🟪side
現在時刻、深夜十二時。
深い暗闇に辺りが包まれていく。
今日は、ホワイトデー。
一ヶ月前のバレンタインデーではオルカから、ココアを貰った。
実際、俺もバレンタインデーに香水をプレゼントしたが、日々のお礼も兼ねてサプライズを計画していた。
🟪「喜んでくれるかな、」
深呼吸をしてから、通話をタップした。
ツー、ツー、
🟪「もしもしオルカ、今忙しいか?」
🔯「おー、ハン!ちょっと今対応中だ。」
電話の奥でサイレンが鳴り響いている。
🟪「分かった、落ち着いたら教えてくれ。」
🔯「たぶん今日は、これで大型の事件対応終わりだと思うから、家で待ってくれるか?」
🟪「うん、待ってるわ。」
🔯「あと二十分後くらい に帰るから好きなことをして、待っててくれ。」
🔯「じゃあ、またなハン。」
🟪「後でな〜。」
警察署内の一角を借りた部屋で、一息つく。
前に買ったダサいTシャツに着替える。
案外ゆるくて着やすい。
🟪「よし、オルカが帰ってくる前に準備しよう。」
いつもは コーヒーだったり、ホットミルクだか、大切な記念日などはココアを淹れると決まっている。
オルカを思い、丁寧に。
まずは、平たい小鍋にココアパウダーを混ぜ入れ、水で練る。そこに牛乳を注いで、焦げないように混ぜる。
前は、焦がして怒られたっけ。
好みの甘さになるまでグラニュー糖を足していく。
ふわりと心地よい香りがする。
ペアカップをお湯で温め、オルカ の帰りを待った。
🔯side
お昼頃は暖かかったが帰ってくる頃には、体の芯が冷え切るくらい、今晩は寒かった。
緊迫した状況が落ち着き、安心してふぅと息を吐いた。
今日は警察官のダウンが目立ったが、救急隊との連携でなんとか食い止めることが出来た。
何名かの切符を切り、プリズンに送る。
本署に帰り、ハンの元に向かう。
🔯「おっと、約束に遅れちゃう!」
署長とお話をしていたら、あっという間に約束の時間になった。
🔯「また、話をして くれ!」
🐴「おう、お疲れさん。」
カタンカタンとリズム良く階段を降りていく。
🔯「オルカ退勤するぞー、皆おやすみ〜」
「「「お疲れ様〜!」」」
無機質なドアを開けると、ふわりと甘い香りがした。
さては、ココアだなー。
🔯「ハン、ただいまー!」
🟪「おう、お帰りオルカ。」
警察署を建て替えてから、この部屋に帰るのが日課になってきている。
キッチンに立つハンの腕 に抱きついた。
🔯「あ、やっぱりココアだ!」
🟪「そうだ、オルカの好きなココアだぞ。」
🟪「先に着替えて座ってな、疲れただろう。」
ハンはやっぱり優しい、ギャングだけど。
前、お揃いで買ったダサいピザのTシャツとスウェットに着替える、
鏡の前で、見てみるが やっぱり面白い。
🔯「ハン〜、やっぱりダサいぞこのTシャツ。」
🟪「俺は案外、気に入ってるけどな〜。」
コトンと、マグカップが置かれる。
オルカ好みのミルクたっぷりなココアだ。
懐かしい匂いがする。
🟪「オルカ、いつもありがとう。」
🔯「なんだ急に畏まって。」
いつもより緊張した様子で、ハンがこちらに細長い箱を差し出してきた。
🟪「ホワイトデー、バレンタインのお返しに。」
🔯「いいのか、オルカばっかり貰ってるぞ。」
🟪「日頃のお礼だ。」
深い青の箱の蓋を開ける。
キラリと光る銀のネックレスが入っていた。
🔯 「わ〜、綺麗だ!」
🟪「つけてみるか?」
はらりと髪の毛を掬われる。
金属の冷たさが肌に伝わって、鏡を向けられた。
🟪side
思ったとおり、彼女に似合っていた。
🔯「わ〜!凄い、可愛い!」
シンプルなデザインのネックレス。
アクアマリンが控えめに光る。
笑う彼女は眩しすぎるほどに純真で、可愛らしい。
🟪「似合ってるな〜。」
🔯「ハンのセンスがいいんだよ。」
大きく伸びをする。
🟪「眠いか?お疲れ様だな。」
🔯「ハンもお疲れ様、今日は何してたんだ?」
🟪「んー、秘密。」
ずっと、いつ渡すかタ イミングを見計らってたなんで、言えない。
🔯side
🔯「まあ、言えないこともあるよ。」
ふわあぁ、とハンがあくびをすると、オルカも釣られてあくびをした。
🟪「さあ、ココア飲んでゆったりしよう。」
熱々のココアは、とろけるほど美味しい。
🔯「うん、猫一緒に見よ〜。」
ハンの片腕を枕にする。
やっぱり、ハンの腕は安心する。
今はこれでいい、
幸せなまま、この街にいたい。
いつか、本当のことを言わなくてはいけないときがきても、
きっとハンは、わたしの隣にいてくれるはずだから。
だ から、
危ない、本音が頭の中で巡ると涙が出るんだった。
ぎゅっと目をつむり、ハンの横顔を眺める。
じわりと身体が暖かくなって、幸せだと心から思った。
コメント
4件
最高です! それと、フォローありがとうございます!!m(._.)m
最高すぎるんだが!!
はう,,,純粋,,,さ,,,で,めさ,,れそ,,う