テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
‐西原視点‐
最近、休日に近所の公園で、若い男性が薄着でジョギングをしているという噂を耳にした。
たまに、肌を晒しても羞恥心を感じなくなる年頃のおじさんやおじいちゃんが、薄着でジョギングをしてるとこなら見た事はある。
でも、若い男性で薄着をしてジョギングしてるのを見た事は一度もない。
整備された歩道は、ぐねぐねと曲がる事が多かったり、斜面になっていたりと、正直トレーニングでは使いづらい場所だ。
前までは栄太郎を送った後に、自主トレするために利用していたけど、最近は部活にちゃんと顔を出すようになったからサッパリ行っていない。
若くて薄着の男性ねぇ、そんなの、興味はな……くはないけど、気になる部分が多いのよね。
曰く、薄着なのに、恥ずかしそうなそぶりを見せず堂々としている。
曰く、ジロジロ見ていたら目が合ってしまったけど、笑顔で会釈された。
曰く、若作りとかではなく、どうみても高校生くらいの少年だった。
休日の公園で、薄着でジョギングをしてる男性。一体何太郎なのかしら。
はぁ、なんだか休日の早朝に起きて、近所の公園でトレーニングがてらジョギングしたい気分になってきたわ。
というわけでやって来ました。早朝の近所の公園。
朝の6時だというのに、ジョギングをしていたり、犬を連れての散歩をしてる女性が多いこと多いこと。
誰もが公園に新しい人が来ないかチラチラしたりして、何かに気を取られているように見える。
そんな女性ばかりの公園に、一定のリズムで息を弾ませる男性の声が聞こえてきた。
予想通り、栄太郎だ。薄着の。
地肌、というか胸元、というか乳首が透けて見えそうな白のTシャツを着て、公園を走る栄太郎。
あからさまな注目を受けているというのに、まるで気にした様子もなく走り続けている。
思わず大きなため息を吐いてしまった。どうしたらあんな格好で恥ずかしげもなく出歩けるのか、理解が出来ない。
「おはよう」
走る栄太郎の元へ向かい、並走しながら声をかける。
「おっ、おはよう。京ちゃんもこの公園使ってるのか?」
「普段は別の場所よ。今日は軽く流そうと思って来ただけ。えー君は?」
「俺か? 俺は日曜にここでジョギングしてるんだ」
「ふーん」
並走をしながら適当に会話。
道中で栄太郎を見てくる女に「私の彼氏に何か用?」と言わんばかりに睨みつける。
中には栄太郎に声をかけて来る人もいるので。
「そろそろ30分か……」
スマホで時間を確認する栄太郎。
気が付けば、30分が経っていた。
「俺はそろそろ帰るけど、京ちゃんはどうする?」
「そうね。家まで送っていくわ」
「相変わらず過保護だな」
過保護ぉ!?
ただでさえ透けそうな白いTシャツが、汗を吸って地肌が透けて見えてるのに何言ってるの?
スケベが服着て歩いてるような格好して、一人で帰るつもりだったの?
というか、いつもそんな恰好で公園から帰ってたの?
いまだに目の前で「ハハッ」と軽く笑う幼馴染に「そうね」と言って苦笑いで返してやったわ。
嫌味が通じてないのか「それじゃあ帰ろうか」と言いながら、服の裾で顔を拭き始めた。
人の事を過保護と言うなら、もうちょっと自分の行動を改めて貰えませんかね?
栄太郎を家まで送り届けた。
そして家の中まで送り届けた。
栄太郎が「どこまでついて来るの?」とか言ってくるけど、今は無視。
そのまま一緒に居間まで歩いていく。
「おや、京ちゃんじゃないか。こんにちわ」
居間には栄太郎のおじさまが居た。
これは手間がハブけて良いわ。
「こんにちわ。おじ様。いきなりですけど、コイツのジャージ買いに行くので、栄太郎を家から出ないようにして貰って良いですか?」
「おぉ、京ちゃんお願い出来るかい? 俺や妻が言っても栄太郎のやつは聞いてくれなくて困ってたんだ。年頃の息子だから心配でね」
「そうですね。私は一旦かえってシャワーを浴びてからまた来ますので」
とりあえず伝えることは伝えたので、一旦帰るために玄関まで向かう。
「それなら京もウチで浴びてくか?」
「シャワー浴びても着替えがないでしょ」
大体、そこは「一緒に入らない?」でしょ!
……おっと。
全く、デリカシーがないを通り越して心配になってくる。
そういえば前に大倉さんが「あっ、島田君って、貞操観念が逆転したエロ本に出てくる男の子みたいだよね!」と言ってたのを思い出す。
確かに言動は男っぽくない。どちらかというと女性寄りだ。
大倉さんが「あっ、もし貞操観念が逆転した世界に行ったら、私も島田君みたいに胸とか出してチヤホヤされたい」なんて熱弁してたっけ。
まさか、栄太郎のやつ、本当に貞操観念が逆転した異世界から?
(※京の妄想シーンです)
「ねぇ、えー君。えー君ってもしかして、貞操観念が逆の世界から来たんじゃないの?」
「京ちゃん、なぜそれを!?」
「だって、もし私が逆の立場だったら、胸とか出してスケベしたいもん。えー君と」
「京ちゃんにはバレバレだったか。そうだよな、貞操観念が逆の世界の男と女だもんな。お互いスケベに決まってるか」
「うん。そうだね。そうだよね!」
「なぁ京ちゃん、スケベしないか?」
「えー君……スケベしよ」
……なわけないか。
ちょっと大倉さんに毒されてたのかもしれない。
貞操観念が逆転した世界?
スケベが好きな男性?
そんなのは都合の良い妄想でしかない。
緩み切った頬を、両手でパンと叩く。
アホな事考えてないで、栄太郎のジャージをどこで買うか考えよう。
後日、買ってあげたジャージを早速栄太郎が着ていた。
ジョギングをして火照った体を冷ますために、ジャージの胸元を開ける姿は、薄着の時よりも余計にエロくなっていた。なんでよ!?