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ー勇者。
人類の守り人にして伝説級の英雄。
真祖の天敵。過去に魔王との相打ちで敗れたが、その血脈は守られていた。
勇者の里で勇者を異世界から複数名召喚したという情報がレヴナント政府にもたらされた。
その時期とほぼ同時に各地で魔族狩りや人間種による指名手配犯の粛清が始まる。
ティアナ達よりも先に手配犯を撃破し、報酬金を得ては、大きい街にあるカジノやレジャー施設で使っているらしいとも。
ティアナが撃破した指名手配犯は先のオリバーを入れて17体。
指名手配犯は現在26体そのうち9体が何者かにより撃破される。
この事態に人間の中では勇者の出現を喜び、魔王討伐を希望する声もある。
一方ティアナは魔王としては未熟で未だ支配領土はあるものの認知度は低い。
ー勇者召喚後新たな問題が起きた
事件とは関係のない一般庶民をも殺害する勇者パーティーの行動だ。
条約により、犯罪行為をしていない、武装をしていない、民間人への攻撃は重罪であり、勇者パーティーも法令により犯罪行為とされ、今回のターゲットとなっていた。
通告、警告、勧告にも応じずに、経験値稼ぎと称して、ティアナを見つけ集団で襲いかかる。 ティアナは攻撃を見切り反撃をしてゆく。
ウィエも麻痺のナイフで勇者パーティーの後衛を足止めした。
戦闘はあっけなく終わるが、勇者達はティアナを睨みつけ
「邪悪な魔族のくせに!人間を開放しろ!!」と叫ぶ
「あなた達のしたことは罪もない民間人への殺害は犯罪です!」
ティアナも負けじと反論するが聞く耳をもたない。
「魔族なんて人間に討伐されるだけの踏み台だろう?」
「物理攻撃が通用しないとかどういうチートだよ?マジでゴミゲー」
どうやら異世界はゲーム感覚で通用する世界だと思っているようだ。
「アンタ達の世界は公務員が遊び半分で他所の国の市民を殺していいわけ?」
ウィエが苛つきつつも問いかける。
「勇者は人類の代表であり、いうなれば公務員のようなもの国に雇われ、国の法に従う」
「勇者の国でも犯罪歴のないレヴナントへの殺害は犯罪行為とみなされる。」聞いていない、知らないでは済まされないとウィエは続けるが、効果はなく未だにゲームの世界の法律に従う義理はないと、咎める声も無視している。
もう何を言っても無駄だとして、警察官へ引き渡し任務完了。
仕事終わりの居酒屋にて
「遊び半分でレヴナント殺しとか勘弁してほしい。」
ウィエはビール片手に唐揚げをつまみながら、ぼやいている。
「230年生きてきて、こんな事件は聞いたことがないよ」とも言いつつも居酒屋自慢の料理に夢中になっている。
ティアナは適当に相槌をうちながらも初めて飲む異世界のビールに感動していた。
喉越しとキリッとくるホップの苦味が食欲をそそる。
「この世界をゲームと同じ感覚で過ごしていいものと思っているのでしょう。」
彼らは間違いなく現世からの転移してきた者たちだ、恐らく学生だろう。
自分たちだけ良ければそれでいいという自己中心的な思考の持ち主だった
命のやり取り等とは無縁だった世界にいて、いざ粛清任務となったとき私には恐怖と罪悪感があった。レヴナントは十分な血があれば心臓を完全に破壊しない限り、自我を持って生き返る、血が不十分だと自我を犠牲に生き返る。
心臓を完全に破壊するには貴金属出できた銃弾やナイフが必要だ。
一般庶民は手が出せない高価な品を持っていた彼ら、勇者の里はそんなに資金が潤沢なのか?レヴナント政府との取り決めで、レヴナントを殺せる武器の製造、所持は制限されている。彼らに武器を与えている何者かがいる?ティアナは今回のターゲットの裏に組織がいるのでは?とウィエにたずねてみるとウィエも
「確かにその可能性は高いね。持っていたナイフ一本100万位はするよ、異世界から持ってきたか、誰かに提供されたのか?とにかく彼らが持っているのは不自然だった。」貴族に見えなかったしと続ける。
そんな話をしていると、携帯無線が鳴り響く
「緊急事態です!!今朝逮捕された勇者達が脱走しました!!連中は警備をかいくぐり執政官の館に突撃し、現場には召喚されたルーンドラゴンが二体警察と軍と交戦中とのこと、応援を頼むと長官からの伝言です。」
ナーヴェからの緊迫した声で非常事態だとわかり、ティアナ達は現場に向かう。
「ルーンドラゴン 魔術を無効化するスキルを持った魔術師には厄介な相手だね。」
走りながらウィエがつぶやく。
でもドラゴンは任せて♪とウィエは余裕である
魔術攻撃が主体のウィエでは不利では?ティアナは疑問を覚える。
現場にたどり着くと、血の匂いに焦げた匂いが混ざり合い、まさに地獄と化していた。
「ティアナ様!ウィエ様!こちらです!」負傷者の手当をしながらナーヴェは防壁を貼りドラゴンの攻撃に耐えている。
「ドラゴン,,,」ドラゴンはティアナ達に気づきけたたましい咆哮を上げ空から襲いかかる
紙一重で攻撃を回避し飛びかかり一太刀を当てるが、致命傷には程遠い
執政官の館内から爆炎が上がり一気に館内にいた軍人たちは吹き飛ばされた。
「館内では、執政官が残り脱走した勇者と戦っています!」火傷を負いながらも必死で、状況を説明する軍人。ウィエはここは任せてと言い、
ティアナはウィエを信じて館内へと乗り込むのだった。
終わり