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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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🟪side


現在時刻、深夜十二時。

深い暗闇に辺りが包まれていく。


今日は、ホワイトデー。

一ヶ月前のバレンタインデーではオルカから、ココアを貰った。


実際、俺もバレンタインデーに香水をプレゼントしたが、日々のお礼も兼ねてサプライズを計画していた。


🟪「喜んでくれるかな、」

深呼吸をしてから、通話をタップした。


ツー、ツー、


🟪「もしもしオルカ、今忙しいか?」

🔯「おー、ハン!ちょっと今対応中だ。」

電話の奥でサイレンが鳴り響いている。


🟪「分かった、落ち着いたら教えてくれ。」


🔯「たぶん今日は、これで大型の事件対応終わりだと思うから、家で待ってくれるか?」

🟪「うん、待ってるわ。」


🔯「あと二十分後くらい に帰るから好きなことをして、待っててくれ。」

🔯「じゃあ、またなハン。」

🟪「後でな〜。」



警察署内の一角を借りた部屋で、一息つく。

前に買ったダサいTシャツに着替える。


案外ゆるくて着やすい。

🟪「よし、オルカが帰ってくる前に準備しよう。」


いつもは コーヒーだったり、ホットミルクだか、大切な記念日などはココアを淹れると決まっている。

オルカを思い、丁寧に。


まずは、平たい小鍋にココアパウダーを混ぜ入れ、水で練る。そこに牛乳を注いで、焦げないように混ぜる。

前は、焦がして怒られたっけ。


好みの甘さになるまでグラニュー糖を足していく。


ふわりと心地よい香りがする。

ペアカップをお湯で温め、オルカ の帰りを待った。

🔯side

お昼頃は暖かかったが帰ってくる頃には、体の芯が冷え切るくらい、今晩は寒かった。


緊迫した状況が落ち着き、安心してふぅと息を吐いた。


今日は警察官のダウンが目立ったが、救急隊との連携でなんとか食い止めることが出来た。


何名かの切符を切り、プリズンに送る。

本署に帰り、ハンの元に向かう。



🔯「おっと、約束に遅れちゃう!」

署長とお話をしていたら、あっという間に約束の時間になった。


🔯「また、話をして くれ!」

🐴「おう、お疲れさん。」


カタンカタンとリズム良く階段を降りていく。


🔯「オルカ退勤するぞー、皆おやすみ〜」

「「「お疲れ様〜!」」」



無機質なドアを開けると、ふわりと甘い香りがした。

さては、ココアだなー。


🔯「ハン、ただいまー!」

🟪「おう、お帰りオルカ。」


警察署を建て替えてから、この部屋に帰るのが日課になってきている。


キッチンに立つハンの腕 に抱きついた。

🔯「あ、やっぱりココアだ!」


🟪「そうだ、オルカの好きなココアだぞ。」

🟪「先に着替えて座ってな、疲れただろう。」


ハンはやっぱり優しい、ギャングだけど。

前、お揃いで買ったダサいピザのTシャツとスウェットに着替える、


鏡の前で、見てみるが やっぱり面白い。

🔯「ハン〜、やっぱりダサいぞこのTシャツ。」

🟪「俺は案外、気に入ってるけどな〜。」


コトンと、マグカップが置かれる。

オルカ好みのミルクたっぷりなココアだ。


懐かしい匂いがする。


🟪「オルカ、いつもありがとう。」

🔯「なんだ急に畏まって。」

いつもより緊張した様子で、ハンがこちらに細長い箱を差し出してきた。


🟪「ホワイトデー、バレンタインのお返しに。」

🔯「いいのか、オルカばっかり貰ってるぞ。」


🟪「日頃のお礼だ。」

深い青の箱の蓋を開ける。


キラリと光る銀のネックレスが入っていた。


🔯 「わ〜、綺麗だ!」

🟪「つけてみるか?」


はらりと髪の毛を掬われる。

金属の冷たさが肌に伝わって、鏡を向けられた。




🟪side

思ったとおり、彼女に似合っていた。

🔯「わ〜!凄い、可愛い!」


シンプルなデザインのネックレス。

アクアマリンが控えめに光る。


笑う彼女は眩しすぎるほどに純真で、可愛らしい。


🟪「似合ってるな〜。」

🔯「ハンのセンスがいいんだよ。」


大きく伸びをする。

🟪「眠いか?お疲れ様だな。」

🔯「ハンもお疲れ様、今日は何してたんだ?」


🟪「んー、秘密。」


ずっと、いつ渡すかタ イミングを見計らってたなんで、言えない。

🔯side

🔯「まあ、言えないこともあるよ。」

ふわあぁ、とハンがあくびをすると、オルカも釣られてあくびをした。


🟪「さあ、ココア飲んでゆったりしよう。」

熱々のココアは、とろけるほど美味しい。


🔯「うん、猫一緒に見よ〜。」

ハンの片腕を枕にする。


やっぱり、ハンの腕は安心する。



今はこれでいい、

幸せなまま、この街にいたい。


いつか、本当のことを言わなくてはいけないときがきても、

きっとハンは、わたしの隣にいてくれるはずだから。


だ から、


危ない、本音が頭の中で巡ると涙が出るんだった。



ぎゅっと目をつむり、ハンの横顔を眺める。


じわりと身体が暖かくなって、幸せだと心から思った。




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