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目を開けると、見慣れた自室の天井が目に飛び込んできた。柱に掛けた振り子式の掛時計は、午前二時を示していた。
(夢、か。でもやけに生々しかったな。あの女の人とマントの人物は何者だったんだ? それに最後だ。俺の姿をした奴から四条大橋の像を頭に送り込まれて、それが妙に危機感たっぷりで……)
醒め際の事象が頭からこびりついて離れず、蓮は寝間着浴衣を脱いだ。少し迷った後に衣装タンスから制服を取り出し、素早く着替えてそろそろと家を出た。
蓮は何かに導かれる思いで、静寂の京の都をひた走る。蓮の足音以外はほぼ無音で、なんとも物寂しい雰囲気だった。
数分走ると四条大橋が見えてきた。蓮は目を凝らし、コンクリートのアーチの下、鴨川沿いの草の道を歩く二つの人影を発見した。さらに接近した蓮は、二人が誰なのかに思いが至る。
(アキナにクウガか! けどなんでこんな時間にこんな場所にいるんだ? 父さんの事件が解決して、一度、神人の境界の関西支部に帰ったはず)
疑問を抱きつつ、蓮は二人にばれないようにそろそろと橋へと向かっていった。