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田仲 修哉


「ただいま。」



家に帰ると、急に 静かになる。


さっきまで、

あんなに騒がしかったのに。


余韻に 浸りながら、シャワーを浴びて

今日のことを 思い出す。


俺、なんで あんなこと言ったんだろ。



「嫌いな人は、正直沢山いる。」



別に、日和に言う必要なんて なかった。


クラス遊びは 成功だった。


揉め事もなかったし、空気も 悪くならなかった。

みんな、楽しそうだった。


あいつらも——


無神経なくせに、

何も気づかないくせに、


「仕方ないよな」で 全部終わらせる奴ら。


正直、ああいうの嫌いだ。

ずっと 前から。


でも俺は、そいつらとも普通に話す。


笑う

盛り上げる


面倒だから。

空気が 止まるのが、一番だるいから。


今日も そうするつもりだった。

実際、最初は そうだった。


来なかったやつの話になった時も、


俺が「仕方ないよな」って言えば

丸く収まるって 分かってた。


だから言った。

あれは正解だ、


クラスとしては。


でも、


海に入って、 みんなでふざけて

馬鹿みたいに水かけ合って——


あの瞬間だけは、ちゃんと笑ってた。

作り笑いじゃなくて。


楽しかった。


それが、少し悔しい。


あいつらが 嫌いなはずなのに。


無神経で、軽くて


誰かが消えても、次の日には

普通に 笑ってるようなやつら。


なのに、今日はその輪の真ん中で

普通に 笑っていた。


その事実が、引っかかる——


あいつは、少し引いて見てた。

俺とは逆だ。


だから、言ったのかもしれない。



「クラスっぽくいたいじゃん。」



あれは 本音だ。

俺は、あの形を 守りたい。


多少鈍くても、多少無神経でも、

崩れるよりは マシだと思ってる。


でも同時に、あいつらの 鈍さに苛ついてる。

矛盾してる。


日和なら、その矛盾を 見抜きそうだった。


否定もしないし 肯定もしない。

ただ、ちゃんと聞きそうだった。


だから言った。


誰でもよかったわけじゃない。


スマホを開く


グループに 写真が上がってる

三十八人分の笑顔。


空いてる一人分の隙間。


今日 俺は本気で笑った、

それは 事実だ。


でも、その笑いの中に

いない奴のことも ちゃんと見えてた。


それを無視して笑えるほど、

俺は 鈍くない。


画面を閉じる、

天井を見ながら思う


俺は、何を 守りたいんだろうか。


クラスか

自分の立ち位置か


それとも、

崩れたときの 静けさが怖いだけか。


日和に言った言葉が、

頭の中で 何度も再生される。



「あいつ、どう思っただろ。」



別に 分かってほしいわけじゃない。


でも、少しだけ…


本気で笑ってたことくらいは、

見えてたらいいなと思う。










「作り上げてきたもの」





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コメント

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修也の本音みたいな心の内が今回の話で見えてきて、もっと面白くなってきました。 タイトルに出てきた言葉と同じような言葉も出てきて、話を重ねるごとに面白さが増しています。

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