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身体を重ねた。
何度も何度も、何かを確かめるように。
最後まですれば
何か変わると思った。
だから今日君に会いに来たのかな。
何か変われば
今までの思い出を全て掘り返せば
また昔のように
また、愛する君と、ふたりで
愛を確かめられると思っていた。
《 ごめんなさい│↴ 》
私は誰の為に謝るの?
《 会えてよかった│↴ 》
本当に?
《 好きだよ│↴ 》
いつから、分かってしまったんだろう。
いつ気が付いてしまったんだろう。
《 別れたい│↴ 》
どうしてこんな時に
貴方の笑った顔が思い浮かぶんだろう。
目尻を柔く寄せて来て
片方だけに浮かぶ可愛らしい笑窪。
嗚呼、そうだ。
私、君の事が好きだったんだ。
身体を重ねれば
君との思い出を掘り返せば
何か、変わると思っていた。
君との思い出が、また
昔のように鮮明に思い出せると
君との日々が
また、昔のように繰り返されると
君の苦い煙草の匂いが鼻腔を擽ると
寝癖のついた髪の毛を躊躇いなく触れると
そう、思っていた。
何も変わらない。
何も感じない。
いつからか君との思い出は、
面白くない白黒映像に切り替わっていて
変わらなかった。
変われなかった。
君をまた好きになれなかった。
《 別れたい。ごめ│↴ 》
全てを消し去ってしまおう。
《 │↴ 》
また最初から始めよう。
《 あい│↴ 》
エンドロールなんて飛ばしてしまおう。
《 愛して│↴ 》
薄く折り畳めてしまう機械に
私の全ての慈愛を込めて。
パタン、と折り畳む音が響く。
『 …私、 』
嗚呼、私。
ずっと昔は愛してた。
心の底から、全てを注いでいた。
きっと、君のことは愛してる。
掘り返せないほど深いところで、きっと。
多分君に愛されたかった。
喘息患いの私の横で吸う煙草を
少し羨ましく思いながら。
でもね、分かってしまったの。
もう貴方の目は私に向かないと。
深夜でも輝きを放つホテル街が
少し高いヒールの音を響かせる。
ピンクに包まれた空間の中、ひとり
空を仰いで頬を湿らせた。
絶対に、君の為に泣いてやるか。
君を思い返して泣いてやるか。
君なんか知らない。
君なんか、
ずっと知りたかった君のことなんか
もう、しらない。
《 !! error =_;‘(;” 》
平成って罪なとこだね。
知らないとこへ行こう。
君なんか忘れ去ってしまうくらい
優しい男のいるところへ。
コメント
11件
はー天才 好きすぎる 神かなにかですか? もう大好き
これって平成のお話とも読み取れるし、平成男子がいる令和とも読み取れるよね!!すっごくすき!!🩷🥲時代を表現するのって難しいのに、ほんとにすごいよーっ!!✨✨✨煙草の表現とか、がらけーの表現とかめちゃ愛してるっ!!!🤍🤍🤍
わっ、今回の作品も良すぎます……✨みーこ先輩はどの作品も神作なんですけど今回のは特に雰囲気好みすぎます!!