テラーノベル
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人生とは一体、こういうものなのだろうか――。
これまで生きてきた中で、
ふとそんなことを考える瞬間は何度もあった。
朝目覚めたときの静かな檻の中で、独り、
胸の奥に小さな問いが浮かぶ。
「自分はなぜ今ここにいるのだろう」
「この日々に意味はあるのだろうか」
日々の中で小さな悩みや迷いは
尽きることがなかった 。
人間関係のすれ違い、
将来に対する漠然とした不安。
それでも、心のどこかで
「生きていてよかった」
と思える瞬間があるから、
僕は今日まで歩んでこられたのだ。
友人たちと笑い合う時間。
どうでもいい話で大声を上げて笑い、
思いがけない幸せに出会う瞬間。
電車の窓からふと見えた夕焼けが、
まるで世界を祝福しているように
輝いていたとき。
誰かの何気ない優しさに触れ、
胸が熱くなるような景色を目にしたとき。
そんなひとときがあるからこそ、
僕は毎日を生きてこられたのだと思う。
ほんの一瞬でも、命が光を帯びる時間がある。それを支えにして、僕はなんとか自分を保ってきた。
しかし、ときどき、ほんの一瞬だけ、
人生の意味を見失うような感覚に囚われることがあった。
それは深く考え込むわけではなく、
胸の奥の暗がりから、かすかに湧き上がってくる霧のような感情。
意識していなくても、その霧は確かに存在し、ふとした拍子に僕の心を覆い尽くす。
普段はすぐに消えてしまうそれが、
ある日、決定的な形で僕を飲み込んだ。
「◯◯さんが、亡くなりました。」
その知らせを耳にしたとき、僕の胸に最初に
浮かんだのは
――羨ましい、
という気持ちだった。
自分でも驚いた。
その瞬間の自分を、今でもはっきりと思い出せる。
決して、死にたいわけではない。
自分の命を投げ出したいと思ったことなど、
一度もなかったはずだ。
それでもそのとき、
どうしようもなく心の奥底から、羨望にも似た感情が、自然と湧き出てしまったのだ。
あの人はもう、迷わなくていい 。
苦しまなくていい。
僕だけが取り残され、重たい現実を背負い続けるような 錯覚に襲われた。
あの日から、僕の世界は急に色あせて見えるようになった。
何をしても心から楽しいと思えず、
食べるものの味も、
風に揺れる木々の音も、
すべてが遠く感じられた。
朝はただ過ぎ去る時間をやり過ごすために訪れ、夜は眠れぬまま静かに過ぎていく。
ふとした拍子にあの人のことを思い出すたび、胸の奥にぽっかりと空いた穴の存在を強く感じる。
僕は、あの人が好きだった。
尊敬していたし、心のどこかで特別な存在だった。
それらがあったからこそ、僕の人生には彩りがあったのだと思う。
今はその彩りが剥がれ落ち、乾いた紙のように無機質な日々だけが積み重なった。
僕は この先どうしたらいいのだろうか。
もう、全てを投げ出してしまおうか
そして、あの人の側で告白でもしようか。
あの人はきっと、笑いながら
「もう、遅いよ。笑」
と、言ってくれるに違いない。
きっと、そうだ。
今、そこへ、行くからね。
逝くから、そこへ。
コメント
1件
ちょっと待って……最後の「行くからね。逝くから」のとこ、心臓ぎゅってなった😭💦 好きな人を亡くした喪失感と、その人の側に行きたいって思っちゃう気持ち、めちゃくちゃリアルで苦しい……。でもまだ1話だから、この先どうなるのか気になりすぎるよ!続き待ってます🌸