注意事項
・この作品はwrwrd様の二次創作パロです。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
・軍パロです。
・流血、タヒを表現する要素が含まれます。
・この作品には、後天性無痛症の表現が含まれます。
◎苦手な方はブラウザバック。
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それは突然の事だった。
ciとshpと俺で、城下町に買い物へ行っていた時の事だった。
買い物を終えて、帰宅途中だった。
3人の腕にはビニール袋が乗せてあって、空に夕日が沈む時刻だ。
ut「綺麗な夕日やなぁ〜。」
shp「ciの瞳と同じ色やね。」
ci「俺よりもっと綺麗やで。」
なんて会話をしていた気がする。
そんな時だった。
ciが急に道路へ飛び出したのだ。
いや、飛び出した…というか、突き飛ばされた…が正しいのだろうか。
ビニール袋が音を立てて地面に崩れ、ciは道路にバタンと倒れた。
俺は慌てて、大丈夫かと叫んだ。
shpは冷静にciを突き飛ばしたであろう人物の腕を捕らえた。
…事件が起きたのはその時だった。
冷静なshpに感動していると、後ろからバンッと車と何かが当たる音が聞こえたんだ。
ヒヤリ…と背中に嫌な汗が流れる。
shpの顔を伺うと、顔を真っ青にして固まっていた。
ゆっくり…ゆっくりと振り返ると、そこには車に跳ねられ、歩道に倒れたciがいた。
顔を顰めていて、ぐぅ…と唸っている。
俺は急いでインカムを繋いだ。
確か、もうその時には正常心は無かった。
shpは手を震わせながらもciに声をかけ続けていた。
ciの手がどんどんと白くなるのを見ながら。
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あれから、3日が経った。
俺も、shpも、なんとか正常心を取り戻していた。
ciはギリギリの所で一命を取り留めた。
今は病室で寝ている。
ciが起きた時、1人だと寂しいだろ、ということなので、shpと病室に向かっている。
shp「…ciを突き飛ばした奴、絶対に許さへんねん…。」
shpが捕らえた人間は、いつの間にかshpの腕から逃げ出してしまったらしい。
ciが意図的に狙われたのなら、まだこれからも狙われてしまうだろう。
これは、本人には伝えず、俺たちだけの作戦で留めている。
病室に行くと、額に手をやるciがいた。
意識が戻りかけている。
急いで駆け寄り、手を取った。
すると、ゆっくりと目を開けた。
ci「………。」
shp「…ci、聞こえるか。」
ciは自身の握られている手を見つめ、そして俺たちを交互に見た。
それから、ゆっくりとshpの訪ねに頷いた。
ut「よかった…、ほんま生きてて。」
「今、sn呼んでくるわ。shpはそこに居って。」
それから、一旦病室を出た。
snとciで診察をしているらしい。
時計の動く針を眺めながら、2人を待つ。
sn「…お待たせ、どうぞ中へ入りな。」
開いた扉を潜り、パイプ椅子に腰をかけた。
ciは眼鏡が無いからか、目を細めてこちらを見ている。
shpはすぐさまciの手を握った。
shp「…ci。」
ci「…shp、。」
可愛らしい後輩の再会を、ぼんやりと眺めていた。
すると、snは書類を持ってやってきた。
sn「…ciは、後天性無痛症になってる。」
後天性…無痛症…。
難しそうなその名を何度も唱える。
無痛症…ようやく理解をする。
ut「無痛症て…、痛み感じひんやつ?」
sn「そう、後天性無痛無汗症でもある。痛みや、熱を感じなくって、それに汗もかかない。」
「詳しい原因は不明。やけど、恐らく事故による神経負傷かなと推測しとる。」
ciはそれを聞きながらも、shpの手を眺めていた。
shpも同様。
ci「…俺、こんな包帯巻やけど、全然痛ないねん。」
sn「そう。そういうことやで。」
snは立ち上がり、俺とshpに手招きをして外へ出た。
少し出る…とciに伝えて病室を出る。
sn「2人には、ciの護衛を頼みたい。無痛症は結構厄介なんや。怪我や火傷に気付かないから、いつの間にか限界が来てたりもする。」
shp「…。」
sn「結構重要な役目。頼んでもええか。」
ut「イエス以外の返事なんて無いわ。」
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ci「俺、もう痛み感じひんねやろ?」
shp「…せやね。」
ci「じゃあ楽やね。zmさんとのタイマン勝てる気がしてきたわ〜。」
呑気にそんなことを言うciの額を軽くデコピンする。
ciは今なんかした?と笑いながら言った。
shpは少し悲しそうに俯いた。
ut「…お前、これからは自分の命もっと大切にせぇよ。」
ci「はーい。」
最後にわしゃわしゃと頭を撫でてやった。
そうして、病室を後にした。
ciは扉が閉じるまで笑顔で手を振っていた。
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そうして、1ヶ月ほど経った。
ciは護衛をしているので、大きな怪我はしていない。
まあ、小さな火傷…とかはあったが。
それで、俺とshpとciでまた買い物に行くことになった。
snから外出許可が下りたのだ。
ciは嬉しそうに俺たちの元へ駆け寄ってきた。
行きましょうって靴を素早く履き替えて。
ut「んんー…結構買ったなあ。」
sht「ci、真ん中歩いてくれ。」
ciを挟むように俺らが歩く。
shpは周りに警戒をしていた。
そして、その時がやってきた。
shpが足を蹴りあげた。
すると、男はがくりと地面に尻もちを付いた。
ciは驚き、俺はciを守る体制に入った。
shpはポケットから小型のナイフを取り出し、男に刃先を向けた。
shp「動くな。」
shpの声は驚く程に低かった。
殺意を含む声色だった。
男は数秒、俺たちを見つめていた。
それから…。
それから………?
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tn「甘味はもうええから、仕事やれ。」
gr「いやじゃー…。」
椅子に蕩けるgrをべしべしと叩いてペンを持たせる。
こいつ、何時になったら仕事やるってんだ。
呆れながら、大きくため息を付いた。
そんな時だった。
rbが大慌てでやってきた。
rb「至急!!集めてくれ!!」
なんてノートパソコンを片手に叫ぶものだから、俺も合わせて、インカムで叫んだ。
gr「どうしたんだ?そんなに慌てて。」
rb「…買い物に行った3人が、D国に攫われてもうた。」
「それで…こんな動画が送られてきてん。」
rbは震える手でなんとかパソコンを開く。
そこには、床に倒れているshpとut。
そして、椅子に縛られているciの姿があった。
皆はパソコンを掴むように集まった。
すると、男が1人前に出た。
mb『どーも。W国のみなさん。』
『私はD国の情報屋…とでもいいましょうか。』
男は、ciの髪の毛を掴んで、ciの顔を無理矢理カメラに向けた。
mb『この男、元情報屋なのですよ。ご存知でしょう?それで、こちらの情報が漏れないように…と処分を頼まれたのです。』
『随分と活きがよくてですねえ。簡単には死なないようです。』
『…軍医師さん。存じてますよ。彼が…無痛症なことくらい。』
そう言葉を発する。
何をするつもりだと、喉が音を鳴らした。
mb『こいつが、どこまで耐えられるのか。実験しようと思いましてね。ああ…ちゃんと、貴方たちにも権利があります。』
『W国の資産を渡しなさい。そうすれば、後ろの2人を返します。』
『…この男は、貴重な実験材料ですからねえ。資金も下さるのなら、お返しします。』
『いい返事を、期待してますね。電話番号はこちらです。どうぞ、返事が決まったら、こちらに。』
そして、画面が暗くなる。
zmが窓から外へ出ようとした所を、shoが止めた。
zmは結構キてるらしい。
かという俺もだ。
ut、shpを含め、大切な後輩が命の危機に晒されている。
そんなの、怒らない人などいない。
gr「…せんs」
kn「いや、ここは安全に行かんとやばいんちゃうか?」
gr「…そうだな。そうしよう。」
「じゃあ諸君!!大切な後輩の為に!!イザ!!」
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shp「ふ…ぐぅ、、。」
ut「ぁ"…い、ッ。」
痛そうに起き上がる2人。
そんな2人を、俺は見ていることしか出来ない。
なぜ、2人だけをいたぶるのだろう。
目の前にいた男は、何かを探しに出ていった。
だからといって、俺たちは皆縛られている。
動けない。
ci「shp!!ut先生!!」
shp「…ci!!怪我は!!」
ci「ない…と思うで!!」
自分の身体を見る。
目立つ怪我はない。
それよりも、頭から血を流している2人の方がやばいんじゃ…?
ci「ふたりッ…しなないでやッ、、。」
ut「死なん…。大丈夫やで。」
「多分、殴られてもうたんや。大きい怪我ちゃう。」
shp「俺も。ズキズキするだけや。」
怖い。怖い怖い。
何をされるのだろう。
shpとut先生が…最悪な事になってしまったらどうしよう。
俺だけ残ったらどうしよう。
焦って涙が出そうだ。
なんて、考えていると感じたのかshpが口を開いた。
shp「ciは泣き虫やなあ。大丈夫やで。今まで色んなことあったけど、俺ら生きてたやんか。」
ut「そー。神様に祈っとくか?」
ci「うんッ…2人がッ、死にませんようにッ。」
ut「生きて帰れますよーに。」
shp「ciが泣きませんよーに。」
ci「ぶふッ…なんやねん!!」
shp「ははは。」
shpの軽い冗談にケラケラと笑う。
すると、男が帰ってきた。
上がる口角を元に戻す。
mb「ああ…そうなの?資金も、資産もくれるんですか。」
「いやあ。非常につまらない。」
男は、shpとut先生に近寄った。
何をするの?やめて、そのナイフ…下ろして。
なんて思うが、2人が喋らないので、俺も2人に合わせて喋らなかった。
mb「よいしょ、これ持っとけ。」
ut「…あ"?」
男が、ut先生の膝にスマホを置いた。
そのスマホから、tn達の声が聞こえる。
電話でもしているのかな。
なんて、思う。
shp「c"iーーー!!!!」
急に大きな声を出すものだから、驚く。
2人の方に顔を向けると、いつも間にか男は居なくて、その代わりに青ざめた2人がいた。
電話からも叫び声が聞こえる。
どうしたのだろうか。
ut先生は吐いてしまった。
毒でも飲まされたのかと思い、冷や汗が出る。
shpは喉が掠れるまで俺の名を呼んでいる。
…なのに、段々と声が聞こえなくなる。
今気づいたが、俺自身も、声が出ていない。
なに?
何が起きているの?
そう思って、ゆっくりと俯いた。
俺の両足…。
膝から下が切り落とされて、赤黒い血が滝のように流れていたのを、俺は最期に見た。
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どうしたの?のような顔でこちらを見つめるci。
彼の両足は、膝から下を切り落とされた。
それなのに彼は平然としていて、ずっとこちらを見ている。
無痛症…その怖さに震えてしまう。
男も、その驚きの反応で腰を抜かしていた。
ciはそれでも、こちらを見ている。
喉が痛い。
それでも彼の名を呼び続ける。
ダメだ。死んでしまう。
いや、もう無理なんだ。
あんなんで、生きて帰れる訳…ないんだよ。
ciはようやく自身の状況を知った。
自分の足を見つめている。
切り落とされた膝から下は、切なげに落ちていた。
ciの血が、津波のようにこちらに流れてくる。
ut先生は耐えられなくて、吐瀉を続けている。
いや、これは俺も無理だ。
戦い、軍人という生き方をしていたので、人の死体や、血なんて心底平気だとばかり思っていた。
これは、この血は。
俺の大切な親友の中にあったもの。
彼を動かしていたもの。
それが、全て流れゆく。
もう、彼という存在が崩れていくように。
ciを見る。
ciは焦点をふんわりと虚空に浮かべて力なく椅子に縛られていた。
ああ、手遅れなんだと実感する。
スマホからは音割れのように叫び声が聞こえる。
音割れのほとんどが部長のようだ。
無痛症。
彼は、痛みなく死んでしまった。
幸せなのだろうか。
俺には分からない。
でも、彼は最期まで素敵だった。
綺麗な夕焼けを俺たちに見せてくれた。
もう…そんな夕焼けは、真っ白に消えてしまって。
しばらくして、大きな爆発音がした。
俺たちの前には、理性を失い暴れ散らかすzmさんの姿が現れた。
そんな彼に謝る。彼はボロボロと零れた涙を隠すように拭った。
それから、紐を解いてもらった。
ut先生は嘔吐で意識がぼんやりしているので、部長に抱き締められている。
こうでもしないと、もうメンタル的に終わっているのだろう。
俺はと言うと、emさんの肩を頼りに歩いて、ciの前に行く。
彼を優しく抱き締めた。
暖かい温もりはもうどこにも無い。
開いたままの白い瞳。
emさんとは違う。生きている活力が無い、白い瞳。
それを、emさんは優しく閉じてやった。
水色髪を、優しく優しく、時間の許す限りに撫でる。
頑張ったね。
頑張ったね。
ciは偉かったよ。
今日も、いままでも。
俺の尊敬する後輩で、親友だったよ。
もう、どこにもいないんだろうね。
天国?そんなものがあるだろうか。
天国に行ったって、幸せにはなれないかもしれないのに。
最期の最期に、自分の状態を見て、唖然と亡くなった彼。
もう、幸せになることなんてないだろうに。
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shp「ci、春になったよ。桜がな、綺麗やねん。」
「俺、外は嫌いやけどな、お前にそっくりな夕焼けが見れる時間は好きやで。」
ciと書かれた、小さな墓。
手を合わせて、そう伝える。
微かに、頭を撫でられたような気がした。
utは車椅子に乗りながら、泣いて手を合わせた。
ut「ごめ"んッ…ciッ…。」
フワリ。
風が、俺たちの頭を通る。
まるで、撫でるかのように。
チャラン。
首にかけている懐中時計が揺れた。
俺たちを抱き締めるかのように。
em「shpくん。行きましょうか。」
shp「…うん。」
kn「ut先生、行こか。」
ut「…。」
コメント
10件
涙で顔面土砂崩れなりそう。゚(゚´Д`゚)゚。
懐中時計をsyp君が持ってるのがいいな、 、、無痛症、、どんな感じなんだろう 風が来た時の描写が好きすぎるぅ!! 神作品ありがとう(ᐡ ̥_ ̫ _ ̥ᐡ)