『 君と過ごした冬は忘れないから 』
桃×赫
赫女体化
白い息が空に溶けていく。
俺はコンビニの袋を手に、りうらのマンションへ向かっていた。
ホットココアとりうらの好きなショートケーキ。
玄関の前に立つと顔が頬を刺すように冷たい。
呼び鈴を押すとしばらくして小さな足音が聞こえた。
赫 ) ないくん!!
ドアの隙間から顔を出したりうらは少し痩せたように見えた。
それでもいつもと笑顔は変わらなかった。
桃 ) ケーキ買ってきた!
赫 ) え、しかもりうらが好きなショートケーキじゃん!!ないくんてんさい!!
りうらは拍手をして嬉しそうに笑ってた
その笑顔を見るたびに俺の世界は明るくなった。
クリスマスも正月も一緒に過ごした。
部屋の窓から見える雪がまるで映画みたいでりうらは
「来年もまた一緒に見ようね」って言ってた。
俺は「もちろん」と笑ってりうらの髪を撫でた。
最近、りうらが少しだけ苦しそうに咳をすることが多くて俺は心配だった。
心配で声をかけてもりうらはいつも「ちょっと風邪気味なだけだから心配しないで」と言って笑ってた。
俺はそれ以上聞くことができなかった。
りうらが笑っているならそれでいいと思ってたから。
年が明けて雪がやんだ朝、りうらからの連絡が途絶えた。
送ったメールも既読がつかないまま。
電話をかけてもずっと繋がらない。
胸の奥がざわついて俺は急いでりうらの家に向かった。
ドアを開けると部屋には誰もいなかった。
カーテンは閉じられて、テーブルの上には2人で作った小さな雪だるまの写真が置かれていた。
そうやって部屋の中を見渡していると携帯が震えた。
画面には〇〇病院と表示されていた。
俺は震えた手でスマホを掴み耳に当てた。
桃 ) はい、ないこです。
画面の向こうの声が静かに告げた。
りうらはほんの数分前に息を引き取ったという。
時間が止まった。
頭が真っ白になって何も聞こえなかった。
寒さも痛みも全てが遠くなっていく。
赫の部屋に残っていた手紙を俺は震える手で開いた。
桃へ。
黙っててごめんね、りうら病気だったの。
もう長くは生きられないって結構前からわかってた。
でもね、最後の冬はどうしてもないくんと過ごしたかったの。
ないくんと見る雪が、ないくんと食べるケーキがりうらの世界で1番綺麗だったよ。
りうらがいなくなっても泣かないでね。
ないくんと笑いあった楽しい冬がずっと続くように願ってる。
ないくんと過ごした冬はりうらの一生の宝ものだよ。
りうらより。
涙が手紙に落ちて文字が滲んだ。
りうら、俺も同じだよ。
りうらと過ごした冬は永遠に忘れない。
どんな春が来てもあの雪の光景は心の中に降り続ける。
俺は空を見上げた。
雪が舞い降りてくる。
そのひとひらが頬に触れた瞬間りうらの笑顔がふっと蘇った。
まるで「ありがとう」って囁くかのように。
君と過ごした冬は絶対に忘れないよ。
end.
急ぎで書いたから変なところあったらごめんね。
コメント
2件
感情移入して感動してた😿💧儚すぎて大好き🫶🏻︎💕︎︎1枚の絵から物語を作ってくれてありがとうー😿‼️