「りいぬ…!」
バタンと大きな音ともに、乱暴に扉を開けた。少しの時間ももどかしくて、靴を脱ぎ捨てる。
リビングへ踏み入っても、彼の姿は見えない。となればきっと寝室にいるだろうと思い、寝室のドアノブを静かに撚る。
すると、俺のシャツを羽織り眠る彼が。
余りに可愛い姿に、張り詰めた糸が緩まる。
静かに彼の元まで歩き、唇にキスを落とす。
すれば、可愛いお姫様は童話の様に大きな瞳をぱちりとを開いた。
「………さとちゃん…?」
「ごめん莉犬。遅刻した」
「さとちゃんだ、……さとちゃん、」
ぎゅうっと、彼なりの一番の力で俺を抱き締める。
そんな彼に俺も答えて、小さな身体を包む。
「オレ、寂しかったあ……」
「ごめん、待たせすぎた」
俺のぬいぐるみ抱き締めて、俺のシャツを着て、俺のベッドにいる。
そんな彼の行動全部が愛おしくて、会えなかった分の寂しさを埋めるようにまたキスをする。
「莉犬、こっち見て」
俺がそう言うと、彼は一度俺の胸から離れ、きょとんと大きな瞳で此方を見つめる。
俺は赤いリボンに包まれた、小さな箱を手渡す。
愛しいお姫様は、不思議そうに小さな箱を見つめる。
「開けてごらん」
しゅるりとリボンを引っ張り、箱を開けると、瞳を丸くする。
「なに、これ……きれい」
そう言う、彼が綺麗。
小さな箱からは、桃色とも金色とも取れるリングが、小さな紅梅色の宝石を光らせていた。
「これ、指輪……」
「…そう、ずっと莉犬にあげたかったんだ」
「嬉しい……これ、そうゆうことなの?勘違いしちゃってもいの?」
「莉犬が思ってる通りだよ」
小さなリングを瞳を光らせ見つめる彼の手から、そのリングを渡してもらう。
そして、彼の左手の薬指に、嵌める。
「…莉犬を永遠に、愛していいですか?」
俺が言うと、莉犬の頬に涙がつたう。
そして、俺の胸に顔を埋める。
「……誰が断るんだよ、」
「もちろん、ずっと、一緒にいたい」
その言葉に、視界が滲む。
泣かない筈だったけど、一度流れた涙は止まる気配を見せない。
「さとみくんが泣いてるとこ久しぶりに見た」
「……だって、超嬉しい。」
「おれも」
珍しい彼からのキス。
今までで一番あまくて幸せなキスだった。
コメント
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先日無言フォロー&無言ブクマをした無礼者が失礼します…。暁さんの書くノベル、めっちゃ好きなんです…。おすすめに出てきてタップしたら好みド直球だったので指が勝手にフォローボタンへと…💦 このお話、すっごく好きなんです…!普通、「プロポーズ」って言ったら海か高級レストランに呼び出して…彼の方が膝まずいて「結婚しよう」とか言う大胆なやつ想像するんですけど