「ん……」
カーテンの隙間から差し込む光に刺激され、僕は目を覚ました。
やばい。どれくらい気を失っていたんだろうか。窓の外はもう夕暮れだ。
与「おや、乱歩さん気がついたかい?」
「与謝野さんおはようー、」
与「まだ熱も下がってないから安静にしてるんだよ。社長呼んでくるから待ってておくれ」
…やっぱり無理するんじゃなかった。僕のせいで社のみんなに迷惑かけちゃった。社長にも、。
社の皆に対する申し訳なさで、悔しさと自責の念が押し寄せる。
ちゃんと社長に休み貰えばよかったな。
その時。
福「乱歩。」
「あ、社長。ごめん、ここまで僕を運んでくれたの社長だよね?僕の服に社長の匂いが少し残ってる。」
福「そうだ。体調はどうだ?乱歩。」
「うーん、まぁまぁかな。迷惑かけちゃったよね、ごめんね。」
福「謝罪の必要など無い。寝ていろ」
「うん、ありがとう社長」
社長が来てくれて、少し心が軽くなった。
まだ頭も痛み同時に目眩もするので、もう一度布団を被る。
「…社長、戻らないの?」
福「……」
「社長?」
福沢は無言を貫いたまま、乱歩が寝ているベッド横の椅子に音を立てずに座った。と同時に、乱歩のお腹の上に手を置き、まるで赤ちゃんをあやすようにトントンとし始めた。
「社長、懐かしいね」
福「あぁ。」
昔、社長と2人で暮らしてた時に僕が風邪ひいちゃって。高熱で悪夢に魘されてなかなか眠れないで居たら、横にいた福沢さんが今の僕にやってくれているのと同じように「トントン」してくれたんだ。
その夜は不思議とよく眠れたなぁ。
そんな事を思い返しているうちに、瞼が重くなってきた。やっぱり社長、いや、福沢さんの安心感ってすごい。
「社長、おやすみ」
福「おやすみ。」
社長から返事が帰ってくるとほぼ同時に、僕は深い眠りに落ちた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふぁぁ……」
僕は鳥のさえずりと共に目を覚ました。
昨日は熱で頭がぼんやりとしていたせいかなんとも思わなかったが、どうやら僕は探偵社の医務室で1晩過ごしたらしい。
流石に皆は帰ってるよね。
そう思い、起き上がろうとする。が、布団に何か重みがある事に気付く。
「…え?まさか……」
「……福沢さん…」
その重みの正体は、椅子に座ったままベッドに突っ伏した状態で寝息を立てている福沢だった。
なお、福沢の手は乱歩のお腹の上にあった。
……社長こそ、風邪引いちゃうよ。
(読んでくださってありがとうございます。この続きを出すかどうかは分かりません🙇🏼♀️)
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