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NRCの図書館は世界有数の蔵書量を誇る。何せ学園自体の歴史も深く、優秀な生徒たちの知識欲も旺盛だ。そのため現在も本の数は増え続けている。今日も一人の生徒が図書館に訪れた。
「あーぁ。せっかくの放課後だってのにレポートの課題とか…。はぁ、とっとと終わらせちゃお」
ラギーブッチはそんなことをぶつくさ言いながら図書館内を歩いていた。もちろん小声で、だ。
「んーと…」
ラギーはレポートに使う本を探して本棚をうろうろしていた。今回の課題は魔法薬学に関するものなので薬草やらの図鑑があるコーナーを探すが、他の生徒が先に借りてしまったのかなかなか良い図書が見当たらない。とりあえず使えかもわからない本を数冊抱えて館内の机に向かう。と、そこでラギーは同じく課題のレポートをしているであろうジャミルをみつけた。
「ジャミルくんも課題ッスか?」
「ん?あぁ。ラギー、そうだが…どうやら苦戦しているようだな」
「そうッスよ。なかなかいい本が見つかんなくて。やんなっちゃうッス」
「まあ、あのクルーウェル先生がぱっぱと終わらせられるような課題を出すわけないしな」
と、ここでラギーは思いついた。
「ジャミルくん。こないだカリムくんが…」
話は数日前に遡る。例によって宴に誘われたラギーはモストロラウンジのバイトをお休みして、ワクワクしながらタッパーをカバンに詰めてその日を待っていた。が、ちょうど宴の日にカリムに外せない実家の用事があることが判明した(しかもスカラビア寮に着いてからラギーは知った)ためにラギーは酷く傷ついたのだ。
「と、言うわけで。保証といっては何だけど一緒にレポート書いてほしいッス」
「全く…カリムのやつ…」
ジャミルは本当にカリムに対して呆れた。こんな奴に隙を見せるから俺がこうなるんだ。そもそも宴、宴とうるさいし。もちろんその隙を見逃さず思い切り利用してくるラギーにも呆れを超えて物も言えない。
「なんか言ったッスか?」
「はぁ…いや、何でもない。カリムが迷惑をかけたな。一緒にやるからそこに座ってくれ」
と向かいの席をラギーに勧めた。ラギーはホクホク顔で席に座って自分のレポート紙を広げるのであった。