはないのに。
『いや別に…その、、嫌とかじゃなくて、その…』
言葉につまる。どうしよ…
「でもそういうことだよね?てか家まできて何もないって。そういうつもりだったんじゃないの?」
『いや…そのぉ〜。えっと……』
やばい…やっぱ家まで送ってもらうなんてやめておけば良かった。
「で、どうするの?結局?」
そんなの俺が聞きたいよ…
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不破side
〜am 00:45〜
なんだか朝の一件もあり、ぼーっとしたまま一日中過ごしてしまった。
もう日付も変わってるやん。
明日も仕事やし、寝るかぁ。
と思いつつもなんだか今は目が冴えて眠れそうにない。
すると外でなんだか怒っているような男の声が聞こえた。
揉め事か?
「なんやろ?こんな遅くに」
基本的に面倒事に首を突っ込む気はないのだが、少し気になって玄関を開ける。
すると隣の玄関前であきなと男性が立っていた。
朝の一件で一方的に気まずさを感じつつも揉めているのがあきなだと分かったら、やっぱり見過ごす訳にはいかない。
「こんな時間に何事っすか?」
男性に声をかける。
「いっいや、なんでもないよ。じゃあまた今度ね明那くん」
男は足早に帰っていく。
一体誰だろうか。
今日あった彼氏っぽい人ではなかった。
でも兄や友達にしては年が離れすぎているし、父親にしては若すぎる気がする。
「なんか揉めてたみたいやったけど大丈夫?」
『全然大丈夫!ていうかこんな遅くに騒いじゃってごめんね?』
いつも通り会話できている自分に少し安心する。
それと同時に、怯えたように肩を震わせているあきなが目に入る。
「それは全然気にせんでええよ。てかなんかあった?揉めてたっぽかったけど、話聞くで?」
『ありがとふわっち…でっでもほんっとに大丈夫!俺がちょっと変なこと言っちゃっただけだし、全然、何にもないから!」
やはりいつもとは違う、どこかぎこちない笑顔で明那は言う。
…やっぱり心配だ。絶対なんかあったやつやんこんなん。
「あきな…それ、嘘やろ?」
ギクっと音が聞こえるのではないかと言うくらい分かりやすくあきなは反応する。そしてすぐ、困ったように笑う。
『…ほんとに大丈夫だから』
「…俺じゃあ、あきなの役には立てない?」
『⁉︎……そっそう言う訳じゃないけど…』
「ならもっと頼ってほしい。俺に解決出来るかは分からんけど…それでも少しでもあきなの力になりたい。それじゃダメ、かな…?」
俺は真剣にあきなを見つめる。
君の綺麗な水色の瞳が、揺らぐ。
『…ふわっちにはバレたくなかったんだけどな…』
あきなは目を伏せて呟くように言う。
『…じゃあ、ちょっとだけ、話聞いてもらっても良い?』
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明那side
〜am 1:00〜
ふわっちと一緒に俺の部屋に入る。
あんなに心配そうに聞いてくれるから
俺なんかに優しくしてくれるから
もしかしたら受け入れてくれるかもなんて淡い期待と、これで呆れられてふわっちとの最後の会話になるんじゃないかなんて不安と、半々だったけれど結局話してしまう事にした。
酒癖の悪い父親から離れるためここに引っ越したこと
学費を払うため、もうずっとこうして身体でお金を稼いでいること
そんな自分が嫌で、忘れたくて、気を紛らわせるために大学の先輩とセフレの関係でいること
本当は、こんな生活をやめたいこと
俺は全て包み隠さずふわっちに話してしまった。
怖い。怖くてふわっちの目を見れない。
早く何か言ってくれ。
呆れたなら突き放してくれて良い。
元の生活に戻るだけだ。
でもやっぱりちょっと寂しいな。
ふわっちと話すの、好きだったから。
もちろん話すことだけじゃなくて
優しくて、眩しくて、太陽みたいな君が
好きだったから。
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〜am 1:50〜
俯いたままでいると俺は優しくて、どこか懐かしい、陽だまりのような温かさ包まれた。
なんで…?
なんで俺は今、ふわっちに抱きしめられてるの?
馬鹿だから、俺そんなことされたら勘違いしちゃうよ?
もしかしたらって期待しちゃうよ?
どうせみんな俺のことなんて突き放すんだから
あんまり優しくしないでよ。
俺、泣き虫だからさ
そんな壊れ物を扱うみたいに
そっと抱きしめられたら
泣いちゃうじゃんか
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それから俺はひたすらに
君の腕の中で泣いていた。
君は何も言わずにただ、
そんな俺の背中を優しく、優しくさすってくれた。
君にそうされると
なんだか遠い昔に感じたような
懐かしい気持ちになって
とても心地よかった。
それでも、このまま泣いてばかりではいられない。
何か、ふわっちに言わないと。
『うぅ…ふわっち……おれっ……ひぐッ…』
「何にも言わんでええよ」
後ろから君の優しい声が聞こえる。
「辛かったな…今まで助けてあげれんくてごめんな。」
それと同時にそっと頭を撫でられる。
「俺に話してくれてありがとう。
これからはなんかあったら全部俺に頼ってええから」
『でも…ふわっちに、迷惑…かかっちゃうし……』
「あきな。真剣に聞いてな。こんなタイミングで言うのもあれやけど、俺、本気であきなためなら死んでもええと思ってるよ。それくらいにはもうあきなを好きになってる。」
『ふわっち…』
「だから、好きな人のことを支えたいし、
何かあったらいくらでも甘えてほしい。
お金のことやって、今は俺がどうにかしたる。
なんせナンバー1ホストですから」
ふわっちはそう言って優しく俺に笑いかける。
つられて俺もぐちゃぐちゃな顔で笑う。
「俺は一生あきなのこと見捨てたりせん。
独りになんてさせん。
何があっても。
ずっと、、ずーっとあきなのそばに居続けるよ」
『ふはっ…ふわっち、それ…本当に?』
「まじですよ?今言った愛の告白もナンバー1ホストなんも」
ふわっちがホストだったのは初めて聞いたけど、なんだかしっくりくる気がする。
『俺も…ふわっちのこと…好きだよ』
『多分…俺、一目惚れだったし』
「あきな…。それまじで言ってる?」
『うん…。初めて会った時からこんな人の相手だったらいいのにって…思ってたから。もちろん今は、、ふわっちの優しいところとか、笑った時の顔だとか全部含めて好きだよ。』
「はあ…あきなさん、そんな可愛いこと言っちゃうんすか…俺ちょっとやばいっすよ」
『でも、、ほんとだから…。俺、ふわっちになら何されても良いよ。』
「あきな。こっち向いて」
腕が解かれて、俺はふわっちと向かい合う。
頬に手を添えられる。
そして
優しく、優しく
軽く触れるだけのキスをする。
こんな優しいキスをしたのは
初めてかも知れない。
「あきな。こんな俺でよければ、正式にお付き合いしていだたいても良いですか?」
ふわっちの真っ直ぐで
宝石みたいに綺麗な瞳が
俺を、見つめている。
『もちろん、、良いに決まってるじゃんか…』
俺はまた、涙が溢れる。
でも今は、嬉しくって優しい気持ちでいっぱいだ。
きっとふわっちになら、
心から愛してもらえる気がする。
そして俺も、
心から愛したいと思える。
今までの俺から何か、変われる気がする。
『その代わり、目移りしたらふわっちの家燃やすからね?』
冗談混じりに俺は言う。
「それじゃああきなも住むとこ無くなるやん笑」
『本当だ笑』
そんな他愛もない話で笑い合う。
ああ、幸せだ。
俺、ふわっちに出会えて
本当に良かった。
ふと、俺は時計を見る。
『うわ!もう3時過ぎてるじゃん!こんな遅くまでほんっっとにごめん』
「ええよ別に。あきなとちゃんと話せて良かったし」
『良かったら…泊まってく?』
君は、優しく微笑む。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
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〜am 3:35 〜
泊まってとは言ったものの、もちろんベッドは一つしかないし、来客用の布団なんか持ち合わせていない。
『ふわっち…あの、1つ聞きたいんだけど…狭いけど一緒のベッドでも良い?』
ふわっちは、そんなことかと言うように眉を下げて笑う。
「そんなんええに決まってるやん。むしろ嬉しいくらいよ?」
そう言って俺の頭を撫でる。
安心する君の大きな手。
『じゃあ寝よっか!』
俺は布団に潜り込む。
ふわっちも部屋の明かりを消してベッド入ってくる。
『ふわっち、こっちむいて?』
俺はいたずらっ子のように笑う。
「ええけど、なんで?」
『えい!』
ふわっちの胸に思い切り抱きつく。
「おっ?今日は甘えたさんですか?」
『別にぃ〜?』
にゃははっと彼は笑い、優しく抱きしめ返してくれる。
『おやすみ。ふわっち』
「おやすみ。あきな」
2人で抱きしめあったまま眠りにつく。
ゆっくりと、夜が、明けていく。
部屋はだんだんと
明け方のやさしい光につつまれていく。
その日の俺は、
いつかの、懐かしい夢を見ていたかもしれない。
〜end〜
コメント
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人工衛星から見える宙を舞っているものは、家出で宇宙旅行をしている私の口角です。とても素晴らしいfwakをありがとうございます。ハピエンありがとすぎます本当にありがとうございますぅ!!!フォロー失礼しましたm(*_ _)m(あれ、、しますの方がいいのか?まぁいいや)
ちょっとグロテスクですが、あちらでプカプカ浮いているのは私の口角です。ありがとうございました
うわぁぁ!!完結お疲れ様です!!、ここまで書いてくださって本当にありがとうございます!!🥺👍最後ハピエンで甘々な2人の雰囲気大好きです!♡