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水白
水↬『』
白↬「」
昔むかしの お話です
この国には守り神の 狐の神様 が おられました
稲荷様は 民たちに 優しい為 国をあげて祀られ 、また 優しさで 他の神様 たちにも 好かれていました
また 、 その神力は かなりのもの
願いを 叶えるという 強力な力
我がものに しようと する 者は 人でも神でも いないはずもなく …
その為、 是非 彼を 婿に と いう お誘いが 絶えず 、 稲荷様は 困り果ててしまいました
その時出会ったのは ____
水 side
『 今日も か ~ … 僕 お嫁さんは 自分で探す って 言ってるのに 』
神社の 社に 大量の 文 と
境内に 転がる生贄たち
文は 一応箱にしまって 、 生贄たちを 家へ返す
誰も彼も 自分の為 に 人 を 売るなんて 笑えるよね
この国は 好きなのに 民の そういうところは 嫌い
そこまで 僕の力 を 欲しがるなんて どんだけ 貪欲なの
お嫁さんなら そんな 貪欲さの ない人がいい
純粋に僕だけを 見て欲しい
稲荷様 じゃなくて 、 稲荷ほとけとして
力 じゃなくて 、 容姿や 性格を
ただの 僕 を見て
そう 意味の無い 願いをして 5日が立とうとしていた
僕は お忍びで 町に 降りて 探索中
町は もう 春で 、 桜が 舞い降りていた
僕の力は 願いを 叶える力
それを いつ 、 誰に 使うか 慎重に なんなきゃ いけないから 、 偵察 して 見極める
無条件に 叶えちゃ 、 みんなが 幸せになる 未来にはならない
・・・
しばらく 歩いて 小屋を 見つけた
粗末な 小屋だ 、 寒そう
でも 人の気配がする
そっと 引き戸を 開けた
僕は 絶句した
春とはいえ まだ 冷える
風の 吹き抜ける 小屋に 横たわる 人の子 と 兎 がいた
人の子 の 肌は 青白く 、薄汚れて
服は ぼろぼろ で 寒そうに 身体を 震わせて
目を閉ざして
このままだと 死んじゃう
それを 察しているのか 分からないけど 、 兎は ぺろぺろと 彼の 頬を 舐める
でも 見渡してみても 人はいないし
人が来る 気配もない
民が 死んじゃうのは 嫌だ
人に化けてるから バレないし
そっと 看病を 始めた
それから 半刻
毛布代わりの 僕の羽織
枕は ないから … 膝枕で 代用
まさか 膝枕 すること に なるとは 、 って 思った けど
ないより ましなはず
… たぶん
一緒にいた 兎は 僕の 隣で 横になっている
そして その子は 目を覚ました
「 … ぁ 、 え … ? 」
『 大丈夫 ? 気絶してたんだよ … 、 』
できる限り 優しく 、 声をかける
「 大丈夫 … です 、!? 」
慌てたのか がばっ 、 と 勢いよく 起き上がった
少し 怯えた様子の その子は 潤んだ瞳で 僕を見つめる
綺麗 と 思った
硝子細工のような 美しさ
すぐに 割れてしまいそうな 脆さ
『 君 名前は ? この町の子 だよね … ぁ 、 僕は ほとけ
いむくん って 呼んで ! 』
覗き込むように して 訊くと 、
「 … 、… ない …… です 」
ちょっと 怯えつつも 答えてくれた
名前がない 、 かぁ …
名前が ない と 言うことは 必要と されていないことを 意味する
または 家畜 や 奴隷 の ような 感じ
『 じゃあ 僕が 名前あげる 、 … はつうさぎ で しょう なんて どうかな
初めて 見る子 で 兎と 一緒にいたから …… 』
我ながら なんて 名付け方 なんだろう 、と 笑ってしまう
でも その子は 驚いたように 、 嬉しそうに
その名前を 繰り返し 口にしていた
その後 しばらく 話して 分かったこと
まず 彼 … いや 、 しょ ~ ちゃんは 親が いない
事故で 他界してしまったみたいで 、 里親に 育てられたそう
それからは 奴隷 みたいだったらしい ……
なんで 聞けたかって ?
… 神様 特権 みたいな … ね 、 うん
『 町 に 居場所がないなら 、 僕の 家に来ない ? 』
正直 、 とても 可愛いと思うし 僕の 理想に 近い
性格も 大人しくて 強欲さを 感じない 人
ついでに言うと 一目惚れ
「 でも 、 僕なんかが 行ったところで 」
『 僕は しょ ~ ちゃんが いいの 、 お願い … ! 』
必死に 上目遣いを して 頼み込む
「 … そこまで 言うなら 、 ついてく 」
『 決まりだね ! … じゃあ 失礼 、 いむらびも ! 』
彼を 背負って 咄嗟に 名付けた 兎を 引き連れ 、 僕の 神社へ 向かった
「 ここ … 稲荷神社 やん 、 いむくんの お家 行くって … 」
ここに 来るまで 色々 話して 、 ある程度 打ち解けた
僕は まだ 人間のふりを しているけど
『 僕の家だよ 、 この 鳥居の 向こう側がね 』
そう口にした途端 、 しょ ~ ちゃんの 顔が さぁっ と 青くなる
察しがいいな 、 ありがたい
「 稲荷 、さま … !?
先程まで の ご無礼を お許し ください 、 なんと 馴れ馴れしい ことを … ! 」
… そういう反応を してほしい わけじゃない
『 さっきまでので いいよ 、 僕 堅苦しいの 好きじゃないもん 』
そう言うと 、 少しだけ しょ ~ ちゃんの 顔が 緩む
『 行こっか 、 僕の 家へ 』
鳥居 と 結界 を 越えて 、 僕の 家へ 入る
結界内は 僕が 許した人 しか 入れない
「 わぁ … ! 」
今の季節は 一面に広がる 桜
幻想的で 美しい 、 僕の 庭
しょ ~ ちゃんと いむらびを 家の 縁側に座らせ 、
僕の 本当の姿を 現した
「 … 本当に 、 神様 なんやね
性格 とか 人間らしいから 気づけんかった 」
『 まぁ 伊達に神様 やってないから …
…… そんなことより ! お願いがあるの 』
話すうちに 僕には 彼しか いない 、 と 思えてしまった
それほどまでに 相性が良くて … 一緒にいると 幸せな 気分になれた
だから 隣に いて欲しい
『 すっごく 急だし 、 … その 、 すぐに 返事はくれなくて いいから …… 』
『 僕の 隣で 、 生きてくれませんか ? 』
白 side
稲荷様 からの 求婚を 受けて 数ヶ月後の話
僕は 鏡の前に 座っている
紫の 差し色がある 白無垢を 纏って
口元に 鮮やかな 紅を差して
今日 、 僕は 正式に 彼に 嫁入りする
ふたりだけの 儀式
彼と 口付 を 交わせば 僕も 神様になるそうで
つくづく 神様とは 不思議な存在だ と 思わせられる
『 すっごく 綺麗だね 、 似合ってるよ 』
後ろから いむくんの 声がした
振り向くと 正式な 袴着を 身に纏う 彼の姿
いつもの 水色の 着物も 良いけれど 、 黒色の 袴着も よく似合っている
「 いむくんも 似合ってんで 、 すっごく 」
『 えへ 、 ありがと ! 』
小さい時から 一緒にいてくれた 兎 …… らびまるも 連れて
広間へ 向かった
・・・
稲荷様の 結界内 の とある 場所
閉ざされた空間に 、 唇の 重なる音が 響いた
お疲れ様でした .ᐟ.ᐟ
Irxs 様の 新曲 衣装 で 白無垢 らしきものが 登場したので
つい衝動書きを 、、、
やはり 僕は 水白がすきです
リクエストいつでも 募集中 で ~ す !!
では また 、 次の お話で お会いしましょう