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恵まれて不幸な人生

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恵まれて不幸な人生

1 - 恵まれて不幸な人生

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2023年12月09日

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注意事項

・この作品はwrwrd様の二次創作パロです。

・本人様とは関係ありません。

・検索避けに協力してください。

・軍パロです。

・流血、タヒを表現する要素が含まれます。

・この作品には、後天性無痛症の表現が含まれます。

◎苦手な方はブラウザバック。

ワンクッション








































────────────

それは突然の事だった。

ciとshpと俺で、城下町に買い物へ行っていた時の事だった。

買い物を終えて、帰宅途中だった。

3人の腕にはビニール袋が乗せてあって、空に夕日が沈む時刻だ。

ut「綺麗な夕日やなぁ〜。」

shp「ciの瞳と同じ色やね。」

ci「俺よりもっと綺麗やで。」

なんて会話をしていた気がする。

そんな時だった。

ciが急に道路へ飛び出したのだ。

いや、飛び出した…というか、突き飛ばされた…が正しいのだろうか。

ビニール袋が音を立てて地面に崩れ、ciは道路にバタンと倒れた。

俺は慌てて、大丈夫かと叫んだ。

shpは冷静にciを突き飛ばしたであろう人物の腕を捕らえた。

…事件が起きたのはその時だった。

冷静なshpに感動していると、後ろからバンッと車と何かが当たる音が聞こえたんだ。

ヒヤリ…と背中に嫌な汗が流れる。

shpの顔を伺うと、顔を真っ青にして固まっていた。

ゆっくり…ゆっくりと振り返ると、そこには車に跳ねられ、歩道に倒れたciがいた。

顔を顰めていて、ぐぅ…と唸っている。

俺は急いでインカムを繋いだ。

確か、もうその時には正常心は無かった。

shpは手を震わせながらもciに声をかけ続けていた。

ciの手がどんどんと白くなるのを見ながら。

















───────────

あれから、3日が経った。

俺も、shpも、なんとか正常心を取り戻していた。

ciはギリギリの所で一命を取り留めた。

今は病室で寝ている。

ciが起きた時、1人だと寂しいだろ、ということなので、shpと病室に向かっている。

shp「…ciを突き飛ばした奴、絶対に許さへんねん…。」

shpが捕らえた人間は、いつの間にかshpの腕から逃げ出してしまったらしい。

ciが意図的に狙われたのなら、まだこれからも狙われてしまうだろう。

これは、本人には伝えず、俺たちだけの作戦で留めている。


病室に行くと、額に手をやるciがいた。

意識が戻りかけている。

急いで駆け寄り、手を取った。

すると、ゆっくりと目を開けた。

ci「………。」

shp「…ci、聞こえるか。」

ciは自身の握られている手を見つめ、そして俺たちを交互に見た。

それから、ゆっくりとshpの訪ねに頷いた。

ut「よかった…、ほんま生きてて。」

「今、sn呼んでくるわ。shpはそこに居って。」








それから、一旦病室を出た。

snとciで診察をしているらしい。

時計の動く針を眺めながら、2人を待つ。


sn「…お待たせ、どうぞ中へ入りな。」

開いた扉を潜り、パイプ椅子に腰をかけた。

ciは眼鏡が無いからか、目を細めてこちらを見ている。

shpはすぐさまciの手を握った。

shp「…ci。」

ci「…shp、。」

可愛らしい後輩の再会を、ぼんやりと眺めていた。

すると、snは書類を持ってやってきた。

sn「…ciは、後天性無痛症になってる。」

後天性…無痛症…。

難しそうなその名を何度も唱える。

無痛症…ようやく理解をする。

ut「無痛症て…、痛み感じひんやつ?」

sn「そう、後天性無痛無汗症でもある。痛みや、熱を感じなくって、それに汗もかかない。」

「詳しい原因は不明。やけど、恐らく事故による神経負傷かなと推測しとる。」

ciはそれを聞きながらも、shpの手を眺めていた。

shpも同様。

ci「…俺、こんな包帯巻やけど、全然痛ないねん。」

sn「そう。そういうことやで。」

snは立ち上がり、俺とshpに手招きをして外へ出た。

少し出る…とciに伝えて病室を出る。


sn「2人には、ciの護衛を頼みたい。無痛症は結構厄介なんや。怪我や火傷に気付かないから、いつの間にか限界が来てたりもする。」

shp「…。」

sn「結構重要な役目。頼んでもええか。」


ut「イエス以外の返事なんて無いわ。」















───────────

ci「俺、もう痛み感じひんねやろ?」

shp「…せやね。」

ci「じゃあ楽やね。zmさんとのタイマン勝てる気がしてきたわ〜。」

呑気にそんなことを言うciの額を軽くデコピンする。

ciは今なんかした?と笑いながら言った。

shpは少し悲しそうに俯いた。

ut「…お前、これからは自分の命もっと大切にせぇよ。」

ci「はーい。」

最後にわしゃわしゃと頭を撫でてやった。

そうして、病室を後にした。

ciは扉が閉じるまで笑顔で手を振っていた。



















────────────

そうして、1ヶ月ほど経った。

ciは護衛をしているので、大きな怪我はしていない。

まあ、小さな火傷…とかはあったが。

それで、俺とshpとciでまた買い物に行くことになった。

snから外出許可が下りたのだ。

ciは嬉しそうに俺たちの元へ駆け寄ってきた。

行きましょうって靴を素早く履き替えて。


ut「んんー…結構買ったなあ。」

sht「ci、真ん中歩いてくれ。」

ciを挟むように俺らが歩く。

shpは周りに警戒をしていた。


そして、その時がやってきた。

shpが足を蹴りあげた。

すると、男はがくりと地面に尻もちを付いた。

ciは驚き、俺はciを守る体制に入った。

shpはポケットから小型のナイフを取り出し、男に刃先を向けた。

shp「動くな。」

shpの声は驚く程に低かった。

殺意を含む声色だった。

男は数秒、俺たちを見つめていた。

それから…。


それから………?



























───────────

tn「甘味はもうええから、仕事やれ。」

gr「いやじゃー…。」

椅子に蕩けるgrをべしべしと叩いてペンを持たせる。

こいつ、何時になったら仕事やるってんだ。

呆れながら、大きくため息を付いた。

そんな時だった。

rbが大慌てでやってきた。

rb「至急!!集めてくれ!!」

なんてノートパソコンを片手に叫ぶものだから、俺も合わせて、インカムで叫んだ。


gr「どうしたんだ?そんなに慌てて。」

rb「…買い物に行った3人が、D国に攫われてもうた。」

「それで…こんな動画が送られてきてん。」

rbは震える手でなんとかパソコンを開く。

そこには、床に倒れているshpとut。

そして、椅子に縛られているciの姿があった。

皆はパソコンを掴むように集まった。

すると、男が1人前に出た。

mb『どーも。W国のみなさん。』

『私はD国の情報屋…とでもいいましょうか。』

男は、ciの髪の毛を掴んで、ciの顔を無理矢理カメラに向けた。

mb『この男、元情報屋なのですよ。ご存知でしょう?それで、こちらの情報が漏れないように…と処分を頼まれたのです。』

『随分と活きがよくてですねえ。簡単には死なないようです。』

『…軍医師さん。存じてますよ。彼が…無痛症なことくらい。』

そう言葉を発する。

何をするつもりだと、喉が音を鳴らした。

mb『こいつが、どこまで耐えられるのか。実験しようと思いましてね。ああ…ちゃんと、貴方たちにも権利があります。』

『W国の資産を渡しなさい。そうすれば、後ろの2人を返します。』

『…この男は、貴重な実験材料ですからねえ。資金も下さるのなら、お返しします。』

『いい返事を、期待してますね。電話番号はこちらです。どうぞ、返事が決まったら、こちらに。』

そして、画面が暗くなる。

zmが窓から外へ出ようとした所を、shoが止めた。

zmは結構キてるらしい。

かという俺もだ。

ut、shpを含め、大切な後輩が命の危機に晒されている。

そんなの、怒らない人などいない。

gr「…せんs」

kn「いや、ここは安全に行かんとやばいんちゃうか?」

gr「…そうだな。そうしよう。」

「じゃあ諸君!!大切な後輩の為に!!イザ!!」























───────────

shp「ふ…ぐぅ、、。」

ut「ぁ"…い、ッ。」

痛そうに起き上がる2人。

そんな2人を、俺は見ていることしか出来ない。

なぜ、2人だけをいたぶるのだろう。

目の前にいた男は、何かを探しに出ていった。

だからといって、俺たちは皆縛られている。

動けない。

ci「shp!!ut先生!!」

shp「…ci!!怪我は!!」

ci「ない…と思うで!!」

自分の身体を見る。

目立つ怪我はない。

それよりも、頭から血を流している2人の方がやばいんじゃ…?

ci「ふたりッ…しなないでやッ、、。」

ut「死なん…。大丈夫やで。」

「多分、殴られてもうたんや。大きい怪我ちゃう。」

shp「俺も。ズキズキするだけや。」

怖い。怖い怖い。

何をされるのだろう。

shpとut先生が…最悪な事になってしまったらどうしよう。

俺だけ残ったらどうしよう。

焦って涙が出そうだ。

なんて、考えていると感じたのかshpが口を開いた。

shp「ciは泣き虫やなあ。大丈夫やで。今まで色んなことあったけど、俺ら生きてたやんか。」

ut「そー。神様に祈っとくか?」

ci「うんッ…2人がッ、死にませんようにッ。」

ut「生きて帰れますよーに。」

shp「ciが泣きませんよーに。」

ci「ぶふッ…なんやねん!!」

shp「ははは。」

shpの軽い冗談にケラケラと笑う。

すると、男が帰ってきた。

上がる口角を元に戻す。

mb「ああ…そうなの?資金も、資産もくれるんですか。」

「いやあ。非常につまらない。」

男は、shpとut先生に近寄った。

何をするの?やめて、そのナイフ…下ろして。

なんて思うが、2人が喋らないので、俺も2人に合わせて喋らなかった。

mb「よいしょ、これ持っとけ。」

ut「…あ"?」

男が、ut先生の膝にスマホを置いた。

そのスマホから、tn達の声が聞こえる。

電話でもしているのかな。

なんて、思う。





shp「c"iーーー!!!!」

急に大きな声を出すものだから、驚く。

2人の方に顔を向けると、いつも間にか男は居なくて、その代わりに青ざめた2人がいた。

電話からも叫び声が聞こえる。

どうしたのだろうか。

ut先生は吐いてしまった。

毒でも飲まされたのかと思い、冷や汗が出る。

shpは喉が掠れるまで俺の名を呼んでいる。

…なのに、段々と声が聞こえなくなる。

今気づいたが、俺自身も、声が出ていない。

なに?

何が起きているの?


そう思って、ゆっくりと俯いた。








俺の両足…。

膝から下が切り落とされて、赤黒い血が滝のように流れていたのを、俺は最期に見た。
















──────────

どうしたの?のような顔でこちらを見つめるci。

彼の両足は、膝から下を切り落とされた。

それなのに彼は平然としていて、ずっとこちらを見ている。

無痛症…その怖さに震えてしまう。

男も、その驚きの反応で腰を抜かしていた。

ciはそれでも、こちらを見ている。

喉が痛い。

それでも彼の名を呼び続ける。

ダメだ。死んでしまう。

いや、もう無理なんだ。

あんなんで、生きて帰れる訳…ないんだよ。


ciはようやく自身の状況を知った。

自分の足を見つめている。

切り落とされた膝から下は、切なげに落ちていた。

ciの血が、津波のようにこちらに流れてくる。

ut先生は耐えられなくて、吐瀉を続けている。

いや、これは俺も無理だ。


戦い、軍人という生き方をしていたので、人の死体や、血なんて心底平気だとばかり思っていた。

これは、この血は。

俺の大切な親友の中にあったもの。

彼を動かしていたもの。

それが、全て流れゆく。

もう、彼という存在が崩れていくように。

ciを見る。

ciは焦点をふんわりと虚空に浮かべて力なく椅子に縛られていた。

ああ、手遅れなんだと実感する。

スマホからは音割れのように叫び声が聞こえる。

音割れのほとんどが部長のようだ。

無痛症。

彼は、痛みなく死んでしまった。

幸せなのだろうか。

俺には分からない。


でも、彼は最期まで素敵だった。

綺麗な夕焼けを俺たちに見せてくれた。

もう…そんな夕焼けは、真っ白に消えてしまって。



しばらくして、大きな爆発音がした。

俺たちの前には、理性を失い暴れ散らかすzmさんの姿が現れた。

そんな彼に謝る。彼はボロボロと零れた涙を隠すように拭った。

それから、紐を解いてもらった。

ut先生は嘔吐で意識がぼんやりしているので、部長に抱き締められている。

こうでもしないと、もうメンタル的に終わっているのだろう。

俺はと言うと、emさんの肩を頼りに歩いて、ciの前に行く。

彼を優しく抱き締めた。

暖かい温もりはもうどこにも無い。

開いたままの白い瞳。

emさんとは違う。生きている活力が無い、白い瞳。

それを、emさんは優しく閉じてやった。

水色髪を、優しく優しく、時間の許す限りに撫でる。

頑張ったね。

頑張ったね。

ciは偉かったよ。

今日も、いままでも。

俺の尊敬する後輩で、親友だったよ。


もう、どこにもいないんだろうね。

天国?そんなものがあるだろうか。

天国に行ったって、幸せにはなれないかもしれないのに。

最期の最期に、自分の状態を見て、唖然と亡くなった彼。

もう、幸せになることなんてないだろうに。























───────────

shp「ci、春になったよ。桜がな、綺麗やねん。」

「俺、外は嫌いやけどな、お前にそっくりな夕焼けが見れる時間は好きやで。」

ciと書かれた、小さな墓。

手を合わせて、そう伝える。

微かに、頭を撫でられたような気がした。

utは車椅子に乗りながら、泣いて手を合わせた。

ut「ごめ"んッ…ciッ…。」

フワリ。

風が、俺たちの頭を通る。

まるで、撫でるかのように。

チャラン。

首にかけている懐中時計が揺れた。

俺たちを抱き締めるかのように。



em「shpくん。行きましょうか。」

shp「…うん。」


kn「ut先生、行こか。」

ut「…。」

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コメント

10

ユーザー

涙で顔面土砂崩れなりそう。゚(゚´Д`゚)゚。

ユーザー

懐中時計をsyp君が持ってるのがいいな、 、、無痛症、、どんな感じなんだろう 風が来た時の描写が好きすぎるぅ!! 神作品ありがとう(ᐡ ̥_ ̫ _ ̥ᐡ)

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