「私は強いです!誰よりも強いです!だから剣術を習わなくても大丈夫です!」
先生を付けるのは酷く嫌がった。一人で強くなりたい。一人でやっていきたいという概念があった為、私は何度も断った。私の行動が困らせていることに気付いてから私は先生を付けることを選だ。
「刘亦辰です!私は強いです。必ず誰かを自分一人で守れるようになります!」
誰かに名前を伝える時には毎度こう言っていた。例え弱くても「私は強いです」と何度も復唱して自覚させた
「私の名は黄樱花。剣術を教えている時は必ず「師匠」と呼んでください」
美しい人だった。とても愛らしく笑う人だった。この人なら良いかもと心の底から思っていた
師匠との日々は、辛い試練だったけれど「これで強くなれるなら!」と弱気にはなれなかった。 強くなるにはもっと試練が必要だった。薄暗い森に行こうとしたが師匠には酷く止められた。
「君一人では危ない、私もついていこう」
「危ない森でも私一人で行けます!何故、目上の人たちはみな私に監視を付けたがるのですか」
そんな時からかうように師匠は「森が危ないからではなく、君が危ないのです。」と言っていた。どういう意味なのか問い掛けたが知らない振りをしていた
そんなある日師匠は試練室には来なかった。
その時師匠が過ちを犯したと聞いた
何故あの時他人から聞いた事を真に受けてしまったのか、自分でも分からなかった
ただ酷く悔しくて虚しくて師匠と会う度私は、育ててくれた師匠に、恩師に、酷い態度を見せるようになってしまった
「待て。怪我をしている」
「触らないで下さい。こんなのすぐ治ります」
師匠の手を振り落としたのはこの日が始めてでした。いつもは高い声で師匠!と呼んでいたのですが、この日は何処か違うくて、師匠と目も合わせることが出来なくて声がどんどん低くなりました
「私が気に食わないのは分かった。それについてどうこう言うつもりはない。」
私がこんなにも冷たく接しているのに構わず師匠は優しい口調で話しかけてくれました。それが何処か、酷くただただ虚しかった。
「じゃ、なんで…」
「君を放っておく事は出来ない。私の理性に反映する」
「……師匠の術なんか信用出来ません」
「……それなら薬をやろう。これは術等関係していないモノだ」
私は師匠の手から瓶を落としました
パリんと音だけが部屋に響いていました。しまったと思ったが起こったことはどうしようも出来ない。私はただこの言葉しか出てきませんでした
「私は、もう…師匠なんか信用出来ません……」
「私は一生師匠に助けを呼ぶ事も、きっと、” 師匠 “ と呼ぶこともないです」
「……呼ばなくても良い。好きにしなさい」
師匠はこんなにも醜い私をいつまでもいつまでも、誰も来ることのない試練室で待っていてくれました。
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