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剣持side.
「葛葉さん……何しに来たんすか」
僕は気を失った天宮を庇うように抱き直して、入り口に佇む吸血鬼を見る。銀色の髪に血の色をした瞳。その口元には余裕のある微笑が浮かんでいた。ふはっ、というような笑い声を漏らして、葛葉さんはようやく天宮から視線をずらし僕を見た。
「言ったでしょ、あまみゃを貰いに来たの」
ゾッとするような威圧感で背筋が凍った。体を強張らせる僕にゆっくりと近づいた葛葉さんは、その紅い双眸で僕の目を覗き込んだ。
「俺に逆らわないでくださいね、もちさん」
体が動かない。葛葉さんの手が天宮に伸びる。助けなきゃ、いけないのに。僕は、一体何を──
「それじゃ、お邪魔しましたっと」
──僕は、何を怖がっている?