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kaede🍁
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みら

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その日の夜。
渡辺と宮舘は家のソファに並んで座っていた。
渡辺は、さっきから何度も左手を持ち上げては、薬指の指輪を眺めていた。
「……やっぱいいな。」
「何が?」
「これ。」
渡辺が左手を見せる。
形は変わったけれど、間違いなく宮舘からもらった大切な指輪。
一週間何もなかった場所に戻ってきたことが、まだ嬉しくて仕方なかった。
宮舘はそんな渡辺を見て、穏やかに笑う。
「気に入った?」
「当たり前じゃん。」
「よかった。」
渡辺はまたしばらく指輪を眺めていたけれど。
ふと、不思議そうに首を傾げた。
「でもさ。」
「うん?」
「指輪、直るの早くなかった?」
「……。」
「最短でも二週間って言ってたじゃん。」
修理に出してから、まだ一週間。
しかも、ただ石を入れ直しただけではない。
石が外れにくいようにデザインまで作り直されている。
「こんな早くできるもんなの?」
宮舘は少し黙ったあと。
「ああ、それね。」
と笑った。
「実は、最初からスタッフさんと相談してたんだ。」
「……は?」
渡辺が宮舘を見る。
「いつから?」
「翔太の指輪の石がなくなった日。」
「そんな早く?」
「うん。」
宮舘は渡辺の左手を取った。
「あの日、翔太が本当に落ち込んでたから。」
みんなの前でも隠せないくらい。
何度も謝って。
石がなくなった指輪を見つめていた。
「普通に直して渡すより、何かできないかなって思ったんだ。」
「……それで?」
「ちょうどケーキの食リポ撮影があるって聞いてたから、スタッフさんに相談したの。」
渡辺の目が少し大きくなる。
「じゃあ、あのケーキも?」
「かなり前から準備してもらってた。」
「マジかよ……。」
「前にプロポーズした時と同じデザートを再現できないかってお願いして。」
「……。」
「指輪のお店にも事情を話して、撮影日に間に合うように急いで直してもらった。」
「全然知らなかった。」
「知られたらサプライズにならないからね。」
「……涼太、普通にしてたじゃん。」
「頑張りました。」
宮舘が少し得意そうに笑う。
渡辺も思わず笑った。
でも。
そこで一つ気付く。
「……待って。」
「何?」
「じゃあ三日後に涼太の指輪の石なくなった時は?」
宮舘の笑顔が止まった。
「……あれは本当に予定外。」
「だよな。」
「ものすごく焦った。」
「そうだったの?」
「うん。」
宮舘は自分の左手を見る。
「翔太には言わなかったけど。」
その頃にはもう。
渡辺の指輪を丈夫な形に直して、ケーキと一緒に返す計画が動き始めていた。
そんな時。
自分の指輪からも石がなくなった。
「見つけた瞬間、頭真っ白になった。」
「……。」
「指輪が壊れたこと自体も悲しかったけど。」
宮舘は苦笑する。
「サプライズ、失敗するんじゃないかと思って。」
「そっちもあったんだ。」
「うん。」
渡辺の指輪だけ直してもらう予定だったのに。
ペアリングのもう片方まで壊れてしまった。
同じ形に作り直せるのか。
撮影日に間に合うのか。
そもそも二つ同時に修理できるのか。
「内心、結構パニックだった。」
「全然見えなかった。」
「本当に?」
「いや……落ち込んでるのはめちゃくちゃ分かった。」
渡辺は思い出す。
石のなくなった指輪を見つめて。
『翔太の気持ち、分かった』
と呟いていた宮舘。
「あれ、演技じゃなかったんだ。」
「当たり前でしょ。」
「サプライズのために落ち込んだふりしてんのかと思った。」
「そんな器用なことしないよ。」
「涼太ならやりそう。」
「しない。」
二人で小さく笑った。
「でも結果的には。」
宮舘が二人の左手を並べる。
「二つとも一緒に直せた。」
同じように。
前より丈夫な形になった指輪。
「お店の人も急いでくれて、スタッフさんも最後まで協力してくれて。」
「……そっか。」
「だから今日、無事に翔太に渡せて本当によかった。」
渡辺はしばらく二つの指輪を見つめていた。
自分が落ち込んでいた一週間。
宮舘は隣で慰めながら。
裏ではずっと、自分を喜ばせるために動いてくれていた。
そう思ったら。
また目の奥が熱くなる。
「……やば。」
「翔太?」
「今日もう散々泣いたから泣きたくない。」
「泣いていいよ。」
「嫌だ。」
そう言いながら。
渡辺は宮舘の肩に頭を預けた。
「……ありがと。」
「うん。」
「俺のためにそこまでしてくれて。」
「俺がしたかっただけだから。」
「それでも。」
渡辺は宮舘の左手を握る。
二つの指輪が隣り合う。
「めちゃくちゃ嬉しかった。」
「よかった。」
「ケーキ出てきた瞬間、ほんと何も考えられなくなった。」
「すごい顔してたね。」
「言うな。」
「泣いてた。」
「知ってる。」
「かわいかった。」
「うるさい。」
渡辺は照れ隠しのように宮舘の肩へさらに顔を埋めた。
宮舘が笑いながら、その頭を撫でる。
しばらくして。
渡辺が小さく呟いた。
「……今度は大丈夫だよな。」
「指輪?」
「うん。」
「前よりずっと丈夫にしてもらったよ。」
「そっか。」
「でも、もしまた何かあっても。」
宮舘は渡辺の手を握り直した。
「また二人で直そう。」
渡辺は指輪を見つめて。
今度は安心したように笑った。
「……うん。」
壊れないことも大切だけれど。
もし壊れてしまっても。
二人で直して、また同じ指につければいい。
その夜。
渡辺は眠る直前まで何度も左手を眺めては――
そのたびに隣の宮舘まで確認して、嬉しそうに笑っていた。
___________
後日、メンバー全員が楽屋に集まり、ケーキの食リポ企画の放送を見ていた。
「……俺、これ見たくないんだけど。」
始まる前から渡辺は嫌そうだった。
「なんで?」
宮舘は隣で穏やかに笑っている。
「なんでって……俺、めちゃくちゃ泣いただろ。」
「泣いてたね。」
「カメラとか完全に忘れてたから。」
「いいじゃん。素直で。」
「よくない。」
渡辺はクッションを抱えて、半分くらい顔を隠した。
___________
放送が始まる。
前半は普通の食リポだった。
佐久間が大袈裟に美味しさを表現して。
康二が笑いを取って。
深澤が進行して。
いつもの賑やかな番組。
そして終盤。
画面にテロップが出た。
『しかし、この日の最後には――宮舘から渡辺へ秘密のサプライズが』
「うわぁ……。」
渡辺がさらにクッションへ沈む。
「始まった!」
佐久間は嬉しそうだった。
スタッフは。
本当に丁寧に編集してくれていた。
指輪の石がなくなってしまったこと。
渡辺がひどく落ち込んでいたこと。
三日後には宮舘の指輪まで同じように壊れてしまったこと。
二人の指輪が修理に出されたこと。
VTRで分かりやすく説明される。
そして。
あのガトーショコラが運ばれてきた。
画面いっぱいに映る。
『翔太 これからも俺の隣で笑っていてください』
「……これ知っててもくるな。」
岩本が呟く。
「分かる。」
阿部も静かに頷いた。
さらに。
リングケースを見つけた渡辺の表情。
宮舘がケースを開ける瞬間。
二つの指輪。
『二人の指輪を、作り直してもらった。』
その言葉と一緒に。
以前の指輪と、新しく生まれ変わった指輪の写真まで比較して映された。
「スタッフさん、編集上手すぎない?」
深澤が言う。
「映画みたいになってるじゃん。」
「俺こんな泣いてた?」
渡辺が絶望する。
「泣いてたよ。」
宮舘が答える。
「涼太、楽しそうだな。」
「いい思い出だからね。」
「俺は恥ずかしい。」
そう言いながら。
渡辺の左手は自然と宮舘の手に重なっていた。
___________
そして。
宮舘が渡辺の薬指へ指輪を戻す場面。
『おかえり。』
渡辺の小さな声まで、ちゃんと入っていた。
「無理!」
渡辺がとうとうクッションで顔を全部隠した。
「そこ使われた!」
「いいところじゃん!」
佐久間は既に泣いている。
「翔太よかったねぇ!」
「佐久間また泣いてんの?」
「だっていい話なんだもん!」
阿部も目元を押さえる。
「改めて見ると感動するね。」
目黒が隣で頷く。
「指輪が戻ってきた時のしょっぴー、本当に嬉しそう。」
「言うな。」
「いい顔してるよ。」
「言うな。」
最後は。
泣きながらガトーショコラを食べ、
『……美味い。』
としか言えなかった渡辺で綺麗にオチがついていた。
スタジオの出演者からも笑い声。
テロップには。
『末永くお幸せに!』
「スタッフさん……。」
宮舘が嬉しそうに笑う。
「ありがたいね。」
「俺、一生これ残るの?」
「残るね。」
「……恥ず。」
そう言う渡辺の顔も。
少しだけ嬉しそうだった。
___________
放送が終わる頃。
「ラウ、SNSどうなってる?」
康二が聞いた。
「今見てる。」
ラウールがスマホを操作する。
そして。
「……あ。」
「何?」
「すごいことになってる。」
全員がラウールを見る。
「何が?」
「今回のサプライズだけじゃない。」
ラウールが読み上げる。
「『めめあべの婚姻届騒動があって』」
阿部と目黒が顔を見合わせる。
「『その後にいわふかのプロポーズがあって』」
今度は深澤と岩本。
「『今度は舘さんがしょっぴーに指輪のサプライズ』」
渡辺が嫌な予感のする顔になる。
「……それで?」
ラウールが笑った。
「みんな、Snow Manはどれだけメンバーにサプライズするのって。」
「確かに。」
阿部が笑う。
「最近多いね。」
「多いどころじゃないよ。」
ラウールがスマホを見せる。
「トレンド入ってる。」
「何が?」
「これ。」
そこには。
『SnowManサプライズ大好き』
「やめろ!」
渡辺が叫んだ。
全員が爆笑する。
「待って、俺らそんなサプライズ好き?」
深澤が聞く。
「ふっかさんが言う?」
ラウールが笑う。
「自分が逆プロポーズ仕掛けようとしたら、岩本くんに逆サプライズされた人。」
「それは事故。」
「事故じゃないでしょ。」
岩本が笑う。
阿部も他人事のように笑っていると。
ラウールが次を見る。
「あべちゃんもだからね。」
「俺?」
「婚姻届騒動の発端。」
「……。」
目黒が阿部の腰を抱く。
「俺は楽しかったよ。」
「めめはそうだろうね。」
「そして今回。」
ラウールが渡辺と宮舘を見る。
渡辺は即座に言った。
「俺は何もしてない。」
「翔太は完全に仕掛けられた側だね。」
宮舘が穏やかに笑う。
「喜んでくれてよかった。」
「……喜んだけど。」
「よかった。」
渡辺が照れて顔を逸らす。
ラウールはさらにSNSを眺めて。
楽しそうに笑った。
「『次にサプライズされるメンバー予想』まで始まってる。」
「やめて!」
「誰が一位?」
「佐久間くん。」
「俺!?」
「楽しそうだから。」
「じゃあやって!」
「乗り気になるな!」
全員が笑った。
恋人へ。
大切な人へ。
どうしても伝えたい気持ちが大きくなりすぎると。
なぜか普通に伝えるだけでは終わらない。
婚姻届。
逆プロポーズ。
そして、思い出のケーキと生まれ変わった指輪。
気付けばファンにまで、すっかり見抜かれていた。
その日のSNSには夜遅くまで――
「SnowManサプライズ大好き」
の文字が並び続けていた。
コメント
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おはようございます☀ 一気に読みました。 最初は破茶滅茶 嫉妬の嵐が一転 指輪の石💍どうなるかと ❤️も考えたね 波乱があったけど 無事二つ帰って来て 渡せて🥰 3組それぞれのサプライズ 素敵です💓
素敵、プロポーズの指輪💍って忘れられない、贈った方より受け取った方がより鮮明に覚える💙良かったね😭