探偵社で仕事を終えて其の儘、私の家に寄ってから乱歩さんの家に向かった。
「お邪魔します」
要る荷物を纏めて、適当に鞄に突っ込んで持ってきた。と云ってもトートバッグ一つに全て入るほどの少なさだ。
中に入ると、お菓子の甘い匂いがした。
少し気分が悪くなった。
「まぁ我慢してよね。僕、お菓子食べないなんて無理だから」
「善処します…」
之からずっと此匂いが続くと思うと頭が痛くなってくる。
「荷物其処ら辺に置いといて」
「判りました」
トートバッグを壁に寄りかける様に置く。 重かった荷物が無くなって肩が一気に軽くなる。
「暫く此処に住む事になるんだから其んなに緊張してて如何するのさ」
「否、其れはそうですが…初日ですから」
ふぅん、と興味無さそうに云った後まぁ慣れる様に頑張ってねと乱歩さん特有の笑顔で云った。
「先にお風呂入りなよ」
「ではお言葉に甘えて」
廊下の突き当たりを右に曲がり、扉を開ける。
洗面所は意外…と云うと失礼に値するが清潔感があった。私の洗面所とは大違いだ。
風呂場は、所々水垢がついているが其れ以外は結構綺麗だ。
乱歩side.
太宰が風呂に入っている内に太宰が持ってきたトートバッグの中を整理する。
歯ブラシや携帯、充電器等の生活必需品が入っている。後はトートバッグの底に大量の薬が入った瓶。 薬物大量摂取用の物か、唯の薬か。
太宰が風呂からあがったら聞いてみれば佳いかと思い再度、鞄に突っ込んだ。
五分ほどして太宰がお風呂から上がった。
「乱歩さん、お待たせしました。」
「ん、もう少ししたら入るよ。ところで之、何?」
先程、鞄に突っ込んだ瓶を太宰に見せる。
太宰は少し驚いた様な表情をした後、ニコッと笑って
「唯の睡眠薬ですよ」
と云った。
僕は太宰の表情、瞳をじっと観察して何の為の嘘?と聞いた。すると、嘘じゃありませんよとヘラヘラと笑ってみせた。
「へぇ、じゃあ之、何錠迄?」
「確か五錠程度だった気がしますよ 」
うーんと左上を見ながら唸った後、そう云った。
「じゃあ僕も飲んでいい?」
太宰の瞳孔が一瞬、微かに揺れる。
一般人ならそれを見逃してしまうだろう。だが残念なことに僕は日本一の異能力者であり、名探偵だ。そんな判りやすいヒント見逃す筈無い。
「否、之は強力な薬ですので乱歩さんが飲むと危ないかと」
太宰は淡々と嘘を並べていく。
まるで真実を云っている様に平然と。流石は元最年少幹部。
「僕にそんな嘘ついても無駄だけどね」
「…本当なんですけどね」
どうやら睡眠薬で突き通す心算らしい。
やり過ぎない様にとだけ警告して僕はお風呂場に向かった。
後ろでえぇ、もちろんですと太宰が云っていた様な気がした。
気づいたらすごい伸びていた!!
本当ありがとうございます!!
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